令和2年第1回区議会定例会招集あいさつ・所信表明(令和2年2月12日)

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 本日、ここに令和2年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 中国 武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症、正式名称「COVID-19」は、国際的な拡大を続け、1月31日にはWHOから、公衆衛生上の緊急事態との宣言がなされました。

 2月12日現在、全世界での感染者43,112人、死亡者1,018人、日本国内でも28人の感染者が報道等で発表されております。

 こうした中、本区は、国内の流行に備え、いち早く1月30日に私を本部長として危機管理対策本部を設置し、全庁一丸となって対応できる体制を整えました。

 この病気の性質や症状はまだ分からない部分も多く、ご心配かと思います。区民の皆さんの不安や症状があった場合にお答えする「豊島区帰国者・接触者電話相談センター」を開設し、本日9時の時点で236件のご相談に対応しております。

 今後も国や東京都の動向を注視しながら、万全の対策をとってまいります。


 また、昨年12月27日午後10時50分頃、池袋西口公園グローバルリングの柱や床などの9ヶ所に、大変悪質な落書きの被害を受けました。

 多額の経費を投入し、11月にリニューアル・オープンしたばかりの池袋西口公園そしてグローバルリングは、池袋西口エリアをおしゃれで安全・安心な楽しいまちに生まれ変わらせるため、区議会の皆様とも様々な議論を重ねながら、多くの方々のご協力に支えられて完成した、豊島区の新しいシンボルです。

 いよいよ間近に迫った東京2020大会では、この公園が豊島区の聖火ランナーの出発点として、そしてライブサイトが予定されるなど、まさに東京の顔、日本の顔として世界に誇ることのできる、区民共通の大切な財産であります。

 私は、本事件をまちづくりに対する深刻な妨害行為として受け止め、迅速かつ厳正に対処するため、1月6日に危機管理対策本部を設置しました。そして、池袋警察署に被害届を提出するとともに、直ちに応急処置を行い、さらに警備の強化や警告看板の設置など、あらゆる対策を講じています。

 この落書きは、池袋のイメージを損なうだけでなく、これからのさわやかな魅力あるまちに対する重大な挑戦であり、本区の進める国際アート・カルチャー都市へのテロ行為と言っても過言ではなく、私は断固たる決意をもって立ち向かってまいります。


 それでは、今定例会の開会にあたりまして、私の令和2年度予算編成の基本的な考え方を申し上げます。


1.令和2年度当初予算案

 まず、令和2年度当初予算案の概要について申し上げます。

一般会計と3特別会計を合わせた令和2年度当初予算は、前年度に比べ、219億1,100万円、率で10.5%減の1,859億4,000万円となり、過去最大の予算となった令和元年度予算に次ぐ2番目の予算規模となりました。

 一般会計当初予算は、前年度と比べて215億4,500万円、率にして14.4%減の1,282億9,300万円と、こちらも過去2番目の予算規模となりました。

 なお、令和元年度予算は、23のまちづくり記念事業をはじめとする集中投資によって、20.2%増と過去最大の増加率となりましたが、令和2年度予算は、逆に14.4%の大幅減と、こちらも過去最大の減少率となっております。

 一般会計の主な歳入は、特別区民税が対前年度比で9億2,800万円、3.1%の増となる309億3,800万円を見込んでおり、初めて300億円台となった前年度の税収額を大きく更新し、9年連続のプラスとなっております。増となった要因には、転入人口の増に伴い、納税義務者が引き続き、増加していることなどがあげられます。直近の5年間では、人口は約1万8千人の増、納税義務者は、約2万1千人の増となっております。

 しかしながら、不合理な税制改正のひとつである「ふるさと納税」によって、2年度当初予算では、減収額がさらに拡大すると見込んでおります。

 また、区にとって、もうひとつの基幹歳入である特別区 財政調整 交付金についても「法人住民税の一部国税化」により、本来、区に入るべき歳入が逸失する状況が続いております。さらに、地方消費税 交付金につきましても大都市部が不利になるよう、清算基準の見直しが段階的に進められております。

 度重なる不合理な税制改正によって、区の減収影響額は年々、拡大しており、これらの影響が平準化した際には、「ふるさと納税」で16億円、「法人住民税の一部国税化」で40億円、「地方消費税の清算基準の見直し」で22億円と、合計で78億円もの減収影響を見込んでおります。

 このように、東京を狙い撃ちとする不合理な動きは本区にとりましても、年々深刻さを増す状況となっていることから、特別区長会や東京都とも緊密に連携しつつ、引き続き、国に対して、さらに強く申し入れを行ってまいります。

 また、都区財政調整協議では、特別区が児童相談所を設置することに伴う特例的な対応として、令和2年度から特別区の配分割合を0.1ポイント増やし、55.1%とすることで決着いたしました。「0.1%」という割合は、新たに発生する行政需要に見合った規模ではないなど、区側の主張とは依然として大きな乖離があるため、配分割合のあり方について、令和4年度に改めて協議することとなっております。

 国や他自治体からの「東京一人勝ち論」によって、都区を取り巻く環境は一層、厳しくなる状況が予想されますが、こうした時こそ、都区双方が様々な観点から議論を行い、協力体制を強化することが求められると考えております。

 なお、税収や特別区財政調整交付金の確保に加え、公民連携を積極的に推進することで、「稼げる自治体」としての新たな歳入の確保にも努めてまいります。

 次に、歳出について、申し上げます。

 投資的経費については、前年度と比べ、238億6,600万円、59.2%の大幅減となる164億4,100万円を計上しております。

 23のまちづくり記念事業のうち、新ホール整備や区民センター改築、池袋西口公園リニューアルなどの事業が令和元年度に竣工したことなどが主な理由となります。

 20年前、私が区長に就任した時のような、財政破綻寸前の状況を二度と繰り返さないためにも、投資事業については、メリハリをつけて実施することが極めて重要であると考えております。しかしながら、区民の皆さんの生活を支える公共施設の改修・改築につきましては、見送ることなく、計画的にしっかりと実施してまいります。

 こうした方針については、この先5年間の見通しである「予算の大枠」のなかでもお示ししているところです。令和2年度当初予算は、安全・安心で快適な区民生活の実現と将来の安定的な財政運営の両立とを見据えており、7年連続で財政調整基金の取り崩しを行わない健全な予算編成となっております。

 事業費は、前年度と比べ5億600万円、0.6%減となる866億4,400万円を計上しております。主な内訳ですが、扶助費は、過去最大規模となった令和元年度予算からさらに15億8,500万円の増と、大きく伸びております。

 これは、待機児童対策を引き続き、積極的に進めていることから、「子育てのための施設等利用給付経費」が6億2,300万円、「私立保育所に対する保育委託及び助成経費」が8億3,600万円と大幅に増加したことが主な要因となっております。また、会計年度 任用職員制度の導入に伴い、これまで事業費に計上していた臨時職員の賃金が、人件費に移行したことも、事業費の減要因のひとつとなっております。

 一方で、基金積立金は、令和元年度予算では、池袋保健所の売払収入30億円を計上しておりましたが、令和2年度予算では、そうした大きな基金積立の計上がないことから、25億8,800万円の減となっております。

 人件費の総額は、対前年度比で、12.6%増となる252億800万円と見込んでおります。

 令和2年度は、「ひと」が主役となるさまざまな事業を展開し、変化と魅力にあふれたまちづくりを積極的に進めてまいります。

 続いて、区政運営に臨む、私の所信の一端を申し上げます。

 第1の柱は「文化を基軸としたまちづくり」、第2の柱は「高齢者にやさしいまちづくり」、第3の柱は「子どもと女性にやさしいまちづくり」、第4の柱は「さらに安全・安心なまちづくり」であります。


2.文化を基軸としたまちづくり

 まず、第1の柱「文化を基軸としたまちづくり」について申し上げます。

 東アジア文化都市では、「オールとしま」での事業展開を1番の目標に揚げました。

 主催・共催事業をはじめ、区民の皆さんが企画・実施した公募事業、ロゴマーク活用などによる広報連携事業など、とりまとめ中ではありますが、現時点で総事業数は約400事業、参加者数は延べ約350万人と、多くの方々にご参加いただきました。

 そのうち区民ひろばでは、年間を通じて55事業を自主的に展開していただき、約1万人が参加、レガシーとなるタイムカプセル事業へと結実しました。

 次世代を担う子どもたちの育成も大きなテーマでありました。

 1万人で歌う東アジア文化都市のテーマソングである「わたしは未来」プロジェクトでは、学校や区民ひろばなどの様々なイベントで「わたしは未来」が歌われ、開幕式典、そして閉幕式典では、子どもたちが3か国語や手話付きでの合唱を披露してくれました。

 8月に西安市で開催された「唐詩イベント」では子ども達が書道の腕前を披露しました。また、少年野球を通じた交流も実施いたしました。

 更には9月に実施した、総勢151名からなる、これまでの開催都市でも例がない視察交流団は、国家間の緊張が続く中で、派遣が危ぶまれることもありましたが、文化交流だけではなく人的な交流を深め、新しい相互交流のモデルを示すことができたかと考えています。

 11月の「池袋アニメタウン・フェスティバル」の開催は、世界共通の文化であるマンガ・アニメの聖地としての豊島区の魅力を国内外に向けて大きく発信することができ、国際都市としての大きな自信につながりました。

 また、区が実施したインターネット・アンケートによれば、区民の皆さんの東アジア文化都市の認知度は、開幕直後から15ポイント上昇し、閉幕直後には6割となりました。とりわけ小学生のお子さんのいる世帯では、8割の方が東アジア文化都市開催を認知しています。

 日・中・韓交流事業 特別公演の来場者アンケートでは、9割の方が中国、韓国の文化への興味・関心が高まったと回答しています。

 東アジア文化都市の開催を契機に、まちが大きく変わりました。

 「東アジア文化都市 日本代表都市 選考会」の座長として、2019年の代表都市に本区を選んでいただいた同志社大学の佐々木雅幸教授からも、本区の取組みに対して、特に、劇場という新しいハードと文化創造というソフトを見事に両輪として実現したことは過去に例がなく、質量共に従来の開催都市を凌駕する成果を挙げた、と身に余る高い評価をいただきました。

 また、東アジア文化都市の開催は豊島区に新たな希望を与え、将来に向けた展望と可能性を開くとともに、国際アート・カルチャー都市への大きな一歩を踏み出すことができたと確信しております。これまでの集大成となる成果報告会を、今月26日に開催いたしますので、多くの方々のご参加をお待ちしております。

 このように東アジア文化都市を経て、今、豊島区は文化によって、東京で一番、勢いのあるまち、元気のあるまち、注目されるまちになりました。

 この好機に、東京2020大会が、いよいよ開催されます。

 組織委員会と東京都によるライブサイトは、都庁や代々木公園など、都立施設を中心に8会場が選定されています。

 このうち、1日の乗降客数が約270万人の大ターミナル駅に近接し、繁華街で開催されるのは池袋西口公園グローバルリングだけです。

 グローバルリングは、東京2020大会を見据えて整備した、池袋のナイトタイムを楽しんでいただくための仕掛けですが、ライブサイトについても、本区の強い要望が受け入れられ午後9時まで開催することが決定しました。

 このライブサイトには、国内外から1日に5千人もの人たちが訪れることが見込まれます。このチャンスを逃すことなく、来街者がHareza池袋やイケ・サンパークまでIKEBUSで回遊するように働きかけることによって、池袋全体の賑わいや活力の創出につなげてまいります。

 また、今後、地域のボランティアの皆さんと区職員による警備体制を検討してまいりますが、競技会場や練習会場のない本区にとって、このような地域一体となった取り組みこそが、東京2020大会のレガシーになると確信しております。

 次に、今後のまちづくりについて申し上げます。

 昨年の12月27日、東京都の小池百合子知事が発表した「未来の東京」戦略ビジョンにおいて、区部中心部の将来像が示されています。この中で、池袋が国際アート・カルチャー都市として、明確に位置付けられました。東京区部の都市再生の中で埋没していた池袋が、ようやく表舞台に登場したのであります。

 これからも継続的に都市の発展を推し進めていくためには、区が整備してきた拠点を民間がつないでいけるようにしていかねばなりません。

 そのためには、本区は、いわば都市のプロデューサーとして、社会経済状況の変化などを見極め、将来都市像である「国際アート・カルチャー都市」の姿を適切に更新していくことが必要です。

 区が明確なメッセージを発信し、実現の仕組みを創り、必要な投資を堅実に行うことにより、公と民の役割分担と連携を強力に進め、民間のノウハウとスピーディな行動力、そして資力を最大に活かしながら、誰もが主役になれる劇場都市を発展させていくことが、これからの区の使命と考えています。

 このような考えの下、まちの魅力を高める事業の進捗について、順次申し上げます

 まず、「グローバルリング」について申し上げます。

 昨年12月18日には、本格的なクラシック・コンサート「Tokyo Music Evening ”Yūbe”」のオープニング・コンサートが、グローバル リング シアターで開催されました。当日は、2,000人以上の観客が集まる中、炎のマエストロ・小林研一郎さんが登場し、感動的な演奏を披露いただいたところですが、その様子は翌日のNHKニュースでも大きく取り上げられました。

 このクラシック・コンサート「Yūbe」は、毎週水曜日の夜間に2回開催していきます。本日も夜7時と8時30分に開催します。

 そして、1月には、東京芸術劇場で開催される、世界的指揮者エサ・ペッカ・サロネン氏の率いるイギリスの名門オーケストラ「フィル ハーモニア管弦楽団」の演奏会と連動し、グローバル リング シアターで 映像コンサートを実施しました。これは、同楽団のデジタルチームが、この野外劇場を大変気に入り、強い要望を受けて実現したものであります。また、この取組みは、英国の公的な国際文化交流機関である「ブリティッシュ・カウンシル」と駐日英国大使館が展開する、「日・英交流年」の主要プロジェクトの一つとしても位置付けられております。

 このほかにも、現在、調整中でありますが、日本を代表するNHK交響楽団からも、熱烈な出演の要請をいただいております。

 その最新の設備と特徴的なリング、屋外で気軽に本格的なクラッシクを楽しむ発想、東京芸術劇場やターミナル駅と隣接する絶妙な空間、そして何よりも地域の皆さんと取り組んできたまちづくりへの情熱が、連日の報道等を通じて浸透しはじめ、グローバル リングは国内外から熱い注目を浴びているのであります。

 そして、大きく変わったまちは、公民連携も呼び込んでいます。

 この間、グローバル リングを美しく彩ったイルミネーションも、近隣の企業の出資によるものであり、これも「稼げる自治体」の一形態なのです。

 次に、「Hareza池袋」について申し上げます。

 昨年11月1日のオープンから約3か月が経過し、この間、東京建物BrilliaHALLでは、数々の話題作をこけら落としシリーズとして上演してまいりました。

 12月11日には、区立中学校の2年生と3年生1,168名の皆さんに、宝塚歌劇によるロックオペラ モーツァルトの「鑑賞教室」をプレゼントしましたが、その後、私の元に生徒たちから手紙が届きました。

 そのいくつかを、ご紹介しますと、

 「私は宝塚歌劇が大好きになりました。ぜひまた見に行きたいと思います」

 「日々の学校生活で宝塚の話題が出たり、今でもモーツァルトの歌が教室内で飛び交ったりするほど、頭から離れない、強い印象が残りました」

 「私たち生徒だけではなく、先生も、その素晴らしさについて、興奮した様子でお話しされていました」

 「今回の体験は、他のどこにでもない豊島区にいるからこそ見させていただけました」

などです。

 今回の鑑賞教室も、身近な場所で本物の芸術・文化に触れる場があればこそ、実現できたものであります。今後も、未来を担う子どもたちに、このような機会を設けていきたいと考えております。

 このような池袋の賑わいは、本区が先導的に集中投資をすることによって創り上げてきたものでありますが、民間の開発にも波及しています。

 その1つが、旧シネマサンシャインをリノベーションして、3月19日にオープンする「ミクサ ライブ東京」の展開です。ビルを丸ごとライブ・エンターテイメントの発信拠点とするプロジェクトで、国際アート・カルチャー都市の一翼を担う取り組みです。出版社とテレビ局が中心となり、アニメとミュージカルが融合した2.5次元舞台やテレビ番組連動イベントなど、様々な最先端のカルチャーが池袋から世界に発信されます。

 次に、トキワ荘マンガミュージアムについて申し上げます。

 3月22日のオープンに向けて、建築工事は順調であり、現在、外構・アプローチの整備を進めております。全国からの支援も続き、2月11日現在で、943件、4億2,392万543円ものご寄附をいただいております。

 また、オープニングを記念する企画展では、トキワ荘再現にご協力をいただきました、鈴木伸一先生、水野英子先生、よこたとくお先生、山内ジョージ先生の作品やゆかりの品とともに、トキワ荘再現にあたり、100名を超えるマンガ家の先生方からお寄せいただいたお祝いの色紙も展示する予定です。

 また、ミュージアムのオープンに向けて、現在、東長崎駅南口のデジタル・サイネージや回遊マップ、そして案内サインの設置なども着々と準備が進んでおります。

 ミュージアムが多くの方に楽しんでいただける施設となるよう、また、まちの回遊性を高め、地域全体の賑わいにつながるよう、引き続き地域の皆さんの声をお聞きしながら取り組んでまいります。

 次に、目白では、地域の皆さんから強い要望のあったエレベーターが、今年の3月に完成する予定です。エレベーターの名称を、隣接する「銀鈴の坂」に合わせて「銀鈴の塔」とすることや、塔の上の鐘から音楽が流れる仕様についても、地元の方々のご意見が反映されております。また、目白地域協議会の方々からアイデアをいただいたデザインは、目白の街並みに合った素晴らしいものです。

 次に、大塚では、現在、北口駅前広場の改良工事を実施しております。歩道の拡幅や段差解消を行い、歩行者優先の基盤を整備するとともに、大リングやモニュメントを設置して、その照明を工夫することにより、夜間でも観劇などの余韻を安心して楽しめる空間を創出してまいります。この開発全体を光のファンタジーとして照明効果を生み出し、今迄のどこの都市にもない活気的な大塚のまちが生まれてきます。

 東京2020大会前の今年7月までに大リングやモニュメントを設置し、広場全体の完成は来年の3月を予定しています。

 また、大塚は平成30年度に観光庁のモデル事業も実施され、ナイトタイム観光の他都市へのモデルケースとして、高い評価をいただきました。

 今後、「アフター・ザ・シアター」の拠点である池袋西口グローバル リング シアターと大きなポテンシャルを持つ大塚間の回遊を促す仕組みを構築し、相乗的に地域経済の活性化を図ってまいります。

 そして、国家的なプロジェクトが相次ぎ豊島区が注目されるこの機に、文化によるまちづくりを後世に引き継ぐため、区民の皆さんとともに記念日やロゴマークなどの「新たな文化シンボル」を創り上げたいと考えております。

 現在、検討組織の立ち上げに向けて準備しているところでありますが、詳しくは、改めてご報告させていただきます。


3.高齢者にやさしいまちづくり

 次に、2つ目の柱「高齢者にやさしいまちづくり」について申し上げます。

 昨年4月から総合的な高齢社会対策について検討してきましたが、いよいよ来年度から本格的に展開してまいります。

 本区の大きな課題の一つとして、高齢者に占める一人暮らしの割合が日本一高いことがありますが、目指すは、「誰も孤立させない、みんながいきいきと、健康で安心に暮らせるまち」であります。

 今後の総合高齢社会対策においては、東京都が目指す「未来の東京」戦略ビジョンも踏まえ、選択的介護モデル事業や東京都健康長寿医療センターとの連携をはじめ、これまで以上に東京都との関係を深め、他自治体よりも一歩も二歩も先んじた先進的で総合的な対策を講じていきます。

 まず、「社会的孤立ゼロ」について申し上げます。

 社会的孤立をなくしていくためには、コミュニティ・ソーシャル・ワーカー等の働き掛けによる地域づくりや、民生委員・児童委員を中心とする地域の見守りを充実させつつ、高齢者の積極的な外出や社会参加を促進していくことが大変有効であると考えております。

 その対策の一つとして、ロボット技術の活用により就労を促進していきます。

 高齢者は身体的な制約から就労先も限られており、社会参加を阻む壁となっています。身体に装着することで活動を補助する「パワー・アシスト・スーツ」等のロボット技術を活用することにより、この制約を解消し、高齢者の就労の可能性を広げていきたいと考えています。

 シルバー人材センターの会員に、実際にこのパワー・アシスト・スーツを装着して仕事をしてもらいながら、ロボット技術を研究する大学等と連携し、課題を検証してまいります。

 次に、「100歳健康」について申し上げます。

 要介護状態一歩手前の「フレイル」を予防する拠点として、昨年5月に全国初で開設した「東池袋フレイル対策センター」は、1日平均30人、この半年間で延べ5千人を超える皆さんにご利用いただき、大変好評いただいております。

 さらに多くの皆さんにフレイル予防に取り組んでもらうため、今後2年間で、区内22か所の「区民ひろば」に運動機能を分析する装置を設置するとともに、リハビリテーション専門職や栄養士の職員が区民ひろばを巡回し、指導していきます。

 併せて、70歳と75歳の区民の皆さん全員に、簡便なチェックリストを送付し、確認の結果、認知症が疑われる方に「認知機能検査」を実施する、新たな取り組みを始めてまいります。

 次に、「一人暮らしでも安心」について申し上げます。

 一人暮らしの方は家族と同居されている方と比べて、日常生活の不安、いざという時の不安が強く、高齢者の一人暮らしの割合が日本一高い本区としては、その不安を払しょくするための対応も大変重要となります。その対策の一つとして、人生の最期に向けた、いわゆる「終活」を支援してまいります。

 また、高齢入居に対する住宅オーナーの不安を軽減するため、住宅オーナーに対する家賃低廉化補助や家賃債務の保証料補助等の住宅対策に加え、民間の居住支援サービスを活用した高齢者の見守りや、死後の家財整理等の入居支援をパッケージ化して提供し、高齢者の住まいの悩みの解消に向けて取り組んでまいります。

 次に、「医療専門団体との連携」について申し上げます。

 高齢者に元気に活躍していただくためには、「健康」であることが基本です。

 そして、健康対策を進めていくに当たっては、医師会、歯科医師会、薬剤師会の三師会をはじめ、看護師会、柔道整復師会、鍼灸師会などの医療専門団体との連携が大変重要になります。

 これまでも三師会を中心とする「在宅医療連携」や認知症対策、災害対策など、医療専門団体とは大変緊密な連携をしてきたところでありますが、今後、さらに一歩踏み込んだ連携体制をとり、「オールとしま」で健康増進に取り組んでまいります。

 次に、「選択的介護モデル事業」について申し上げます。

 東京都と連携し、国家戦略特区の仕組みを活用して実施している「選択的介護モデル事業」は、全国初の取り組みであり、注目を集めながら区内で定着しつつあります。平成30年8月から実施している保険内外の「訪問介護」サービスを柔軟に提供する「モデル事業」に加え、昨年12月からは新たな、二つのモデル事業を開始しました。

 まず、デイサービスに薬剤師等が訪問し、お薬相談や薬のお届け等を実施して利用者の健康・療養をサポートする事業、さらに介護保険利用者宅にセンサー機器を設置して、得られたデータの活用により、より良いケアプランの作成をしていく事業です。

 介護人材不足が全国的な課題とされる中、先端技術を活用し、介護保険内のサービス提供の質を高める取り組みは、介護分野ばかりでなく、各界から注目をいただき、多くの取材や問い合わせをいただいております。

 令和2年度は、これまで実施してきたモデル事業について、区民の皆さんや介護事業者の方々へのメリットを検証し、今後の事業展開の可能性を検討するとともに、モデル事業で得た知見を総合高齢社会対策に有効活用できるよう、東京都との連携を深めつつ、取り組んでまいります。

 次に、「情報バリアフリーの推進」について申し上げます。

 昨年4月の手話言語条例施行を受け、区の主要なイベントや区議会一般質問、広報番組の一部においても手話通訳が導入されるようになりました。

 また、障害福祉課等の窓口では、円滑な意思疎通を目指して、聞こえやすさの支援機器である「コミューン」を設置しました。

 そして、災害時の支援として、ご自身や周囲の方からのサポートに役立つよう、「障害者 防災の手引き」を改訂し、年度末までに配布したいと考えております。

 条例施行2年目を迎える令和2年度は、意思疎通が困難とされる失語症の方へのコミュニケーション支援事業をスタートし、障害特性に応じた情報のバリアフリー化を推進してまいります。

 また、障害者の社会参加の機会も広げてまいりたいと考えております。地域生活支援事業のうち、移動支援については、昨年12月から短期入所期間中でも支援できるよう利用範囲を拡大いたしました。

 令和2年度より、区立障害者施設で医療的ケアを必要とする方の受け入れを開始するとともに、施設への通所バスを増車いたします。

 今後とも、利便性の向上を図り、地域で安心して暮らすことのできる社会の実現を目指してまいります。


4-1.子どもと女性にやさしいまちづくり

 次に、3本目の柱「子どもと女性にやさしいまちづくり」について申し上げます。

 まず「幼児教育・保育の無償化」について申し上げます。

 昨年10月から、幼児教育・保育の無償化が始まりました。国が有償とした子どもの給食費について、保育園では3歳以上のすべての子どもの給食費について区が負担することとしています。

 私立幼稚園についても、国の基準である低所得世帯及び多子世帯の子どもの副食費の補助に加えて、区独自の加算として主食費についても補助しております。

 また、保育料についても、保育園では東京都独自事業の多子世帯に対する新たな補助を活用し、都の補助対象となる私立園等利用者はもちろん、区独自の対応として、区立園利用者にも同等の多子世帯の保育料軽減を行います。私立幼稚園では園の形態に関わらず、無償化後も継続して補助を実施しております。

 さらに、4月からは、私立幼稚園の給食費補助の対象を年収360万円未満相当から年収680万円未満相当の世帯にまで拡大するなど、子育て世代の経済的な負担軽減を図り、保護者がより一層「無償化」を実感していただけるよう取り組んでまいります。

 次に、「待機児童ゼロに向けた取り組み」について申し上げます。

 今年度の待機児童対策では、4月の入園希望者のために6園の認可保育所を整備し352名の定員枠を新たに確保しましたが、その第一次申込者数は1,500名と、前年より90名ほど減少しております。

 昨年10月から保育料が無償化され、特に3歳以上の児童からは無条件で無償となることから、入園希望者が増えると想定しておりましたが、むしろ3歳児の入園希望は減少しており、無償化が需要を押し上げることにはつながらなかったと考えております。

 しかしながら、依然として1歳児の需要は高い状況が続いております。その特別な対策として、欠員のある既存施設の余剰スペースを活用する東京都の「緊急1歳児保育制度」を導入することで、4月の待機児童はゼロとなる見込みです。

 次に、「としまキッズパークとIKEBUSの活用」について申し上げます。

 今年7月には、水戸岡鋭治氏デザインの「としまキッズパーク」が完成します。

 この公園は、障害のある子もない子も一緒に遊べる、「インクルーシブ公園」の概念を取り入れて整備するものです。ベルト付きのブランコや乗り降りしやすいミニトレインなど、誰もが一緒に遊び、そして学べる公園の第一歩として取り組んでまいります。

 また、開園後、区内の保育園や希望する幼稚園の5歳児を対象に、真っ赤なIKEBUSでとしまキッズパークに送迎する、外遊びのツアーを開始します。子どもたちにとって、このツアーが、夢いっぱいの感動の思い出となることを期待しています。

 そして、隣接するイケ・サンパーク内に、水戸岡鋭治氏のデザインによるIKEBUSの停留所を設け、そこに公園のシンボルとなる展望台を設置することによって、キッズパークとイケ・サンパークとの連携や大塚・雑司が谷へのつながりを強め、本区の魅力を、大きく広げてまいります。

 次に、「アシテジ世界大会」について申し上げます。

 アシテジ世界大会の「アシテジ」は、フランス語による「国際 児童青少年 舞台芸術協会」の略であり、100か国以上が加盟する組織です。

 このアシテジは、子どもと文化に関わる専門家が一堂に集まり、現在そして未来の子供たちのための文化芸術のあり方について話し合う世界大会を、3年に1度開催します。同時に、世界中から選び抜かれた質の高い児童・青少年のための舞台作品を上演するフェスティバルも行われます。

 この世界大会は、これまで各国の首都で開催されており、今年の大会が第20回目の節目となります。この記念すべき大会が、初めて日本で開催されることとなり、その開催都市として、これまでの文化政策が評価されて豊島区が選ばれました。このことからも、東アジア文化都市を通じて、本区がまさに「国際都市」として認知されたことを実感しております。

 1月30日には、世界大会の成功を期するために助言を行う「協力者会議」の第一回目となる打合せが、区民センターで行われました。

 そのメンバーは、東アジア文化都市でも大変お世話になった前・文部科学省副大臣の浮島とも子氏、豊島区の名誉区民であり、人間国宝の野村萬氏、そして文部科学大臣や内閣官房長官を歴任された河村建夫氏、フジサンケイグループ代表の日枝久氏など、錚々たる文化人の皆さんでありました。

 このチャンスを活かし、本区の文化施策と子育て施策、そして教育施策との融合を、一層推し進めてまいります。


4-2.子どもと女性にやさしいまちづくり(教育)

 続いて、「子どもと女性にやさしいまちづくり」の一環として、「教育」関係施策について申し上げます。

 去る1月5日には、金子智雄教育長が就任いたしました。

 豊島区の教育をさらに発展させるという固い決意のもと、子供たちの幸福、そして成長と学びを保障するために、教育行政の責任者として、新教育長の行動力とリーダーシップに大いに期待するものであります。

 まず、「インターナショナル・セーフ・スクール認証取得」について申し上げます。

 令和元年度は、1月27日の認証式において、清和小学校が新規認証、仰高小学校、池袋本町小学校が再認証を取得いたしました。令和2年度には、さくら小学校と千川中学校が新規認証を取得いたします。これにより、豊島区の8つの中学校ブロックすべてで、1校以上の認証校が誕生することとなります。

 今後は、豊島区立小・中学校全体へ、認証校の成果を普及するとともに、地域とともに安全・安心な学校づくりを進め、豊島区のセーフ・コミュニティのさらなる充実を目指してまいります。

 次に、「子どもと学校の相談体制の充実」について申し上げます。

 豊島区では、学校のみでは解決が困難な問題を抱える児童・生徒に対しスクール・ソーシャル・ワーカーを派遣し、家庭や地域社会、学校との協働体制の整備や関係機関との連携を図るなど、子供たちや学校の支援を行ってまいりました。不登校やいじめ、虐待や子どもの貧困など、そのニーズは年々増加しております。このような状況を踏まえ、新年度より、スクール・ソーシャル・ワーカーを更に2名増員して6名体制といたします。これは、23区内で最も手厚い配置率となります。

 また、いじめや不登校などをめぐる様々な学校問題は、内容が複雑化しており、学校のみでは解決が困難なケースも少なくありません。そのため、令和2年度より、「スクール・ロイヤー」の配置を行い、学校が、教育専門の弁護士から助言を受けられるよう、学校法律相談の体制を整えてまいります。

 次に、「池袋第一小学校の改築」について申し上げます。

 新校舎が竣工する予定の令和4年7月までの工事期間中は、旧文成小学校を仮校舎として使用するため、児童が東武東上線とJR埼京線の線路を超えて通学することとなります。

 このため、踏切には警備員を配置し、学童安全指導員も大幅に増員するとともに、登校時からスキップの子どもたちの帰宅時間まで、通学路における児童の安全対策に万全を期してまいります。

 また、池袋第一小学校だけでなく、仮校舎のある池袋本町地区では、池袋本町小学校と池袋中学校もセーフ・スクールの認証を取得していることから、セーフ・スクール取得校3校の連携を十分に図り、地域やPTAにもご協力をいただきながら、工事期間中の地域全体の子供の安全・安心を確保してまいります。

今後の学校改築計画につきましては、令和7年度に竣工予定の千川中学校までとなっておりますので、令和2年度中に策定予定の学校施設の長寿命化計画の中で、千川中学校以降の学校改築について検討してまいります。

 次に、「楽器寄附ふるさと納税の実施」について申し上げます。

 楽器寄附ふるさと納税とは、これまでの寄附額に応じて地域の返礼品を送るふるさと納税とは違い、使われなくなった楽器を、自治体を通じて学校などに寄付し、査定価格が税金控除される新しい仕組みのふるさと納税です。

 来年度から、豊島区でも、この楽器寄附ふるさと納税を、実施することとしました。東京では、初となります。

 楽器寄附ふるさと納税の意義は、寄附文化の醸成のほか、大切にしてきたものに思いをこめること、感謝の気持ちや楽器を大切にする気持ちを育てること、そして新しいつながりを生み出す効果もあると考えております。楽器寄附を通じて、子どもたちが音楽に触れ活躍する場面が増えるだけでなく、文化や音楽を愛する気持ちが養われることを期待しております。


5.さらに安全・安心なまちづくり

 次に、4本目の柱「さらに安全・安心なまちづくり」について申し上げます。

 まず、「台風19号を踏まえた対策」について申し上げます。

 昨年10月12日に関東地方を直撃した令和元年台風19号は、本区における風水害対策に対する多くの教訓となり、先の令和元年第四回定例会において、「台風19号に係る課題と対策について」のご報告をさせていただきました。

 これらの対策につきましては、検討を重ね、地域防災計画を修正し、先月の防災会議において承認をいただきました。

 主な修正箇所と対策でございますが、風水害時において開設する救援センターを、震災時と同等に35か所とします。併せて、救援センターでの医療体制確立のために、医師会との連携を強化してまいります。さらに、台風接近時における災害対策各部の行動要領の作成、情報伝達手段として防災行政無線の内容のフリーダイヤルでの確認サービスなどに取り組んでまいります。

 また、風水害時での教訓、とりわけ救援センターの開設・運営においては、震災対策にも活かしていかなければなりません。今後ご審議いただく予算案の中には、救援センターの開設・運営をサポートするための救援センター毎のマニュアル作成のための経費を計上しております。各救援センターには、それぞれの地域特性があり、作成には、地域の皆さんの声を反映させていかなければなりません。このマニュアル作成を契機に、今一度、町会、消防団、PTA等の関係団体や区民の皆さんと意見交換を行いながら、自助、共助の強化を図ります。また、今年度実施した女性の防災リーダー育成講座の受講生にも参画していただき、救援センターの開設・運営において、女性の視点を取り入れて、救援センターにおける生活環境の向上を図ります。あわせて、各地域に配備される職員についても、さらに訓練を充実していきます。

 そして、自助、共助、公助の連携体制をしっかりと築き上げていくことで、震災や風水害といったあらゆる災害に対応できる地域防災力を培ってまいります。

 次に、「無電柱化工事」の進捗状況について申し上げます。

 巣鴨地蔵通りの無電柱化も着実に進展しており、3月上旬には、真性寺前にリニューアルしたアーチがお目見えする予定です。また、巣鴨地蔵通りの入口付近に架かっていた歩道橋の撤去工事が終了し、巣鴨駅から地蔵通りに向かう際には、新たに設置された横断歩道を通行できるようになり、歩行者の利便性が格段に向上いたします。

 そして、学習院椿の坂では、既に無電柱化の工事は完了しており、現在、最終的な舗装工事を実施しているところです。

 これら先行モデル路線で得られたノウハウを取り入れながら、現在、無電柱化の推進計画の策定に向けた準備を進めており、3月末には完成する予定です。

 今後も、防災性・安全性・景観性を飛躍的に向上させる無電柱化事業を、積極的に進めてまいります。

 次に、「木造密集 市街地の改善」について申し上げます。

 池袋本町地区では、平成17年度より居住環境 総合整備事業を実施しております。中でも公園が不足する池袋本町二丁目地区に1,550m2の用地を取得し、平成28年からの公園整備の検討を進めてまいりました。順調に工事が進み、地形を活かした滑り台が特徴的な「池本だんだん公園」は、3月14日に開園式を予定しております。

 また、雑司が谷地区の防災性の向上を目的に、約8,700m2の高田小学校跡地と隣接の既存公園を一体的に整備する取り組みを平成25年から地元団体と進めてまいりました。地域の方々が集まれる拠点施設は、交流都市である秩父産の木材を使い、その色合いも地域の意見をお聞きしながら景観に配慮したものといたしました。

 学校の校庭開放を引き継いだ「ボールひろば」は、テニスコートとして貸し出しますが、子どもたちも遊べるように特別枠を用意するなど、地域の小中学校の意見を取り入れております。

 来月28日に開園式を迎えますが、地域に愛される公園となるよう、その維持管理も、地域の方々と一緒に取り組んでまいります。

 次に、としまみどりの防災公園「イケ・サンパーク」について申し上げます。

 イケ・サンパークは、区内最大の17,000m2の広さを活かし、災害時には物資輸送や重症患者等の移送のためのヘリポート、全国から集まる支援物資の集配拠点、2,500人収容の一時待機場所、火災延焼遮断などの機能を備えています。

 日常時は都会のオアシスとして、いざ災害時は最新機能を装備した防災拠点として対応するフェーズ フリーな公園として、イケ・サンパークは豊島区の災害対策の新たな拠点となります。

 この公園こそ、池袋を代表する魅力あるまちづくりの中心的役割となります。

 そして、この「イケ・サンパーク」のオープンにより、ついに池袋駅周辺の4公園の整備が完成します。

 都市再生といえば、大型ビルの建設という垂直方向が主流ですが、私がめざしたのは、地域と一体となった、面的エリアの「公園による都市再生」です。これこそが池袋のまちの魅力と価値を高め、回遊性を生む都市再生であると確信しております。

 個性あふれる4つの公園は、「誰もが主役になれる劇場都市」にふさわしい舞台です。昨年、豊島区は日本を代表しての東アジア文化都市の成功が大きな弾みとなり、国際アート・カルチャー都市として、大きな一歩を踏み出しました。

 今年はこの流れをさらに加速させるため、4つの舞台に魂を込めていきます。

 次に、「慰霊碑」について申し上げます。

 今朝の議員協議会でもご報告させていただきましたが、区はこの間、ご遺族とその関係者、巣鴨・池袋・目白の各交通安全協会の会長、地元町会の会長のご参加を得て意見交換会を開催し、デザインや碑文を検討してきました。

 2回にわたって開催した意見交換会では、ゼロとつぼみをイメージした丸いデザインが全員一致で選ばれました。また、碑文については、昨年の事故についてどこまで触れるか、事故の根絶に向けた願いをどのように表現するかなど、真剣な意見交換が行われました。

 「交通事故によって 平穏な日常が奪われる人が ゼロになるように」という一文は、事故で亡くなった全国の犠牲者を悼むとともに、ご遺族はもちろんのこと、平穏な日常を失った加害者をも含め、事故によって不幸になる人が一人も出ない社会を築く、強い誓いを込めたものとなりました。豊島区は、慰霊碑の設置を通じて、全国に向けて交通事故ゼロに向けた強いメッセージを発信していきます。

 なお、慰霊碑は、全国から寄せられた1,140万9,496円の募金を活かし、3月末までに日の出第二公園内に設置する予定であり、4月18日には、除幕式を行いたいと思っています。議会の皆様をはじめ、多くの方々にご参加いただきますよう、お願いいたします。


6.その他

 その他の重点施策として、まず、「森林環境 譲与税を活用したカーボン・オフセット事業」について申し上げます。

 今年度は、姉妹都市の秩父市の森林を活用し、約2ヘクタールの「としまの森」をカーボン・オフセット事業として整備しました。この森を活用した環境交流ツアーにも、34名の区民の皆さんに参加いただきました。ツアー後のアンケートでは、8割の方が環境への意識が高まったと回答しており、手ごたえを感じたところであります。

 令和2年度は、秩父市での事業を拡大するとともに、交流都市の箕輪町でも、カーボン・オフセット事業を展開してまいります。

 また、同じく交流都市の常陸大宮市にも、約1.4ヘクタールの「豊島区の森」があり、これまで森の中での散策や田舎体験などの交流事業を開催してきました。区民の皆さんが自然と触れ合う、このような貴重な機会を、今後、交流都市との連携によって、さらに拡充していきたいと考えております。

 次に、「立教通り整備事業」について申し上げます。

 立教通りの安全性や防災上の課題については、平成25年度に協議会が発足して以来、地元の方々と共に検討してまいりましたが、この度、整備方針が固まったこともあり、今年の7月から工事を行うこととなりました。

 工事の進め方としては、立教通りを三分割した上で、二又交番から立教大学正門までの区間を令和4年度までに整備し、残りの区間につきましても段階的に工事を進め、令和8年度に路線全体が完成する予定です。

 私は、この立教通りを豊島区初の「環境モデル路線」として、将来にわたり、地域環境を適切に保全していく次世代の道路にしたいと考えています。また、事業を検討する中で得られたノウハウを、今後、区内の他の路線にも展開してまいります。

 次世代につながる質の高いインフラ整備を実現してまいります。


7.おわりに

 令和2年度の予算編成にあたって、大変盛りだくさんの施策、考え方を申し上げてまいりましたが、終わりにあたり、いつも申し上げておりますが、皆様と共有することばを送ります。

 先駆的な発明で人々の暮らしに多大な価値をもたらしたアメリカ合衆国の発明家トーマス・エジソンは『成功できる人は「思い通りにいかないことが起きるのはあたりまえ」という前提を持って挑戦する』という言葉を残しました。

 豊島区は消滅可能性都市を始めとする「思うにならない」ピンチをチャンスに変え、新たに「国際アート・カルチャー都市」を発想し、果敢に挑みました。

 昨年度の思い切った投資予算で劇場都市が完成するにつれ、いまや都市自体の価値が上がり、上質で国際的な文化芸術作品が自然と集まり、国内外のメディアが豊島区の魅力に注目し、発信しております。

 まちは生きています。「国際アート・カルチャー都市」への弛まぬ挑戦と信念は、区民の皆さんとの長くそして深い信頼関係の積み重ねです。

 この夏には23のプロジェクトが完成し、まちは大きく一変しますが、その真価が発揮されるのは、まさにこれからです。

 先日区内の民間企業の方から、IKEBUS応援企画「みんなでIKEBUSに手を振ろう!」というご提案をいただきました。

 IKEBUSにご乗車されている方へ、笑顔で大きく手を振ろうという内容に、沢山のまちの方々が賛同し、その輪が広がっています。

 まさにオールとしまで、まちが元気になり、いつものまちに、笑顔があふれる豊島区ならではの、おもてなしです。

 区職員も率先して、まちの方々とともに満面の笑顔で手を振ります。

 今後も区民生活をしっかりと見据えた施策に邁進いたしますので、議員の皆様におかれましても、引き続き最大限のご理解とご協力を賜りますよう切にお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、予算4件、補正予算1件、条例14件、報告1件、その他8件、合わせて28件であります。

 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。

 以上をもちまして、私の招集あいさつ及び所信表明といたします。