本日、ここに令和2年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。
さて、去る5月25日に開催されました、令和2年第二回豊島区議会臨時会におきまして、村上 宇一 議長、河原 弘明 副議長による、区議会の新体制がスタートいたしました。お二人のリーダーシップによって、活発な議会活動が行われることを、ご期待申し上げます。
ただいま、区議会の議決に基づきまして、永年在職議員として、栄えある表彰を受けられました「里中 郁男議員」「渡辺 くみ子議員」「小林 ひろみ議員」におかれましては、数々のご要職を歴任され、25年にわたり区政に多大なご貢献をいただきました。先ほどそれぞれの方から、25年間の貴重な回想を交えながら、素敵な笑顔で、心からのご挨拶をいただき、深く感激しております。
私からも、心から敬意を表し、その栄誉をおたたえするとともに、ご功績に対しまして感謝を申し上げる次第でございます。
ありがとうございました。
0.はじめに
4月7日に宣言された、東京都の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態措置は、5月25日をもって解除されました。そして、東京都は先週11日に「東京アラート」を解除し、翌12日にはロードマップをステップ3に移行いたしました。
これも区民の皆さんのご協力によるもので、先の見えない不安の中、ストレスを抱えながら一緒にご辛抱いただいた結果だと考えております。
区民の皆さんには、徹底した外出自粛や3密回避をはじめ、営業の休業などに多大なるご理解・ご協力をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。
そして、感染リスクの高い環境のなかでも、強い使命感を持って、日々、治療にあたられている医療従事者の皆さんにも、改めて、感謝を申し上げます。
また、19の企業や団体、個人の方、そして昨年、「東アジア文化都市事業」にて交流を深めた西安市など、多くの方々から、様々な寄贈をいただきました。その数は、20万枚を超えるマスクや消毒液など、心温まるご支援に、心から感謝を申し上げます。
豊島区における感染者は、現在156名、このうち、緊急事態宣言が解除された以降の感染者は17名となり、増加数は低く抑えられています。なお、これまでに回復した方は145名となっております。
緊急事態が全面解除され、私たちは、次なるステージに向け、新しい一歩を踏み出したところです。感染拡大抑制への対策と地域社会経済の回復を両立させるという、難しい舵取りではありますが、私が常に言い続けておりますように「ピンチをチャンスに変える!」という信念のもと、直面する課題に的確に対応しながら、「新しい日常」を見据えた区政運営にチャレンジしてまいりますので、議員の皆さんにおかれましても、さらなるご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
1.新型コロナウイルス感染症対策の取り組み
それでは、現在、豊島区が直面している新型コロナウイルス感染症への対応状況について申し上げます。
(1)区立小・中学校、幼稚園における対応
はじめに、区立小中学校、幼稚園における対応について申し上げます。
6月1日より、区立小中学校、幼稚園を実に3か月ぶりに再開いたしました。緊急事態宣言が発令される以前から、これまでに誰も経験したことのない未曾有の事態のもとで、長期間我慢を続けてきた子供達や、子供達を支えてこられた保護者の皆さんに心より感謝申し上げます。現在は、感染予防対策を最大限に重視して、分散登校のもと、子供たちの心と体に配慮しながら段階的に対策を進めております。
この間、全国で再開された小中学校の様子が、各種マスコミに連日取り上げられました。その中でも、豊島区の小中学校におけるICTへの取り組みはトップランナーとして、高く評価されています。
昨日からは小中学校で給食が始まりましたが、児童・生徒の登校率は、95%以上となっております。7月1日からは、「学びの保証」を重点化しながら、分散登校を行わない教育活動を再開してまいります。
引き続き学校での感染防止対策をご説明するとともに、オンラインによる健康確認や学習支援を行いながら、すべての子供たちが安心して登校できる環境づくりに努めてまいります。
(2)保育園における対応
次に、保育園における対応について申し上げます。
小中学校にあわせて、認可保育園についても、6月1日より通常の保育を再開し、給食や延長保育等の特別保育も通常通りに実施しています。
再開にあたっては、区立保育園の看護師が中心となり、新型コロナウイルス感染症に対応したマニュアルを作り、今まで以上に感染予防に力を入れております。
なお、できるだけ過密な状態を防ぎ、感染拡大を防止するため、再開後も当面の間、可能な方には登園の自粛にご協力いただくようお願いしております。
認可保育園の保育料は、既に登園自粛を要請した期間は日割りで計算し、臨時休園の期間中は無料としています。この対応に準じ、保育料を減額した認証保育所等に対しても、保育料減収相当分を補助することといたします。
あわせて、保育園、幼稚園の臨時休園、小学校の臨時休校の期間に、仕事を休むことが困難で、ベビーシッターをご利用になったご家庭には、東京都の制度を活用し、その経費を補助するなど、子育て世帯の経済的な負担軽減に努めてまいります。
(3)保健所における対応
次に、保健所における対応について申し上げます。
1月当初から相談対応を開始している「帰国者・接触者電話相談センター」の相談件数は、昨日までで7,354件にのぼりました。
感染症の最前線である保健所では、これまでに経験のない未知のウイルスに対して、試行錯誤を繰り返しながら、区民の皆さんの不安を少しでも解消できるよう取り組んでまいりました。私は感染リスクの高い環境の中でも、知恵と勇気をもってこの国難に立ち向かっている保健所職員を誇りに思っております。
PCR検査に関しては、医師会及び歯科医師会との連携による区独自のPCR検査センターを4月28日から開設しています。6月以降は医師会に運営を委託し、引き続き区内のかかりつけ医の診断に基づき、PCR検査を行ってまいります。
検査体制をさらに充実するため、区では区内複数の医療機関にPCR検査を委託しております。医療機関では、PCR検査ばかりでなく、必要時にはレントゲンやCT検査、症状に応じた必要な医療措置を行うなど、より柔軟な対応を可能とする体制を整えております。こうした取り組みにより、5月中旬には月1,500件のPCR検査を行う体制を確保しております。
また、妊婦の方々への不安に対応するため、5月には全ての妊婦の方にマスク50枚を配布し、健診時などのタクシー移動に利用できる「こども商品券」の配布も5月21日より開始しています。
今後は、新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波に備えながらも、これまで休止していたがん検診などの事業を、7月より順次、再開してまいります。
なお、豊島区は、6月初旬に実施された国の「新型コロナウイルス感染症抗体陽性率調査」に協力いたしました。本事業は、国で初めて実施された大規模な抗体調査であり、今後の新型コロナウイルス感染症対策に大きく役立つものと期待しています。
(4)子育て世帯への支援
次に、子育て世帯への対応について申し上げます。
「子ども家庭支援センター」や中高生センター「ジャンプ」は、6月1日から再開いたしました。
「アシスとしま」や「ジャンプ」では、引き続き電話やメールを使っての相談を受け付けておりますが、4月・5月の相談件数は、「アシスとしま」で117件、「ジャンプ」で281件となっております。
また、都の児童相談所から区に調査依頼等のあった軽微な虐待のケースは、昨年度、半年で21件でしたが、今年度は4月・5月の2か月間で23件となっており、大幅に増加しております。こうした事案につきましては、区として、状況を確認するなど丁寧に対応しております。
本区は、現在、令和4年度中の児童相談所の開設に向け、取り組んでいるところです。今年度からは警察・弁護士・医師会などと連携し、児童相談所を設置した際の、連携方法について、より具体的なルール作りに着手してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による負担の増加や収入の減少を支援するため、低所得のひとり親世帯を対象として、国が計画している「臨時特別給付金」の支給についても支援に向けた準備を進めています。
さらに、現在、募集をしております「コロナに負けるな!としま」医療・福祉支援寄附金を、区内のひとり親家庭支援団体等を通じ、ひとり親世帯への支援に充てるなどの検討を進めております。
(5)特別定額給付金
次に「特別定額給付金」について申し上げます。
マイナンバーカードによるオンライン申請につきましては、13,102件の申請をいただいており、5月27日から支給を開始し、すでに10,480件の世帯に入金をしています。また、郵送申請では、5月25日から29日までに、区内18万世帯への申請書の発送を終え、6月5日から支給を開始し、これまでに1,577件の入金が完了しております。
申請期限はオンライン・郵送方式ともに8月末までとなります。一日でも早く、正確に間違いなく、確実にお届けできるよう、改めて広報としまなどを通じてお知らせするとともに、電話や窓口により丁寧に相談に応じてまいります。
また、区民の皆さんには、特別定額給付を利用した詐欺などの被害にあうことのないよう、警察とも連携しながら、注意喚起をしてまいります。
(6)中小企業への支援
次に、中小企業への支援について申し上げます。
緊急事態宣言の解除により、経済活動の回復に向けた区内事業者の営業活動が、徐々に動き出しています。しかしながら、以前のようには客足が戻らず、3密を防ぐための営業上の制限や工夫が求められるなど、事業者の皆さんには、まだまだ厳しい状況が続いております。
区は、事業者の経済的な負担軽減のため、利子と信用保証料を全額区が負担する新たな融資制度を導入し、5月20日より受付を開始したところ、既に242件の申込をいただきました。
また、東京都行政書士会豊島支部と協定を結び、個人事業主や小規模事業者の皆さんが国や東京都、区の支援策を最大限に活用できるよう、申請手続への補助をスタートし、この1か月ほどで141件の相談があり、70件の利用がありました。こうした取り組みは、国内でも先進的な取り組みであり、書き方が分からない事業主への提出書類の記入指導など、手続きに不慣れな中小企業の皆さんに寄り添った、危機を乗り越えるための士業団体との新しい連携の形となっております。なお、この手数料につきましては、区と行政書士会で全額負担しております。
引き続き、国や都の動向を踏まえながら、「新しい日常」のなかでも、事業者や商店街の皆さんが安心して事業を継続できるよう、全力で支援してまいります。
(7)生活困窮者への支援
次に、生活困窮者への支援について申し上げます。
「くらし・しごと相談支援センター」には、4月・5月の2か月で約5,500件の相談が寄せられ、昨年同月に比べ386%増加しています。そのうち住居確保給付金の相談は2,700件、5月だけでも553件の申請があり、体制を強化しつつ受付を行っております。
社会福祉協議会への「緊急小口・総合支援資金」に係る相談は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い急増し、これまでに約7,500件となり、申請件数も3,600件を超えております。受付当初は、タクシー運転手、イベント関係事業のフリーランス、飲食店従業員などが多くを占めておりましたが、現在は、派遣社員や外国人などの申請も増加しております。
また、生活保護の4月・5月の申請件数は192件で、昨年と比較いたしますと、36件、23パーセントの増加となっております。今後もセーフティーネットとしての役割を確実に果たすとともに、区民の皆さんの生活困窮状況を踏まえ、きめ細やかな対応を行ってまいります。
(8)防災対策の更なる強化
次に、防災対策の更なる強化について申し上げます。
現在のように新型コロナウイルスなどの感染症が発生している中で、首都直下地震や台風による風水害などが同時に発生する「複合災害」への対策が、喫緊の課題となっております。
このため本定例会には、救援センターで活用するマスク、消毒液、飛沫感染防止シート等の感染症対策経費を補正予算に計上いたします。今年度は、これらの備蓄品を活用し、感染症対策を踏まえた防災訓練を実施いたします。地域での訓練に先立ちまして、35か所すべての救援センターで、地域に配備されている約240人の職員に対して訓練を行います。今後は地域配備職員を中心に、防災訓練を通じて、町会をはじめとする地域防災組織の皆さんと意見交換を行いながら、避難所の開設・運営方法についても改善を図ります。
具体的には、「補助救援センター」として、区民ひろば等の区有施設の活用はもちろん、都立高校や私立大学等の早い段階での開設などにつき、あらためて関係機関と協議してまいります。あわせて、耐震性の高いマンションや戸建てにお住いの区民の皆さまには、食料の備蓄や家具の転倒防止策を講じていただくことで救援センターに避難することを避ける「在宅避難」についても積極的に検討していただくよう周知をしてまいりたいと考えております。
現場の実情に即した、区民の皆さんの安全と感染予防に対応した「地域防災計画」への改訂を今年度中に行います。
(9)公共施設の再開について
次に、公共施設の再開について申し上げます。
緊急事態宣言の解除を受け、これまで休止していた公共施設を段階的に再開しております。
東京都のロードマップ、ステップ1に該当する図書館や郷土資料館等の文化施設、体育施設などは、5月28日から順次再開し、その後、ステップ2に該当する区民集会室や地域区民ひろばなどを、6月8日から再開しております。
現在、休館している「芸術文化劇場」や「あうるすぽっと」などの施設は、7月再開に向けて準備を進めたいと考えています。
各施設の再開にあたっては、施設の特性に応じた感染防止対策を徹底するとともに、施設でクラスターなどが発生することのないよう、利用者の皆さんにもルールの徹底を呼び掛けてまいります。
なお、区の職員につきましては、現時点まで新型コロナウイルスに感染した職員は1名もおりませんが、「新しい生活様式」を率先して実践することにより、今後も感染者を出さないよう、引き続き全庁一丸となって取り組んでまいります。
2.区財政の運営方針
次に、新型コロナウイルス感染症の状況を見据えた当面の財政運営方針について、申し上げます。
世界中で猛威を振るう感染症の拡大は、我が国の経済や社会にも計り知れない影響を及ぼしており、「経済は、戦後最大の危機に直面している」と警鐘を鳴らす政府の認識を、重く受け止めなければなりません。
本区におきましても、これまで堅調に推移してきた「財政調整交付金」や「特別区民税」「地方消費税交付金」といった基幹歳入が、大きく減収する可能性があると見込んでおります。リーマンショックの際には、「財政調整交付金」が39億円、その翌年には「特別区民税」が15億円それぞれ減少し、2か年で54億円もの大幅な減収となった苦い経験があります。今回は感染症第二波の懸念を含め、リーマンショックの減収を大きく超えることが見込まれる危機的な状況であります。
その一方で、厳しい区民生活や中小企業活動などに早急に対応すべく、先の臨時会、そして、本定例会においても補正予算を計上し、あわせて331億円にも及ぶ事業を実施いたします。
このように新型コロナウイルス感染症による影響は、歳入・歳出の両面で区財政に大きな負担を伴うものとなっております。
こうした状況を踏まえて、本区は、感染症防止と経済社会活動の両立を図りつつ、区財政を運営していくための当面の取組方針を検討しており、本定例会の会期中にお示ししたいと考えております。
「当面の方針」は、4つの柱で検討しております。第1の柱は「感染症とその影響の克服」、第2の柱は「地域経済活動の回復」、第3の柱として「緊急事態にも対応できる持続可能な財政運営の堅持」、最後に、第4の柱には「魅力ある豊島区の創造」を掲げたいと思います。
今年度、検討をスタートする「後期・基本計画」においても、こうした方針を織り込んでいきたいと思います。また、当面の方針を検討するうえでは、実効性のある具体的な対策を明らかにする必要があります。
その1点目は、「事業の執行管理の徹底」であります。
今年度当初予算に計上したすべての事業に対して、直ちに取り組む必要性や事業の実施時期の好機などを厳しく精査することで、休止、縮小または延期の検討を行ってまいります。また、既定の施設建設事業につきましても、事業の着手時期や内容などについて、改めて精査いたします。「事業の執行管理の徹底」の具体的な内容については、歳入の状況を見極めつつ、第三回定例会において、お示しすべく検討を急ぎたいと考えております。
2点目は、「財政調整基金の戦略的管理」であります。
起債抑制を基本に据えながらも、超低金利政策による起債発行を効果的かつ戦略的に活用し、区政の不測の事態にも柔軟に対応できる「財政調整基金」からの取り崩しを極力抑えます。
3点目は、「予算事業の重点化」であります。
先に申し上げましたように、新型コロナウイルス感染症に起因する大幅な歳入減の影響は、今年度のみならず、この先、複数年間続くことが想定されます。既定事業の見直しと財調基金残高の管理だけでは、いずれ、区財政が持ちこたえられなくなるなどの事態も想定する必要があります。
令和3年度以降の予算編成にあたっては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止とその後の経済社会活動の再建はもとより、区民の皆さまをはじめ、地域社会の魅力と活力を取り戻し、さらに地域の方々が自律的かつ持続的に発展していける施策に対し、予算を重点的に配分してまいります。
3.(仮称)西部地域複合施設整備計画の白紙撤回
次に、これまで計画を凍結してきた(仮称)西部地域複合施設の整備計画について申し上げます。
(仮称)西部地域複合施設の整備は、区西側の拠点施設として計画しましたが、平成26年に、建設費の異常ともいえる高騰により、やむなく計画の凍結を決断いたしました。
計画凍結の最大の理由であった建設費については、依然として高止まりが続いております。建設費を現時点において改めて積算をしてみたところ、90~100億円程度と見込まれ、計画策定当初の予定額44.5億円と比較すると2倍以上の額となっております。
また、計画を凍結してから、今日までの間に、複合施設に関わる施設の状況は、大きく変化しました。区民ひろば要は、運営協議会の要望を踏まえて、現在地で改築することいたしました。郷土資料館は「としま産業振興プラザ」の7階に再度開設し、全面的に改修をいたしました。そして、「トキワ荘マンガミュージアム」については、南長崎花咲公園内に整備を進め、間もなく開館いたします。
このような建設費の高騰や、施設の状況の変化、そして、新型コロナウイルス感染症拡大による区財政への影響などを考慮に入れ、私は、熟慮を重ねた上で、平成22年度に策定した「(仮称)西部地域複合施設整備基本計画」及び、それに基づく設計については、白紙撤回とすることを決断いたしました。
今後は、地域の皆さんの意見をお伺いしながら、中長期的な視点に立ち、西部区民事務所を含め、西部地域の区民活動等の拠点としての新たな整備プランを検討してまいります。また、新たな機能として、地域からの要望もいただいている、これからの改築のための仮校舎についても検討の対象に加えたいと思います。
4.文化を基軸としたまちづくり
次に、文化を基軸としたまちづくりについて申し上げます。
(1)Hareza池袋グランドオープン
新庁舎建設をスタートとする「池袋大改造」の象徴である「Hareza池袋」が、この7月に遂にグランドオープンを迎えます。
先行してオープンしていた、東京建物BrilliaHALL、区民センター、中池袋公園に続き、シネコンとオフィスからなる「ハレザタワー」が完成することで、いよいよ「Hareza池袋」が、その全容をあらわすことになります。
7月上旬に「TOHOシネマズ池袋」が開業することで、池袋エリアの映画館の座席数は、新宿、渋谷に並ぶ、都内最大級の水準となり、3万9千m2のオフィスには、IT、システム開発、金融など、東京の国際競争力をけん引する企業が入居するとうかがっています。
8つの劇場が年間1,000万人のにぎわいを生み出す「Hareza池袋」は、「まち全体が舞台の 誰もが主役になれる劇場都市」を実現する、「国際アート・カルチャー都市」のシンボルであります。
6月下旬には、大規模なグランドオープンを記念するイベントが企画されていましたが、残念ながら実施できる状況にはありません。
明日、17日には、「Hareza池袋」の民間事業者のトップの皆さんとお会いし、持続的なにぎわいづくりを演出する「エリアマネジメント協議会」の運営方法や、夏から秋にかけてのイベント企画等について協議することで、一日でも早く、「Hareza池袋」がフル稼働する姿を、お見せしたいと考えています。
(2)トキワ荘マンガミュージアム
次に「トキワ荘マンガミュージアム」について申し上げます。
3月22日にオープンを予定しておりましたミュージアムは、新型コロナウイルス感染の拡大防止のため、やむなく開館を延期いたしました。
一方、開館が遅れているにもかかわらず、「アド街ック天国」や「散歩の達人」、「サライ」などのマスコミに大きく取り上げられるなど、全国から大きな関心や期待が寄せられていることを、あらためて強く実感しているところです。
また、トキワ荘解体時に手塚治虫先生が、自身や作品のキャラクターを描いて若手記者たちに贈った天井板が、2月26日、警視庁にて豊島区に寄贈されました。数少ないトキワ荘の史料の中でも、まさに歴史の証であるこの天井板は、ファンをも唸らせる最大の見どころになると考えております。
そして、企画展における、一番の目玉は「漫画少年」の展示です。「漫画少年」はトキワ荘はじめ、名だたるマンガ家たちがこぞって投稿した、日本漫画の母体となる伝説のマンガ雑誌です。トキワ荘のマンガ家たちは「漫画少年」によって育てられた、といっても過言ではありません。現存数が少なく、極めて貴重な「漫画少年」120冊を一斉公開するとともに、子どもたちに夢を与え、偉大なマンガ家たちを輩出した功績を展示してまいります。
振り返れば、トキワ荘を再現するにあたっては、まったくの白紙の状態から調査・研究を積み重ね、再現に漕ぎつけることができました。まさにこの歩みこそが唯一無二の財産です。開館延期となったこの期間を最大限に活かし、トキワ荘そのものに関する数々の資料や、寄贈等を受けた文献、書籍の展示を充実させ、来館された方に満足していただけるよう、地域の皆さんとともに努力しているところです。
トキワ荘の再現は、わたしが区長に就任した平成11年に4,000人を超える地域の皆さまからの要望がきっかけとなりました。当時は財政難などもあり、実現までに時間を要しましたが、地域の方々の熱い思いは消えることがありませんでした。
いよいよ今月末より開館する予定となっております。地域の皆さんはもとより全国、そして国外からも多くの来館者が訪れ、愛される施設となるよう全力を尽くしてまいります。
(3)としまみどりの防災公園「イケ・サンパーク」・「としまキッズパーク」
次に、造幣局跡地で整備を進めております「イケ・サンパーク」と「としまキッズパーク」について申し上げます。
「イケ・サンパーク」は、拠点的な防災機能と賑わい機能を兼ね備える区内最大規模の公園であり、いよいよ「4つの公園から、まちを変える」というまちづくりの構想が完成いたします。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、7月には広場部分について部分的に開放し、予定をしていた「開園セレモニー」は防災倉庫やカフェにあわせて秋に改めて行いたいと思います。
また、水戸岡鋭治先生の監修による「としまキッズパーク」は、現在、柵やウッドデッキの工事を行っているところですが、完成は当初の予定から少し遅れて、9月を予定しております。
パークのオープンにあわせて、子どもたちの期待と夢を乗せ、「キッズパーク」への送り迎えをする、IKEBUS「としまキッズパーク号(仮称)」の運行を開始いたします。
(4)大塚駅北口整備
次に、大塚駅北口で整備を進めています、駅前広場工事について申し上げます。
コロナウイルスの影響により、4月下旬から約3週間、工事を休止しておりましたが、5月11日から作業を再開し、現在、リングやモニュメントの設置工事を実施しています。
この新しい駅前広場は、来街者や住民の方々が夜間でも安心して観劇の余韻を楽しめる空間の創出を目指しています。このため歩道のバリアフリー化やトイレのリニューアルに加えて、大塚のイメージを表現したモニュメントの設置や「光のファンタジー」と称した照明効果にも工夫を凝らしています。
今後は、8月までに各種ライトアップの調整を行い、来年の3月までには舗装工事を含めた広場全体の工事が完了する予定です。
大塚駅周辺は、平成22年に駅の南北をつなぐ自由通路が開通し、平成29年5月には、南口駅前広場「TRAMパル大塚」が完成しました。こうした駅前整備の動きに呼応して、大塚駅周辺の民間開発も活発になり、「星野リゾート OMO5 東京大塚」や「東京大塚のれん街」などもオープンし、今では、まちのシンボルとなっております。
そして、いよいよ大塚駅北口の駅前整備が完了することで、これまでの取り組みとの相乗効果により、大塚のまち全体がさらに魅力あるものとなってまいります。
その他にも、ウィロードの壁画を明るく彩っていただいた、画家の植田志保さんに描画を依頼している「池袋駅ストリートピアノ」につきましても、コロナウイルスの状況を見極めながら、環境が整い次第、設置したいと考えております。池袋駅の西口エリアに「池袋駅ストリートピアノ」が設置されることにより、野外劇場、東京芸術劇場と合わせて「クラシック音楽の溢れる街」としての魅力が加わり、名実ともに「誰もが主役の舞台」に進展していくものと期待しております。
(5)落書き行為の防止に関する条例
次に、「豊島区落書き行為の防止に関する条例」について申し上げます。
「池袋西口公園グローバルリング」が、池袋西口のイメージを一新し、「国際アート・カルチャー都市づくり」の舞台として、これから始動するといった、その矢先に、9か所の落書きが発見された日を、私は忘れることができません。
豊島区の大切な財産を守り、これからのまちづくりの歩みを着実に進め、更には区民や関係機関と一丸となった徹底的な防止策を講じるという信念から、本定例会において23区で初の落書き防止に特化した条例のご審議をお願いするものであります。
落書き行為は地域の美観を損ない、他の犯罪を誘発する恐れもある卑劣な行為で、決して許されるものではありません。このため全国でも最も高水準の10万円の罰金を条文に盛り込んでおります。
本条例の制定を最終目的とすることなく、「落書き行為をしない、させない、許さない」、この3つの理念のもと、地域の皆さんや関係機関の皆さんと一緒になって対策を講じてまいります。
5.高齢者にやさしいまちづくり
次に、「高齢者にやさしいまちづくり」について申し上げます。
(1)健康増進に向けた外出と交流の促進
まず、「健康増進に向けた外出と交流の促進」について申し上げます。
社会的孤立防止や健康増進の観点からは、高齢者の皆さんには積極的に外出し、他の方と会話や交流いただくことが大切です。
外出自粛の期間中は、自宅でできるフレイル対策等のご案内をしてまいりましたが、自宅でできることには限界があり、区民ひろば等で仲間と一緒に運動をしたり、地域のイベントに参加する方が、はるかに効果があります。
今後、自粛中だった事業やイベントも、感染防止対策に万全を期しながら段階的に再開してまいります。秋以降には、区民ひろばへのフレイル対策機器の設置や、シルバー人材センターとの連携によるパワーアシストスーツの実証実験など、新しい取り組みを始めるために、現在準備を進めております。
また、高齢者の皆さんに外出を促すには、効果的な情報発信が重要であることから、各種イベントや地域活動への参加、高齢者クラブやシルバー人材センターの情報などを掲載した冊子を、10月を目途に発行いたします。
さらに、高齢者の皆さんが地域で活躍するために何よりも重要なのが、地域福祉の要である民生委員・児童委員の皆さんの協力です。一方で、民生委員は4月1日時点で37名の欠員となっております。今後、区を挙げて各地区の候補者にお願いに回り、私も直接出向くなど先頭に立って精力的に取り組み、欠員を解消できるよう努力をしてまいります。
(2)ICT活用の推進
次に、高齢者支援にかかる「ICT活用の推進」について申し上げます。
持続可能な高齢社会であるためには、今回の新型コロナウイルスのような感染症をはじめ、様々な危機に対応できる環境を整備していかなければなりません。
今回の自粛期間中には、オンラインによる病気の診療や薬の処方等がクローズアップされました。危機管理の観点からも、このようなオンライン等を活用した仕組みづくりは大変重要であります。
これに向けた取り組みの一つとして、スマートフォンを活用し、日常の健康管理から外出促進、医師等へのオンライン相談などができる仕組みを、携帯電話会社や製薬会社等とともに検討し、秋からの実証実験を目指しております。
「Society5.0」の実現に取り組む東京都や、オンラインによる情報共有を推進しようとしている豊島区医師会等と積極的に連携し、次世代技術を活用した、危機に強い環境づくりを推進してまいります。
6.小中学校における新たな取り組み
次に、小中学校における新たな取り組みについて申し上げます。
(1)ICT教育
豊島区では、子供たちの学ぶ権利の保障を第一に考え、児童生徒一人一台のタブレット配備に向けて、3年計画を1年に前倒しするため、ハード面の準備を急ピッチで進めています。
タブレットパソコンの配備が整うまでの間は、児童生徒のご家庭のインターネット環境を利用して、健康管理や学習支援を行っています。インターネット環境のない児童生徒には、タブレットパソコンを貸し出し、全ての児童生徒に、学校と家庭をつなぐ双方向の連絡手段を確保しました。
現在、ハード整備と並行して、教育委員会と学校が連携してICTをさらに効果的に活用するための研究と試行を重ねております。今後は、アクティブラーニング、プログラミング教育などで積極的に活用すると共に、不登校や外国籍の児童生徒などにもICTの利点を大いに活用してまいります。
ICTの積極的活用によって、まさにピンチをチャンスに変え、子供一人ひとりに寄り添った、心の通い合うICT教育のトップランナーを目指してまいります。
(2)見守りメール
また、小学校児童の登下校時の安全・安心をさらに向上させるためにも、ICTの技術を活用してまいります。
これまで「登下校メールサービス」を学童クラブの児童のみを対象として実施してまいりました。これは、ICタグを保持した児童の登下校の時間を保護者のメールアドレスへ送信するものですが、効果が高いとの評価をいただき、対象者の拡大のご要望もいただいておりました。
この仕組みを今年度から、区立小学校の1年生から3年生までの児童全員に拡張するため、現在、各学校の校門に設備の設置工事を実施しています。これにより児童が校門を通過した際に保護者にメールを送信します。ICタグは6月下旬以降、保護者の皆さんに順次配付し、運用を開始してまいります。このようなサービスを全ての小学校へ導入するのは、特別区では本区と台東区のみであり、大変先駆的な取り組みであると思っております。
7.SDGs未来都市
次に、この数か月間、新型コロナウイルス対策の話題ばかりでしたが、豊島区の明るい未来に向けての、新たな挑戦について申し上げます。
3月17日の議員協議会などでご報告させていただきましたが、現在、豊島区は国が募集する「2020年度SDGs未来都市」にチャレンジをしているところです。
今回、未来都市に応募した理由といたしましては、本区のこれまでの「国際アート・カルチャー都市」を目指したまちづくり、つまり、「誰もが主役になれるまちづくり」が、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念や将来像とまさに考えを一つにするものだからです。
また、消滅可能性都市の指摘から持続発展都市へと歩みを続けてきた豊島区政は、まさしく持続可能な世界を標榜するSDGsそのものであります。SDGsを通じて豊島区はこれから向かうべき方向性、未来に向けた羅針盤をさらに鮮明にしていきたいと考えております。
世界共通の目標であるSDGsの取組みは、環境、人権、貧困等ばかりではなく、社会生活や経済活動などの広範囲に渡り、現在、区政で推進している事業の多くが対象となっております。「後期・基本計画」の策定にあたっては、SDGsの理念や17のゴールに基づき、既存の施策を改めて位置づけるなど、持続発展する「国際アート・カルチャー都市」の確実な実現につなげてまいります。
今回の「SDGs未来都市」への応募を契機といたしまして、まずは、区民の皆さんや区職員がよりSDGsへの理解を深めるための絶好の機会となるよう、さらなる普及啓発に努めてまいります。そして、「誰をも 受け入れ、誰からも 受け入れられ、持続して発展する 豊島区」を区民の皆さんと一緒になってつくりあげてまいります。
「2020年度SDGs未来都市」の選考結果は、今月中に公表される予定となっておりますので、結果が分かり次第、議員の皆さんや区民の皆さんにお伝えさせていただきます。
8.おわりに
物事を成し遂げる心、すなわち『意志あるところに道は開ける。』
これは、アメリカの第16代大統領リンカーンの言葉であります。
この度の新型コロナウイルス感染症の拡大は、全世界で感染者が790万人、そして43万人を超える死者が出るなど、我々の想像を超えた事態となっております。
しかし、これまでも人類は、ペスト菌や天然痘などの感染症との戦いを繰り返し、それに打ち勝ってきた歴史があります。感染症の拡大は、社会・経済のみならず、人々が人間らしく生きていく生活の一部として培ってきた「文化」にも大きな打撃を与え、人類はその都度、勇気と英知をもって克服してきたのです。その過程で、人々の支えとなり、社会を復活させる原動力になったのが、まさに「文化」であります。
これまで豊島区では、破綻寸前の厳しい財政状況や「消滅可能性都市」との指摘などの逆境の中でも、「文化創造都市宣言」、「文化庁 長官表彰」、「セーフコミュニティの国際認証」などに挑戦するとともに、公と民の知恵と力を結集し、まさにオールとしまでの「文化によるまちづくり」を信念として貫き、ピンチをチャンスに変えてきました。
そして昨年は、こうした取組みが結実し、国家的国際交流事業である「東アジア文化都市2019」を日本代表として開催するという快挙を成し遂げました。中国の西安市、韓国の仁川広域市の大都市とも肩を並べた交流事業を、自治体間の交流にとどまらず民間レベルでの訪問交流を実現するなど、オールとしまで成功させることができたのです。さらには、今年度には、ほぼ完成する23のプロジェクトまちづくり事業を推進し、池袋周辺の4つの公園やHareza池袋など文化活動の拠点が整備され、まさに「豊島新時代」、飛躍の時を迎えております。
新型コロナウイルス感染症の影響により、本区においても池袋演劇祭の中止やアシテジ世界大会の延期など文化・芸術活動に影響が出ております。このような委縮した状況が続けば、豊島区のみならず、全世界、全国の「文化の灯」が消えてしまうと、私は危惧しております。
こうした時こそ、豊島区が勇気をもって、まさに私の信念であります「文化が平和をつくり、未来をつくる。」を実践し、世界や国をけん引する役割を果たすことにより、この難局を乗り越えていくべきなのです。
「文化によるまちづくり」は、人を元気にするばかりでなく、必ず地域経済の活性化にも寄与します。新型コロナウイルス感染症に立ち向かい、そして、今回の経験をチャンスに変えることで、次世代にもつながるライフスタイルやワークスタイルを定着させ、豊島区の活気を取り戻さなければなりません。
そのためにも、豊島区が新たに挑戦するSDGsによるまちづくりを力強く進め、将来都市像として掲げる「持続発展都市」、その先にある「国際アート・カルチャー都市」を創り上げていくのです。SDGsという世界共通の目標を豊島区政に浸透させ、感染症に打ち勝ち、都市の活力を蘇らせる豊島区の文化による底力を、国際社会に示すことができるよう邁進してまいります。議員各位におかれましては、なにとぞ絶大なるご協力を賜りたいと思います。
本日、ご提案申し上げる案件は、条例9件、補正予算2件、その他10件、合わせて21件であります。
各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。