令和2年第3回区議会定例会招集あいさつ(令和2年9月16日)

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 0.はじめに

 本日、ここに令和2年第三回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 去る7月17日に内閣府から、SDGsの達成へ向け優れた取り組みを行う自治体として、豊島区が「SDGs未来都市」に選定されたという、非常に明るいニュースが飛び込んでまいりました。

 さらには、「SDGs未来都市」に選ばれた自治体の中でも、特に先導的な取り組みとして、経済・社会・環境の三側面における新しい価値の創造や地域における自立的好循環が期待される「自治体SDGsモデル事業」にも選ばれることができました。「自治体SDGsモデル事業」の選定は、提案のあった77自治体の中から10自治体しか選ばれない、非常に狭き門を突破したものです。

 私は当初、「SDGs未来都市」の選定目的のひとつとして、地方創生の推進が含まれることから、東京一極集中の渦中にある本区にとって大変厳しい挑戦になると考えておりましたが、晴れて「セーフコミュニティ国際認証」、「東アジア文化都市」に続く、東京都で唯一のダブル選定という快挙を成し遂げることができました。

 これも豊島区が、破綻寸前の厳しい財政状況や「消滅可能性都市」との指摘などの逆境の中でも、公と民の知恵と力を結集し、ピンチをチャンスに変えてきた実績が評価されたものだと考えております。また、国家的国際交流事業である「東アジア文化都市2019」における民間レベルでの訪問交流や「23のプロジェクトまちづくり事業」の推進により、池袋周辺の4つの公園やHareza池袋など文化活動の拠点が整備され、ハードとソフトの両面からまさに「誰もが主役になれる劇場都市」として持続発展するまちのポテンシャルが高く評価されたと確信しております。

 先日、「朝日新聞で豊島区がSDGs未来都市に選定された記事」を見た区民の方から「区民として誇らしい気持ちになった。是非、この気持ちを伝えたい。」という連絡がありました。「SDGs未来都市」選定は、国際基準により持続発展を目指す先進的な自治体としてのブランドばかりでなく、区民の皆さんの誇りや地域への愛着にもつながる非常に貴重な財産となるものです。

 こうしたことから、6月15日に全会一致で決議された「SDGs未来都市の実現に向け「誰一人取り残さない」まちづくりを推進する決議」を踏まえ、現在、「SDGsを推進する都市」として宣言するためのパブリックコメントを行っております。宣言により、本区がSDGsに取り組む姿勢を鮮明にするばかりでなく、着実に前進するための羅針盤にしてまいります。

 「SDGs未来都市」選定は、2030年に向けた「国際アート・カルチャー都市」によるまちづくりを、さらに磨き上げる第一歩であり、これからが正念場です。

 今後、「後期・基本計画」へのSDGsの考え方の反映をはじめ、「イケ・サンパーク」における「ファーマーズ・マーケット」の開催、「SDGs特命大使」の新設、「SDGs債」の購入などSDGsの実現に向けた全庁一丸となった取り組みを着実に展開してまいります。

 そして何より、SDGsの推進には、区民や事業者の皆さま、町会や商店街など各団体の理解と協力が必要です。このため、私も先頭に立って、様々な機会を通じての普及啓発に努め、全国を先導するSDGsの新しいモデルとなるまちづくりを目指してまいりますので、議員の皆さんにおかれましても、さらなるご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。


1.令和元年度決算

 はじめに、「令和元年度決算」について申し上げます。

 令和元年度決算は、「100年に一度の大変革」と位置付けた集中投資を経て、歳入・歳出決算ともに、過去最大規模となりました。

 国家事業である東アジア文化都市への挑戦を成功させるとともに、Hareza池袋や池袋西口公園など文化的で快適な都市空間を連鎖的に整備した令和元年度は、まさに、「としま新時代」の礎を築き上げた一年となりました。

 メリハリを付けた集中投資によって、ダイナミックにまちが変わるとともに、新たな文化や都市のにぎわいを創出し、区民の皆さんの生活の満足感やシビック・プライドを高める環境が整備されました。

 こうした中、本年1月頃から、世界各地に拡大した新型コロナウイルス感染症が、日常生活や社会・経済活動などのあらゆる場面に今なお、深刻な影響を及ぼし続けております。収束の見通しがつかない感染症との戦いは、大きな困難を伴うことが予想されますが、私たちは、これまでの平穏な日常生活を取り戻すため、最大限の努力をしてまいります。

 それでは、令和元年度の決算概要を申し上げます。

 まず、一般会計歳入歳出決算について申し上げます。

 令和元年度の一般会計歳入歳出決算額は、歳入が1,462億9,762万円で、収入率は92.7%、歳出は1,424億5,986万円で執行率は90.3%となっております。

 前年度決算との比較では、歳入は、146億6,872万円の増で、11.1%のプラス、歳出は、138億6,651万円の増で、こちらも10.8%のプラスとなっております。

 決算規模拡大の主な要因は、まちづくり記念事業の展開などにより、投資的経費が対前年度比で約210億円、123.0%の大幅増となった他、幼児教育の無償化や待機児童対策経費などが大きく伸びたことにより、扶助費が約20億円、5.8%の増となったことなどによります。

 これらの行政需要を支える財源ですが、不合理な税制改正の影響を受けながらも、特別区民税が約304億円と、決算ベースで初の300億円台を記録、また、財政調整交付金についても約337億円と、平成元年度の360億円に次ぐ2番目の高さとなり、過去最大となった決算をこれら基幹歳入が支えた形となりました。

 歳入決算額から歳出決算額を差し引いた「形式収支」は、38億3,777万円、この「形式収支」から翌年度への繰越額5億8,119万円を差し引いた「実質収支」は、32億5,657万円の黒字と、過去10年間で最大となっております。

 次に、主な財政指標について申し上げます。

 まず、財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」については、80.9%と昨年度より、0.3ポイント改善しました。これは、比率を算定する分子の物件費や維持補修費、扶助費などが増加したものの、分母の経常的一般財源等の総額が大きく増加したことによるものです。

 公債費など借入金にかかる返済負担を表す「公債費比率」については、前年度より1.8ポイント改善し、3.5%となり、独自の財政規律として新たに定めたオルタナティブルールの10%以下を大きく下回る実績となっております。

 このほか、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」によって、公表が義務付けられている「実質赤字比率」「連結実質赤字比率」「実質公債費比率」「将来負担比率」といった4つの健全化判断比率についても、財政の早期健全化や再生段階を示す基準をいずれも大幅に下回っており、本区の財政状況は、健全な状態にあると申し上げてよろしいかと思います。

 このように、令和元年度は、かつてない過去最大級の集中投資を計画的に実施いたしましたが、区財政の健全性は、引き続き維持されており、これが1年早かったり遅かったりしたら、このような結果にならなかったのではないかと思います。そのため、まさに区の将来の成長に必要な投資を最高のタイミングで展開することができたと考えております。

 次に、基金残高と起債残高について申し上げます。

 令和元年度当初予算を編成した昨年の3月に、今後5か年の財政見通しをお示ししました。その際、元年度末のいわゆる「貯金」と「借金」の差は、51億円の借金超過と想定しておりました。その後、特別区民税などの基幹歳入が堅調に伸びたことや平成30年度及び令和元年度の区債の発債抑制などにより、元年度末の基金残高は、333億円、起債残高は260億円となり、最終的には、73億円の貯金超過となりました。

 なお、この基金残高333億円のうち、財政調整基金残高は184億円と、平成以降、過去4番目に高い水準となっております。

 これは、新型コロナウイルス感染症による影響拡大を鑑み、緊急事態にも対応できる持続可能な財政基盤を整えるべく、より柔軟な対応が図れる財政調整基金への資金シフトを図ったことによります。

 バブル崩壊やリーマンショックなど、本区は過去の経済危機で、単年度で数十億円にものぼる大幅減収を経験いたしました。こうした経緯から、今回のコロナ禍に伴う歳入減にあらかじめ備えるとともに、緊急措置を要する歳出需要への対応やコロナ禍にあっても区民生活を支える行政サービスの維持・安定化を図るため、できる限りの事前対策を講じたものであります。

 この先、歳入は数年にわたり大きく減収することが想定される一方で、感染症対策にかかる歳出圧力は、形を変えながら、当面の間、続くと予想されます。

 これまでの右肩上がりの歳入を前提とした予算編成ではなく、「入るを量りて出ずるを制す」といった財政規律に基づいた、厳格な財政運営がこれまで以上に求められるのです。

 すでに作業に着手しておりますが、既存事業の縮小、休止、延期といった事業の見直しを図るほか、予算事業の執行管理を徹底することで、持続可能な財政運営の堅持に引き続き努めてまいります。さらには、感染症収束後の区の未来をいち早く切り開くため、令和3年度の予算編成におきましても、事業の重点化に加えて、さらに事業の優先度の選別化といった厳しい事業査定が不可避であると考えております。

 次に、公共施設の建設事業等の見直しについて申し上げます。

 先の第二回定例会において「施設建設事業等の見直し」について報告いたしました。

 施設の安全面等から早急な対応が必要な事業などは除いた上で、残りの事業については、見直し検討の対象としました。

 これらの事業の中には、区民ひろば椎名町や区民ひろば池袋、西部生活福祉課複合施設など、リース契約済みの案件も含まれており、現時点では、一旦、事業を中断しております。

 リース事業者から一定の理解を得られているものの、見通しもなく不確定な状況を継続させることは避けてほしいとの要望をいただいております。期間を定めずに事業中断を継続することは、契約不履行にもなります。

 リース契約済みの案件について、実際の支払いが開始となるのは、令和4年度または令和5年度からとなります。また、支払額についても、5年間に分割して支払うため、事業を先送りにしても、その財政効果は限定されます。

 このようなことから、区民の皆さんが利用する案件については、事業を再開いたしたいと思います。

 また、旧第十中学校跡地での野外スポーツ施設整備につきましても、飯能区有地での文化財等保管施設の進捗に合わせて、事業を進めてまいります。

 なお、リース案件以外の見直し対象事業につきましては、令和3年度予算において、その取り扱いを判断してまいります。


2.新型コロナウィルス感染症対策の取り組み

(1)感染者数の状況等、職員の感染状況

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。

 区民の皆さんには、日常の生活の中でも、マスク着用の徹底をはじめ、うがい手洗いの励行、3密回避、営業時間の短縮などに引き続き多大なるご理解・ご協力をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 そして、感染リスクの高い環境のなかでも、強い使命感を持って、日々、治療にあたられている医療従事者の皆さま、介護施設や障害者施設などでお働きの皆さまにも、改めて、感謝を申し上げます。

 豊島区における感染者数の状況は、9月13日時点で累計706名となっております。6月下旬以降、再び感染者数が増加し、一時は1週間に60名以上の感染者を確認しておりましたが、8月下旬以降は、徐々に減少しております。

 一方、豊島区職員の感染状況については、7月17日に初めて感染者が確認されて以降、これまでに4名の職員が感染しておりますが、区民サービスに影響することのないよう、適切に対処しております。


(2)池袋繁華街感染防止対策

 次に、池袋繁華街における感染防止対策について申し上げます。

 6月下旬に、池袋地区のホストクラブで、豊島区はじめてのクラスターの発生が報告されました。

 区はすみやかに、未然に感染拡大を防止し、区民や来街者の安全・安心を確保するため、区内ホストクラブの全従業員を対象にPCR検査を実施するなど、緊急的な対策を講じました。

 7月下旬から8月中旬には、延べ12日間かけて「池袋繁華街感染拡大防止キャンペーン」を実施いたしました。私を始め区職員約320人と、区議会議員の皆様、商店街関係者、特に池袋警察署員多数の参加をいただき、官民一体で、池袋繁華街全域に環境浄化ポスターや「ななま~るステッカー」の掲示を、店舗・事業所など、一軒一軒個別にお願いして回りました。

 8月末時点でのステッカー登録件数は、当初目標としていた1,000件をはるかに超え、3,432件にのぼる事業者が参加し、街全体・官民一体で感染予防に取り組む機運を、さらに醸成することができました。

 今回の取り組みが功を奏し、池袋繁華街での感染者数が大幅に減少したことで、新宿歌舞伎町とともに池袋の「夜の街」の報道はなくなりました。今後も気を許すことなく、引き続き、感染予防に向けてまち全体で的確かつ迅速な対応をしてまいります。


(3)PCR検査

 次に、PCR検査について申し上げます。

 本区では、ホストクラブの従業員など、対象者を特定したPCR検査、いわゆる「豊島区方式」によるピンポイントの対応をしてまいりました。本定例会では、「豊島区方式」の次の対策として、「子ども・子育て世帯にやさしいまち」を推進するため、マスク等の着用により3密を防ぐことが難しい幼稚園や保育施設、小中学校、学童クラブなどに勤務する委託業者を含めた職員に対するPCR検査補助にかかる経費を計上いたしました。

 職員本人はPCR検査の対象にはなっていないものの、家族や同僚が濃厚接触者に特定された場合など、感染リスクの不安を抱いたまま、業務に従事することのないよう、自己負担なしでPCR検査を受けられることを目的としております。

 対象施設を一律に、一度だけ調査を行うのではなく、必要時に、何度でも検査を受けられるようにすることで、業務従事者のみならず、施設を利用される方々も安心して施設やサービスを利用できる体制を整えてまいります。さらに、今後も必要に応じて、対象となる施設の拡大などを検討いたします。

 また、豊島区では、医師会及び歯科医師会との連携による区独自の「PCR検査センター」を4月28日に開設し、6月以降は医師会に運営を委託しています。6月下旬からの感染拡大に伴い、PCR検査の実績が大きく伸びたことから、8月には週2回の検査を週3回に増やすとともに、センターの運営を今年度末まで延長するなど、検査体制を強化しております。


(4)生活困窮者への支援

 次に、生活困窮者への支援について申し上げます。

 「くらし・しごと相談支援センター」の相談件数は、5月には3,000件を超え、6月以降も月平均2,000件前後の相談が寄せられており、これまでで既に1万件を超えています。

 「住居確保給付金」の貸付申請は、4月以降約1,200件、「緊急小口・総合支援資金」の貸付は、約8,800件の申請をいただいております。

 「住居確保給付金」、「緊急小口・総合支援資金」のいずれの貸付におきましても、ピーク時に比べ相談件数、申請件数ともに減少しておりますが、助成期間の延長申請が見込まれることから、今後も高止まりの状況で申請が継続すると推測しております。

 引き続き、窓口職員による丁寧な対応と、区民の皆さんの生活を守るためにも、迅速な事務処理に努めてまいります。


(5)子育て世帯への支援

 次に、子育て世帯への支援について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響による負担の増加や収入の減少を支援するため、低所得のひとり親世帯を対象として、区独自の「ひとり親世帯緊急支援給付金」を1世帯当たり5万円、第2子以降1人当たり3万円を、8月25日に支給いたしました。

 さらに、低所得のひとり親世帯、約1,100世帯を対象に、「コロナに負けるな!としま」医療・福祉支援寄附金を活用し、区内のNPOと連携して、精米5kg等を配布する事業を先月から開始いたしました。

 初回の8月30日、事前に予約のあった約170世帯の方に日曜窓口でお配りしたところ、「食欲旺盛な子どもに、お米はとても助かります。」「終わりが見えない中で不安でしたが、ひとりで悩まなくてもよい、助けてもらえる、頑張っていこうと改めて思うことができました。」など、好評をいただいています。

 今後、各区民ひろばでの配布や郵送による配送を行います。また、11月ごろには、2回目の実施を予定しております。


(6)中小企業への支援

 次に、中小企業に対する支援について申し上げます。

 23区内に限り延長されていた時短営業要請は昨日解除されたものの、飲食店などでは、3密回避やソーシャルディスタンスを確保する対策の負担に加え、新型コロナウイルスの警戒などから依然として客足が戻らず、売上回復に苦労している事業者も多くなっております。

 中小企業支援として区が新たに設けた融資制度は、8月31日現在、788件の申込となっています。また、行政書士会による申請手続の補助事業は、8月31日現在、206件利用されています。補助事業は、支援期間を12月末日まで延長するとともに、国の「家賃支援給付金」、東京都の「家賃等支援給付金」や「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」を対象に加えるなど、状況に応じて支援を拡充しております。

 また、商店街への区独自の振興策として、「としまテレビ」による各商店街の店舗紹介コーナーを活用した販売促進支援を開始しています。平日の「としまNEWS」において、8月17日放映の池袋本町中央通り商店街「創作菓子ラティーネ」の紹介を皮切りに、12月まで40店舗を紹介し、商店街の利用を促進してまいります。


(7)庁内コミュニケーションのリモート化

 次に、庁内コミュニケーションのリモート化について申し上げます。

 コロナウイルス感染拡大に伴い、職員の働き方についても、新しい日常への変化やICT化の推進が喫緊の課題となっております。区民生活を支えるという基礎自治体の特性を踏まえ、「BCP」いわゆる「事業継続計画」の視点はもちろん、「ワーク・ライフ・バランス」の視点も踏まえて、これからの区政に相応しい職員の働き方を追求してまいります。

 具体的な取り組みとして、4月より感染症対策本部や未来戦略会議等の庁内会議をWeb会議により実施しており、さらなるニーズの高まりを受け、8月より外部との会議に利用する専用機器を備えた「Web会議室」を設置いたしました。

 さらに、今回の定例会では、職員がテレワークを行うためのパソコン用通信機器の購入に関する補正予算を計上いたしました。各部局の実態を踏まえつつ、全庁的な運用ルールを本年中に策定してまいります。

 長期化が予想されるコロナ禍においては、区民生活を確実に支えられるよう、必要な環境整備を積極的に推進してまいります。


3.防災の取り組み

 次に防災の取り組みについて申し上げます。

 昨年は台風15号、19号が東京を直撃しました。そのときの経験から、区では風水害時の救援センターを8か所から35か所に拡大することを決め、速やかに地域防災計画を改定いたしました。

 改定後の地域防災計画では、台風の最接近の48時間前に救援センターの開設を決定し、区民の皆さまに周知したうえで、24時間前に開設するというタイムラインを規定いたしました。あわせて、救援センターの開設標準マニュアルを改訂し、職員体制を風水害時にも震災時と同じ規模の約240人体制とすることで、万全の体制を整えてまいります。

 また、救援センターにおいて、コロナ対策をどれだけ講じても、感染症のリスクを完全に回避することはできません。このため、「避難する イコール 避難所に行く」というこれまでの前提を大きく見直し、災害時にも対策を取ることで自宅にとどまる自宅避難、安全な親せき・知人宅に避難する縁故避難等を検討することが必要です。

 こうした分散避難の導入には、自宅避難の要援護者への支援体制の構築等、多くの課題もありますが、庁内で震災対策推進本部を立ち上げ、全庁的に議論を重ねながら、区民の皆さまの安全・安心を守るために努力してまいります。


4.国際アート・カルチャー都市の推進

 次に、国際アート・カルチャー都市の推進について申し上げます。

(1)「としまキッズパーク」のオープン

 まず、「としまキッズパーク」について申し上げます。

 本年3月より工事を進めてきた、「としまキッズパーク」が9月26日にいよいよ開園となります。

 IKEBUSを監修いただいた水戸岡鋭治氏のデザインによる「としまキッズパーク」は、池袋レッドに囲まれた子ども達の夢の空間です。施設の主役であるミニトレイン「イケデン」をはじめ、ミニ図書館や展望ブリッジ、滑り台、ブランコなどが設置されています。

 また、施設を管理するスタッフには豊島シルバー人材センターにお願いをしており、子どもたちと地域のシルバーさんが触れ合う機会にもなると考えております。

 公園の開園に併せて、IKEBUSの乗り入れが始まることにより、公園を利用する皆さまの利便性が大きく高まります。そして、10月からは、保育園や幼稚園の子どもたちがIKEBUSに乗って、毎日、「としまキッズパーク」へお弁当持参で遠足にやってきます。

 さらには、23区初となるインクルーシブ公園として、障害のある子もない子も一緒にミニトレイン「イケデン」などを楽しんでいただけます。

 当面は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、人数制限を設けることとなりますが、間もなく開園する「としまキッズパーク」にご期待ください。


(2)としま文化の日の創設

 次に、としま文化の日の創設について申し上げます。

 東アジア文化都市の開催や芸術文化劇場のオープンを契機に、区民の文化活動を顕彰するとともに、これまで進めてきた文化によるまちづくりや、区民と築きあげてきた豊島区ならではの文化を次世代に引き継いでいくために、新たな文化シンボルをつくりたいとの思いから、区民中心の会議体「豊島区の新たな文化シンボル検討会」を設置し、これまで3回にわたって検討してまいりました。

 この結果を踏まえ、国際アート・カルチャー都市のシンボル「Hareza池袋」の幕開けとなった11月1日を記念日として、「としま文化の日」を設けることといたしました。

 豊島区独自の「文化の日」は、オールとしまでの文化芸術活動を進化させ、豊かな文化を創造し続ける地域社会を継承していく原動力になると考えています。

 当日は、第1部としてBrilliaHALLで、文化の日の制定を発表するとともに、芸術顧問である近藤誠一先生から「文化を次世代に継承するために、わたしたちができること」と題した基調講演をいただきます。また、これまで区の文化行政に多大なる貢献を頂いた方々に、平成24年以来、令和初の文化功労表彰を行います。

 さらに第2部では、スペシャル公演として、「区民で祝うとしま文化の日」と題して、BrilliaHALLのこけら落としシリーズで、新作ダンス公演を行ったコンドルズが、新しい「祝祭」の踊りを披露します。この踊りはオンライン配信、動画投稿など、様々な形で多くの区民の皆さんが参加できる仕掛けを考えておりますので、どうぞご期待ください。


(3)トキワ荘マンガミュージアム

 次に「トキワ荘マンガミュージアム」について申し上げます。

 6月27日、ついに「トキワ荘マンガミュージアム」がオープンし、式典には地元の皆さまやお力添えくださった皆さまに加え、59社約100名と、多くの報道機関が集まりました。NHKでの放映をはじめ、新聞各社で特集が組まれるなど、関心の高さを改めて実感したところです。

 式典後3日間の内覧会を経まして、7月7日から一般公開がはじまりました。

 新型コロナウィルス感染防止のため、事前予約制による混雑回避に努めながらのスタートですが、8月末現在、1万6千人を超える予約を受付けており、今なお増え続けている状況です。

 また、土日を中心に、連日、ミュージアムを拠点として、「トキワ荘通りお休み処」、そして新設の「トキワ荘マンガステーション」と、トキワ荘通りに多くの方々が訪れ、地域全体の賑わいを創出しております。

 来館した方からは、「満足した、また来たい、貴重な展示をいつまでも続けてほしい」というお褒めの言葉を多数いただきました。今後も「マンガ文化継承の拠点として、世界をリードしていく」という強い使命感を持って取り組んでまいります。

 また、開館記念企画展をできる限り多くの方、特に、区民の皆さまに見ていただきたいという思いで、区民ひろばや地域団体の皆さまにお声掛けし、先週末、区民優先日を設けました。さらには、区内の小中学校生に豊島区の文化を見て、感じて、後世に伝えて欲しいという思いから、まず、地元の椎名町小学校、富士見台小学校の生徒たちが地域学習の一環として来館しています。

 10月下旬からの次の企画展は、手塚プロダクションの協力をいただき、現在、鋭意準備を進めていますが、トキワ荘の文化をより一層知っていただける企画として、トキワ荘の中心人物で、先生方の中でも兄貴分であった「トキワ荘のアニキ 寺田ヒロオ展」を開催します。

 今後も、魅力ある企画展を中心に、マンガ・アニメ文化発信の拠点として、地域の皆さまや全国からの来館者が訪れ、愛される施設となるようスタッフ一同全力を尽くしてまいります。


(4)文化イベントの再開

 次に、文化イベントの再開について申し上げます。

 新型コロナウイルスの影響で、本年2月以降、多くの各種イベントが、中止・延期を余儀なくされてきました。

 緊急事態宣言の解除後は、ウイズコロナの時代に見合った、感染症対策を万全にしたうえで、新しい形でのイベント開催を試みています。

 まず、「東京よさこい」を中心とした「ふくろ祭り」も「東京よさこいプレゼンツH-1グランプリ」として生まれ変わり、今年度はSNS上で「演舞の動画コンテスト」を実施します。歴代優勝チームの演舞も新たに撮影されるなど、SNS上ではありますが大変華やかなイベントとなるでしょう。

 また、2月より中止となっていた「Tokyo Music Evening YUBE」も、完全予約制とし、ソーシャルディスタンスを確保して、明日より再開いたします。

 プレイヤーには、再開第1弾としてふさわしい、「NHK交響楽団メンバーによる室内合奏団」が登場いたします。グローバルリングが日本最高峰のオーケストラの音色に包まれ、まさに夢のような時間となるでしょう。

 それ以降も次々と、9月26日と11月1日には、指揮者の西本智実氏率いるイルミネートフィルハーモニーオーケストラ、10月7日には作曲家の青島広志氏による「青島広志の10倍楽しいオペラ」、そして11月26日には豊島区の芸術顧問である炎のマエストロ小林研一郎氏率いる「コバケンとその仲間たちオーケストラ」と、世界的に活躍する音楽家が続々とグローバルリングに登場いたします。新しい時代のYUBEの幕開けにぜひご期待ください。

 また、11月7日には、としま未来文化財団35周年事業の一環として、民俗芸能inとしま「ひとはおどる」を開催します。今年は、「まつりのおと」をキーワードに、大型ビジョンやオンライン配信を活用し、耳で聞いて、目で楽しみ、心が躍る空間を、池袋西口公園で生み出します。

 さらに美術分野では、豊島区を代表する芸術家である、熊谷守一の生誕140周年を記念して、「人間・熊谷守一」にスポットを当てた企画展、「熊谷守一のアトリエにあったもの展」を10月27日から11月1日に、自由学園明日館で開催いたします。

 守一の愛用していた品物たちを通して、身近な小さないのちを見つめて表現していた「人間・熊谷守一」にふれていただきたいと思います。


(5)イケ・サンパーク ファーマーズ・マーケット

 次に、「イケ・サンパーク」の「ファーマーズ・マーケット」について申し上げます。

 7月11日に開園となりました、としまみどりの防災公園「イケ・サンパーク」には、連日子ども達や家族連れを始め、たくさんの方々が訪れ、これまでにない区内最大級のオープンスペースとして新たな可能性を感じております。

 いま行われている防災倉庫やカフェの工事が完了し、公園全体が完成した暁には、毎週末、園内で豊島区オリジナルの日本最大級のマーケットを開催する予定です。

 埼玉県の近郊農家から届く新鮮な野菜や果物などの販売を中心に、区内商店街の名店が一同に出店し、さらに区内の若手事業者の新たなチャレンジの場も設け、姉妹都市を始めとした国内85の交流都市の中から厳選された物産品なども揃い、区民の皆さんが日常生活の中で楽しんでいただける魅力的なマーケットを目指し、公園の管理者と連携して進めてまいります。

 まさに区民のための公園「イケ・サンパーク」で開催する「ファーマーズ・マーケット」こそ、豊島区が取り組む「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」の第一弾として位置づけられています。

 多くの区民の方が参加し、ご利用いただき、「住み続けたいまち」豊島区の実現に向け、誰一人取り残さない、区民が主役となる持続可能な事業を創りあげてまいります。


5.まちづくり・環境

 次に、「まちづくり」と「環境」について申し上げます。

(1)IKEBUS新ルート

 まず、イケバスの新ルートについて申し上げます。

 「イケバス」は昨年11月に、東口循環と東西循環の2つのルートで運行を開始いたしました。

 東西循環については、8月1日より西口からメトロポリタンホテル、ビックリガード、東通りを通過し、最短で区庁舎へ到着することが可能となり、ますます利用しやすく、多くの方々に親しまれるルートに変更しています。

 また、9月26日のキッズパーク開園にあわせ、2つのルートともに「イケ・サンパーク」への乗り入れを行います。乗り入れにあわせて東口循環は、ハレザ池袋からより効率的にサンシャインシティへ向かうルートに変更するとともに、サンシャインシティプリンスホテル前の停留所を、ホテルの車寄せ内に移設することにより、利用者の利便性や安全性を向上させます。併せて、10月31日より、南北区道の歩行者優先化も実施することになりました。

 この度の新ルートは、池袋西口の拠点を追加することにより利用目的が広がるとともに、より効果的に回遊することが可能となる、まさに「池袋ゴールデンルート」と呼べるものです。環境にやさしく、新型コロナウイルス対策も万全となった「イケバス」を、更に池袋の顔として、多くの皆さんに利用いただけますようこれからも取り組んでまいります。


(2)大塚駅北口の整備

 次に、大塚駅北口の整備について申し上げます。

 大塚駅北口では、この事業の象徴となる大リングや3つのモニュメントが完成し、新しい駅前広場のイメージが掴めるようになってきました。

 先月、8月31日の夜には「光のファンタジー」の演出確認を行い、地元の町会長さんや商店会長さんにも、光の移り変わりを現地で直接見ていただきました。私も光のデザイナーである穴井佑樹氏の解説を聞きながら、多様な色の変化を間近で拝見し、大塚が更に魅力ある街へと変わっていく印象を強く受けた次第です。

 現在、この広場に、ネーミングライツを設定する計画を進めています。命名権料として得られた収入については、今後必要となる広場の維持管理費に充当することで、区財政の支出を抑制するとともに、華やかで清潔感のある駅前広場を継続していきたいと考えています。

 広場工事は、コロナウイルスの影響による休止期間もありましたが、現在順調に進んでおります。この先は道路工事や植栽帯の整備を行い、当初予定通り来年の3月末には完成する予定です。

 新しく生まれ変わる大塚駅北口駅前広場にご期待下さい。


(3)カーボン・オフセット協定

 次に、長野県箕輪町とのカーボン・オフセットの協定について申し上げます。

 箕輪町の森林を「としまの森」として整備し、豊島区から排出される温室効果ガスを相殺する協定を今月の1日に締結いたしました。箕輪町で整備する森林は2.9ヘクタールで、これにより豊島区内で排出される二酸化炭素の約28トンが吸収される見込みです。森林環境譲与税を財源として、地方の林業対策と都市の地球温暖化対策を両立させる、23区でも先駆的な取り組みであります。

 すでに実施している秩父市の相殺分と併せ、吸収される二酸化炭素は約50トンになります。今後、環境理解、地域交流などもテーマとした体験事業などについても実施してまいります。


(4)プラスチック製容器包装の分別収集

 次に、プラスチック製容器包装の分別収集について申し上げます。

 現在、「第四次一般廃棄物処理基本計画」の策定に向け、リサイクル・清掃審議会で活発にご議論をいただいております。

 議論の中心となっているプラスチック製容器包装の分別収集の導入について、8月27日に開催された審議会では、「区民にとって分かりやすい出し方、コスト、環境負荷等について、実態調査や実証試験等に基づき、さらに具体的な検証を加えたうえで導入に関する検討を行うべき。」との中間のまとめが出されました。

 SDGs未来都市に選定された自治体として、プラスチック製容器包装の分別収集の導入に向けて具体的に検証し、しっかりと進めてまいります。


6.福祉・健康

 次に、「福祉・健康」について申し上げます。

 まず、「スマートフォンを活用した健康増進の取り組み」について申し上げます。

 高齢化が進展する中、持続可能な高齢社会を構築するためには、ICTの活用が大変重要です。

 東京都は、Society5.0の次世代技術を活用した社会の構築に向け、各分野で精力的に取り組みを進めており、令和2年度から4年度にかけて、健康分野で実証実験を行いたい旨の通知がありました。

 そこで、本区はスマートフォンを活用した健康増進の取り組みについてKDDIと合同で東京都に事業提案を行い、今年度のモデルプロジェクトとして採択する決定をいただきました。9月7日には、大手町のKDDIホールで、本事業を連携して実施するKDDIと共同記者会見を開催し、11月から実証実験を行うことを表明いたしました。

 具体的な事業の構築はこれからですが、スマートフォンのアプリを活用し、日常の健康管理からリスク分析、医師等への受診勧奨、イベント情報の提供等による外出促進などを実現したいと考えております。

 今後のスケジュールといたしましては、11月下旬に実証実験を開始し、令和4年度までの3年間、段階的に機能を拡充しながら、実証実験を行ってまいります。

 本事業において多くの区民の皆さんに健康増進の取り組みを体験していただくとともに、今回の実証実験を進める中で顕在化する課題を、今後のICT活用に活かしていきたいと考えております。

 次に、高齢者に優しいまちづくりとして「ウイズコロナにおける高齢者への呼びかけ事業」について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、高齢者の社会参加が減少し、生活不活発によるフレイルや認知機能の低下など、健康への影響が危惧されています。

 また、外出の自粛により、他者との関わりや相談をする機会が減少しているため、コロナ禍における高齢者の困りごとを積極的に把握し、日常生活上のアドバイスや相談支援に繋げていく必要があります。

 こうしたことから、今般、75歳以上の高齢者を対象に、往復ハガキによる高齢者への呼びかけを実施することといたしました。健康などについて心配のある方には、返信用のハガキにその旨をご記入いただき、改めて区から状況確認の電話連絡を行うものです。

 こうした取組みにより、感染症予防等の普及啓発を行うとともに、高齢者総合相談センターへの相談支援に繋げ、高齢者の不安解消と健康維持に積極的に努めてまいります。


7.子育て

 次に、「子育て」について申し上げます。

 まず、支援対象児童等見守り強化事業について申し上げます

 虐待の相談は、昨年度に比べて増加しています。これは、外出自粛などにより社会から隔離された不安やストレス、子どもの見守り機会や予防的関与の減少など、新型コロナウイルス感染症が影響しているものと考えられます。

 虐待の予防、早期発見、早期対応のためには、学校などの公的機関以外にも、様々な地域ネットワークを総動員して、地域の見守り体制の強化する必要があることから、NPО団体との連携による新たな見守り体制を構築いたします。

 これは、支援を必要とする家庭を実際に訪問することが特色です。子どもの実態を把握した上で、個々の状況に応じた実効性の高いプログラムを作成し、着実に支援につなげてまいります。

 次に、子どもの権利について申し上げます。

 今年3月に子ども・若者支援策を総合的に展開するため、新たに「子どもの権利推進計画」を盛り込み、「豊島区子ども若者総合計画」を策定いたしました。

 コロナ禍においても、子どもたちが委縮せずに支援を求め、自分らしく生活する権利を実現するため、「子どもの権利条例」の啓発パンフレットやカードなどを作成し、教育委員会と連携を図りながら、理解を促進してまいります。

 また、「第2期 豊島区子どもの権利委員会」が本年7月から始まるにあたり、「子どもの権利擁護に関する施策」について諮問いたしました。これから2年にわたり、子どもの権利擁護委員のあり方も含め、専門的かつ幅広い見地から検討いただきます。委員会での議論を注視しながら、子どもの権利を守るための取組みを進めてまいります。

 次に、保育の充実について申し上げます。

 コロナ禍を受けて各保育園は、感染防止のリスクを考慮した様々な制約の中にあっても、子どもたちに確かな日常を保障すべく、試行錯誤しながら運営しています。

 区は、各施設をサポートすべく、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのマスクや消毒液等の衛生用品の購入経費として、一施設50万円を上限に補助を行ったところです。感染拡大の長期化を見据え、区内のすべての認可保育施設等に対し、更なる補助として、総額3,608万円を本定例会の補正予算に計上させていただきました。

 安全はもとより、日々着実に様々な体験を積み重ね、子どもたちが健やかに過ごせるよう、各施設への支援、連携・協力にさらに注力してまいります。


8.教育

 次に、「教育」について申し上げます。

 区立小中学校、幼稚園では、かつてない長期休業を経て再開した後、例年より4週間少ない「短い夏休み」が終わり、既に8月24日から2学期が始まっております。

 休み明けより、熱中症と感染防止の2つの対策を同時に進める中、いつも以上に、子供たちの心と体の状態に配慮しながら教育活動を進めております。今後も、様々な状況の変化に柔軟に対応することで、引き続き、子供たちの健やかな学びを最大限、確保してまいります。


(1) タブレットパソコン1人1台体制の進捗

 次にタブレットパソコン1人1台体制の進捗について申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の影響で、児童生徒の学習環境が大きく変化する中、豊島区は、子供たちの学ぶ権利を保障するために、日本中のどこよりも早く区立小中学校の児童生徒に対し、「タブレットパソコン1人1台体制」の整備を進めました。

 8月27日には、トップバッターとして、朋有小学校でタブレットパソコンを配布している様子がテレビニュースで取り上げられ、タブレットを受け取って、わくわくする子供たちの嬉しそうな笑顔が映しだされました。

 今回、学校でも家庭でも活用できるタブレットパソコンを全ての子供たちに貸与することができ、「一人も取り残さない」対応を早期に実現できたことは、まさに「SDGsモデル都市」である豊島区にふさわしい取り組みとなりました。今後、いつでも、どこでも、その児童生徒に適した学習を展開していく中で、不登校の児童生徒や外国籍の児童生徒に対しても、1人1台体制の利点を大いに活かしてまいります。


(2)子どもスキップ学童クラブにおける公民連携の取り組み

 次に、子どもスキップ学童クラブの取り組みについて申し上げます。

 夏休みの期間中に、小学校の長期休業中の保護者の弁当作りの負担を軽減するため、かねてより要望のありました宅配弁当の提供を、試行的に実施いたしました。

 試行に当たっては、栄養、品質、衛生管理のほか、環境保全への配慮や配達等の実績のある、ワタミ株式会社と教育委員会が7月29日に協定を締結し、1食500円で、全ての学童クラブで実施しました。教育委員会にとっては初めての公民連携協定となりました。

 夏休み中の平日9日間で2,047食の注文があり、平均すると各学童クラブで毎日約10食を提供したことになります。利用された子供たちや保護者から概ね好評を博しましたが、今後、利用者アンケートを実施して、試行結果を分析し、次期の休業期間に向け課題を検討してまいります。


9.おわりに

 『悩むのは夢や希望があるからだ。乗り越えた先に素晴らしき未来がある。』これは、ソフトバンクグループを創業し、第一線で活躍する孫正義氏の言葉であります。

 私の信念である「文化によるまちづくり」は、「夢」が大きな原動力となっています。破綻寸前の財政状況や「消滅可能性都市」との指摘に、果敢に正面から立ち向かってきた、私の心を強く後押ししたのは、豊島区の明るい未来を描く「夢」、そのものでありました。

 冒頭に述べさせていただいた通り、このたび豊島区は、悲願でありました「SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」に選定されました。感慨もひとしおであると同時に、ダブル選定は都内で初めての快挙でもありますので、首都東京の代表として恥ずかしくない、先進的な取り組みが期待されます。

 今の私の「夢」は、2030年までに「誰をも 受け入れ、誰からも 受け入れられ、持続して発展する 豊島区」を、区民の皆さんと一緒に創りあげていくことによって、SDGs未来都市、そして、持続発展都市が豊島区の代名詞となっていくことであります。

 豊島区は、東京の中でひときわ存在感を発揮するまちに生まれ変わりました。10年前、20年前に、現在の豊島区の大躍進を誰が想像できたでしょうか。およそ不可能と思われてきた豊島区の大改造・大変革を、私は区民の皆さん、議会の皆様とともに、強い信念と情熱を持って、着実に実現してまいりました。

 確かに、新型コロナウイルス感染症の影響は不透明となっており、今後数年間、厳しい区政運営を強いられることも覚悟しなければなりません。

 先日、池袋が4年連続で1位となっていた「借りて住みたい街ランキング」の今年の結果が発表されました。そこでは、池袋は順位を5位まで落としていました。詳細は分かりませんが、私は池袋繁華街の「夜の街」におけるコロナ感染の風評が影響を与えたのではないかと考えています。しかしながら、「キッズパーク」のオープンや「イケ・サンパーク」の「ファーマーズ・マーケット」、そしてSDGs未来都市に向けた取り組みなどを力強く発信することで、必ずやランキング第1位の地位を奪還しなければなりません。

 こうした時期だからこそ、これまで「オールとしま」で築き上げてきた「文化の灯」を途切れさせてはならないのです。文化を基軸としたまちづくりこそ、持続的なまちの発展や地域経済の活性化、都市継続の基盤となる安定的な税収の確保に向けた取り組みであります。こうして得た財源を、福祉や教育をはじめとして、区民の生命や生活を守るために有効に活用していくことによってはじめて、「国際アート・カルチャー都市」を実現する「夢」が叶うのです。

 私は、これまで通り困難から目をそらさず、挑戦する勇気とぶれない信念を持ち続けることで、この難局を乗り越え、区民の皆さま、議員の皆さまとともに、豊島区の明るい未来を切り拓いてまいりますので、何卒、深いご理解とご協力をお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、条例4件、決算認定4件、補正予算4件、その他7件、合わせて19件であります。

 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。

 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。