令和3年第2回区議会定例会招集あいさつ(令和3年6月16日)

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 はじめに

 本日、ここに令和3年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 今なお、世界各地で猛威をふるう「新型コロナウイルス感染症」につきましては、複数の変異株の発生など、その脅威は衰えず、未だ収束には至っておりません。日本国内で初めて感染者が確認されて以来、もうすぐ1年半が経過しようとしています。

 改めまして、「戦後最大の危機」、「100年に1度の災禍」と言われるこの感染症に対し、長きにわたり奮闘され、この瞬間も最前線で治療にあたられております医療従事者の皆さま、介護や障害者の支援に携わる皆さまなどに、深く、深く御礼を申し上げる次第です。

 令和2年1月から現在にいたる、この間、東京都には3度の緊急事態宣言が発出され、不要不急の外出自粛、飲食店や商業施設への休業や営業時間短縮、イベント等の開催制限が要請されるなど、私たちの日常生活は大きく制約され、地域の経済活動にも深刻な影響を及ぼし続けております。

 区においても、学校の休校や保育園の休園、窓口サービスの一部休止や施設の休館、様々なイベントの中止や延期など、これまでに経験したことのない事態への対応や判断が求められ、まさに「コロナとの戦い」を強いられた区政運営となっております。

 しかし、どのような困難に直面しても、区民の皆さんの生命と生活を守り抜くという強い信念のもと、各種相談窓口の設置や充実、区独自のPCR検査センターの開設、業種を絞ったピンポイントでのPCR検査の実施、高齢者全員を対象とした呼びかけ、文化団体や飲食店等への支援、そして、酷暑のなか「豊島方式」として展開した、まちぐるみでの「感染防止キャンペーン」など、やるべきことはすべて実施してまいりました。

 今後も、コロナ収束の切り札となるワクチン接種を迅速かつ丁寧に進めるとともに、引き続きPCR検査による感染拡大予防策を講じることにより、効果的な対応を実現すべく全力を尽くしてまいります。

 3回目の緊急事態宣言発出にあわせて、各会派の皆さまなどからも緊急要望をいただいております。29万区民の命と財産を守るためには、議会と行政が両輪となって、将来を見据えつつ、直面する危機を乗り越えていかなければなりません。ぜひ、更なるご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。


1.新型コロナウイルス感染症への対応

 豊島区の感染状況は、6月13日時点で累計4,403名となっています。幸い第四波は徐々に落ち着きを見せ、直近1週間の感染者数は62名と減少傾向であります。しかし、今後、人流が増加すれば、感染者数の増加も危惧されるため、十分な警戒が必要です。

 保健所では感染者の疫学調査を適切に実施するとともに、同居家族の方々を含む濃厚接触者への検査を、医療機関の協力をいただきながら迅速に行っています。また、本年2月の感染症法の改正に伴い、濃厚接触者の方々にも、法的な裏付けをもって、自宅待機の協力を依頼することができるようになりました。今後も感染の疑いのある方への対応を徹底することで、感染拡大を抑制できるよう注力してまいります。

 今まさに、区政の命運を握っているといっても過言ではない「新型コロナウイルスワクチン接種対応」について申し上げます。

 6月15日現在、65歳以上の高齢者の方で1回目の接種を終えた方は33,267人、全体の58.2%と、都内トップクラスのスピードで順調に進んでおります。なお、6月10日時点での接種率は52.3%、マスコミ報道では、全国74自治体のうち第5位にランク付けされています。

 豊島区では、約200か所のクリニックや病院による「個別接種」を基本とし、接種回数全体の約7割を見込んでおります。これは、その方の病歴やアレルギーなどを熟知し、日頃から信頼関係を築いている「かかりつけ医」に接種いただく体制を確保することにより、区民の皆さんの不安が和らぎ、積極的に接種を受けていただけるものと判断したためです。これまで接種された高齢者のなんと約81%の方が地域のクリニック等で受けられており、「かかりつけのクリニックなので、安心して接種できてよかった」などのお声をいただいております。

 5月24日より開始した「集団接種」は、としまセンタースクエアに加え、6月25日から豊島清掃事務所、6月27日からは歯科医師会が主体となって、豊島区歯科医師会館で接種を実施します。さらに、8月1日からは本格的に区内全8か所に展開してまいります。

 6月3日より開始した「巡回接種」は、地域に密着した、世代を超えて親しまれている「区民ひろば」を接種会場とする豊島区独自の取組です。私も先々週、先週と各ひろばを回りましたが、地域の方々から積極的なご協力をいただき、様々な工夫を凝らした運営となっておりました。利用者からは「通い慣れた区民ひろばで接種できて、豊島区民でよかった」という喜びの声もいただきました。

 区民ひろばでの巡回接種、薬剤師会によるワクチンの小分け・配送、そして歯科医師会による歯科医師会館での集団接種、さらに、医師会でも医師会館を使っての中小企業などへの職域接種を検討しています。これこそ「豊島方式」として全国のメディアに注目されるとともに、首相官邸や総務省のホームページで先進事例として紹介されております。

 この度のワクチン接種大作戦は、豊島区の強みである三師会との緊密な連携で実施し、これにより、接種のスピードを一層加速させてまいります。

 また、町会や自治会、民生委員・児童委員をはじめとする地域の皆さんには、高齢者の皆さんへの接種勧奨など、多大なご協力をいただいております。このような、「オールとしま」での接種体制が実現できていることを、大変心強く感じるとともに、心より感謝を申し上げます。

 一方で、接種を受ける意思はあるものの、予約の仕方が分からないなど、いまだ接種の機会が得られていない方もいらっしゃると思います。「誰一人取り残さない」観点から、社会福祉協議会との連携により、地域のCSWが区民ひろば等で高齢者の接種予約に係る相談・支援を6月1日から開始いたしました。

 6月14日には40歳から64歳まで、6月18日には16歳から39歳までの方を対象に、2回に分けてクーポン券の送付を開始し、優先接種の方から順次接種を進めてまいります。本区においては、国の指定する基礎疾患保有者等に加え、障害のある方とその家族、また、高齢者等に頻繁に接する介護・障害サービス事業所職員や、学校・幼稚園・保育園等の職員、地域の民生委員・児童委員、町会役員など、区独自に優先接種の範囲を拡大いたしました。接種の優先度が高い方々に少しでも早く接種していただくことにより、感染症への不安が一日も早く軽減されるよう取り組みます。

 現在の接種状況を踏まえますと、基礎疾患などの優先接種が7月までには完了し、8月1日からは豊島区全域を8か所に分ける「集団接種」を加えることにより、一気に接種スピードが加速すると見込んでおります。これらの案内や接種についての区の考え方を区民の皆さんにわかりやすくお伝えするため、本日以降、「新型コロナウイルスワクチン接種のご案内」を全戸配布してまいります。

 最近では、区民全体へのワクチン接種を加速させる意味から、「住民接種」に加え、「職域接種」に取り組む企業が増えています。区としても、区民サービスの最前線に立つ職員を対象とする職域接種として行うため、モデルナワクチンを使用し、平日夜間に行うなどにより、当然のことながら「住民接種」には影響を出さず、新たな別枠を設定するかたちで、7月初旬からスタートさせたいと考えています。接種に当たっては、会計年度や人材派遣等の雇用形態を問わず、全ての区職員や外郭団体の職員、さらに区議会議員の皆さんも対象とさせていただきます。会場としては、「あぜりあ歯科診療所」に加え、「豊島区医師会館」を検討しており、9月上旬には、すべての職員が接種できるよう取り組んでまいります。対応は日々変化するため、これからの状況を見極めつつ、区民の皆さまを中心として考えてまいりますので、実施方法を変更することもあり得ることをご理解ください。

 私はワクチン接種こそが、区民の皆さんの生命・健康を守り、コロナを克服する大きな切り札であると確信しております。一人でも多くの区民の皆さんに、混乱なく接種いただけるよう、私が陣頭指揮をとりながら全庁一丸となって取り組んでまいりますので、議員の皆さまからもご支援いただきますようお願い申し上げます。


 今定例会には、新型コロナウイルス感染症対策として約17億円の予算を計上いたしました。第一回定例会の予算編成方針でお示ししましたが、今年度も昨年度に引き続き、厳しい財政状況を踏まえながら、コロナ対策など優先すべき事業については、年度の途中に関わらず、迅速かつ的確に補正予算を計上してまいります。

 主な補正事業といたしましては、まず、商品券を活用した事業者支援です。

 区内商店街の活性化を目的に実施を予定していた「キャッシュレス決済ポイント還元事業」を大幅に見直し、「豊島区商店街振興組合連合会」が発行するプレミアム付き区内共通商品券を、スマートフォン画面の二次元コードを読み込むことで決済可能な、デジタルを駆使した事業として実施いたします。これにより、より長期の区内循環型の経済振興が見込めるとともに、デジタル決裁の普及、商店の業務負担軽減、利用者の利便性向上、非接触型の強みを生かした感染リスクの軽減が期待されます。

 あわせて、「事業者への感染防止対策への補助事業」につきましては、5月6日からの受付開始後、約1週間で当初予定していた200件を超える申請があったことから、急遽8,000万円増額し、年間1,000件までご利用いただけるよう対応いたします。

 次に、子育て家庭への支援策です。

 本区は「一律的な給付は、国や都が実施すべき」との考えに基づき、定額給付金の対象とならない令和2年4月28日以降に出生したお子さんへの給付を見送ってまいりました。しかし、3月に発表された都の出産応援事業の対象が、本年1月1日以降とされたことから、国と都両方の給付対象とならないお子さんが、本区に約1,400人生じることが明らかになりました。コロナ禍において、雇用や世帯収入の低迷が続く中、特に新生児のいらっしゃるご家庭は固定的な支出も多く、経済的な支援が必要であることから、この約1,400人を対象として1人あたり10万円の区内商品券を支給することといたします。支給にあたっては、先ほど申し上げた「デジタル版プレミアム付商品券事業」と連携し、区内経済の活性化との相乗効果を期待できる仕組みになるよう検討を進めてまいります。

 次に、生活困窮者への支援について申し上げます。

 「住居確保給付金」の申請は、4・5月の2か月で1,401件にのぼり、前年同月の約12.7倍となっております。そのうち約88%に当たる1,236件が延長申請となっております。昨年のピーク時に比べると申請件数は減少しましたが、支給期間が延長されたことに伴い、今後も高止まりの状況が続くと見込まれるため、引き続き、窓口職員による丁寧な対応と、迅速な事務処理に努めてまいります。

 この度、国において、一定の要件を満たした生活困窮世帯に対し、1世帯あたり最大30万円給付する新たな「新型コロナウイルス感染症 生活困窮者 自立支援金」が創設されることが決定されました。7月からの受付開始に向け、現在、準備を進めております。

 また、コロナ禍でステイホームが叫ばれるなか、生活保護受給世帯の中には、クーラー購入費用の支給要件を満たさず未設置となっている世帯があることから、こうした世帯に対し、購入費用の補助を行うことといたしました。

 そのほか、国民健康保険料の減免、保育園や幼稚園などにおける感染対策への支援、ベビーシッターの利用補助など、コロナ感染症への対策経費を計上しております。


2.2021年重点テーマ

 次に、2021年の重点テーマについて申し上げます。

 ただいま申し上げた「新型コロナ対策」に加え、「SDGs推進」、「デジタル化推進」、「池袋の都市再生」の4つを本年度の重点テーマに位置付けています。

 昨年、「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業認定都市」のダブル選定を成し遂げてから、はや1年が経過しようとしています。

 未だ途上ではありますが、SDGsの「誰一人取り残さない」という理念は、議会の質疑の中でも数多く取り上げられるなど、本区の将来像である「国際アート・カルチャー都市」と同じくする目指すべき姿として、徐々に浸透しております。

 今年度は、専属の「SDGs未来都市推進担当課長」を中心に、全庁によるSDGs推進を加速してまいります。なかでも、年度中に策定する後期・基本計画では、現在、すべての部署において政策や施策にSDGsの理念を反映するための検討を進めている最中です。さらには、将来のSDGsの主役である「子どもたちのSDGs事業」を、学校を拠点として実施いたします。SDGs推進の主軸としてこの事業を据えることとし、今般の定例会において1億円の補正予算を計上いたしました。

 また、企業や自治体、省庁等と連携し、未来に向けたSDGs事業や人材創りを展開する『内閣府認証事業 ビヨンド2020 ネクストフォーラム』の代表幹事であり、早稲田大学客員教授でもある一木広治氏を「SDGs未来都市推進アドバイザー」にお迎えします。世界や国レベルによるSDGs推進の最新情報を取り入れながら、SDGs先進自治体として、豊島区の特徴を生かした、そして豊島区らしさを際立たせたSDGsの実現に向け、研修等をはじめとする普及啓発の取組みを通してアイディアや助言をいただいてまいります。

 選定から2年目を迎え、SDGsを“知る”から“実践”する段階へのステージアップを目指し、先進的にSDGsに取組む企業や団体等の取組を、特設ホームページで紹介するなど、「オールとしま」によるSDGsの推進を世界に向けてPRしてまいります。

 地域コミュニティの拠点である「区民ひろば」では、SDGs推進に向けた様々な取組みを行ってまいります。今年度は、区民目線のSDGsの啓発を目的としたワークショップの開催や豊島区オリジナルの啓発資材の制作を予定しています。

 「区民ひろば千早」を運営するNPO法人「はばたけ千早」では、SDGs紙芝居「地球を笑顔に みんなでSDGs」を自分たちで制作し、SDGsを地域に分かりやすく伝える活動を始めています。この紙芝居を、私も先日拝見しました。紙芝居の語りをしていただいた別所弘一理事長と岡本まゆみ理事の迫真の演技に加えて、わかりやすいストーリーや色使いの鮮やかさに感動いたしました。地域の身近なSDGs活動が活発になることで、区民の一人ひとりがSDGsの理解を深め、積極的に実践していくことが可能になることを改めて感じたところです。


 SDGs未来都市としての豊島区を、区民や来街者に広く知っていただくため、グリーン大通りの五差路交差点の2か所に、高さ約2.3メートルのモニュメントを設置いたします。

 側面には「SDGs都市宣言」に加え、「セーフコミュニティ認証」と「国際アート・カルチャー都市」を掲載し、持続可能なまちづくりを推進する豊島区の理念を、このモニュメントによって発信してまいります。

 モニュメント設置に併せて、障害者の方々が造るSDGsのモザイク・アートや周囲を照らすライン照明などを整備することにより、池袋の顔であるグリーン大通りの魅力をさらに高めたいと考えています。時間がかかりましたが、間もなく工事に着手し、パラリンピック開催前の8月中旬までに完成する予定です。


 「SDGs推進」の最後になりますが、「2050としまゼロカーボン戦略」の策定に取り組みます。

 近年、酷暑や台風、集中豪雨などの異常気象による大規模な自然災害が頻発しております。地球温暖化対策は、地球上のすべての生物にとって避けることのできない喫緊の課題です。

 本区は「SDGs未来都市」として積極的に環境問題に取り組むべく、第一回定例会において、23区で3番目となる「ゼロカーボンシティ」を宣言いたしました。

 この実現に向け、今年度中に「2050としまゼロカーボン戦略」を策定いたします。先月27日には、日本におけるSDGs研究の第一人者である蟹江憲史先生が会長を務める「第1回豊島区環境審議会」が開催され、各委員から専門的な見地に基づくご意見やご提案をいただきました。また、同審議会には、日本気象協会の専門職の委員が新たに就任され、気候変動においても議論が進められるものと期待しております。

 次に、3つ目の重点テーマ「デジタル化の推進」について申し上げます。

 ウイズコロナ・アフターコロナでは、区民生活を持続的に支える観点が重視され、デジタル技術の活用が大きな注目を集めています。去る5月12日には「デジタル改革関連法案」が成立し、デジタル庁を中心とした国を挙げてのデジタル化を進める体制や環境が整いつつあります。

 本区におきましても、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が重要なテーマです。今年度が「デジタル化を進め、DXに向けた布石を打つ最初の年」になることから、現在、「豊島区DX推進方針」をとりまとめております。

 また、5月には民間のICT専門職の方を「デジタル化推進員」としてお迎えいたしました。既に、デジタル化を検討する庁内のプロジェクトに参加し、推進方針や各種行政手続きのオンライン化の検討を始めるなど、精力的に活動いただいております。さらには、DXを職員に浸透させ、実践できる人材を育成するため、年間5回にわたる研修を計画的に実施します。

 これから本格的に区のデジタル化を進めていく中で、区民の皆さまの利便性をさらに高めていくことはもとより、業務の効率化をはじめ職員の生産性向上など、取り組むべきテーマが山積しています。デジタル化推進員の力を借りながら、「豊島区DX元年」として、デジタル技術を活用した利用者目線の行政サービスのさらなる改善に向け、着実に歩みを進めてまいります。


 次に、重点テーマの最後「池袋の都市再生」について申し上げます。

 SDGsの考え方は、本区が歩み続けてきた都市政策の理念である「誰もが主役になれる都市」とも合致する世界共通の目標です。完成した23のまちづくりプロジェクトに魂を吹き込む、まさに“ひと”をターゲットにしたまちづくりの重要性が、今後、さらに高まってくるのです。

 私が常に申し上げているように、「池袋の都市再生」は、「駅袋(エキブクロ)」から脱却し、四季を感じ、歩いて楽しい、ウォーカブルなまちを実現することを目的に、これまで池袋駅周辺の4つの公園を核として進めてまいりました。特に「Hareza池袋」、「南池袋公園」、「イケ・サンパーク」を擁する東側は、これまでの池袋のイメージを一新する、明るく、開放的でありながらも、それぞれの個性を連動させた「まち全体が舞台」のまち並みが形成されつつあります。

 そして今こそ、池袋西口のまちづくりの道筋をつけるチャンスが到来したのです。

 青空を望む開放的な駅前ひろばを起点として、ひとの流れが四方に広がる国内最大級の歩行者空間を整備いたします。また、開発エリアの奥に広がる闇市があった時代の面影を残すエリアとの連携を生かし、新時代のまち並みと味わい深さを持った雑多なまち並みの両方を満喫できる開発となるよう、西口再開発準備組合や事業協力者である三菱地所、周辺のまちづくりを志す方々と協力しながら検討を進めております。

 “ひと”を“まち”へ呼び込むためには、歩行者の目線で池袋を楽しめるシンボル性のある空間が必要です。池袋西口公園のグローバルリングとともに、訪れた人に感動を与えるような交通広場を活用した駅前のシンボルを整備することで、駅前の開発に終わることなく、池袋全体、さらには豊島区全体への波及効果も生まれ、まちの全体の価値が高まるものと考えております。

 今年度はシンボル整備のひとつとして、池袋駅北口の公衆トイレの改修に取り組みます。このトイレは平成7年に開設しており、既に25年が経過するなど老朽化が進み、利用者からの苦情が多く、便器の洋式化も進んでおりません。平成29年度から取り組んできた「としまパブリックトイレ事業」の総仕上げとして、植田志保さんのプロデュースによりウイロードのイメージと一体的な装飾を施すことにより、池袋のさらなるイメージアップに努めてまいります。


3.文化を基軸としたまちづくり

 次に、文化を基軸としたまちづくりについて申し上げます。

 東京2020大会まで、あと37日となりました。豊島区では、7月18日に池袋西口公園をオリンピックの聖火リレーがスタートし、ゴールのHareza池袋まで聖火がつながれます。本来であればここで終了ですが、その後、「トキワ荘マンガミュージアム」に聖火リレーが引き継がれます。東京の文化的・歴史的な魅力を国内外に発信する場所として、都内11か所のひとつにトキワ荘マンガミュージアムが選ばれたことによる名誉の聖火リレーです。

 8月20日には、イケ・サンパークでパラリンピック聖火リレーの採火式を開催し、巣鴨地蔵通り商店街において聖火リレーが実施されます。

 聖火リレーのボランティアには、地域の皆さんから865名もの応募をいただきました。「オールとしま」で聖火を迎え、「23のまちづくりプロジェクト」によって100年に一度の大変革を遂げた豊島区の街並みと、一生の思い出となるオリンピック・パラリンピックの記憶を、聖火リレーを通じて次世代に引き継いでまいります。


 先月18日には、「ミステリー界の登竜門」と言われる「江戸川乱歩賞」の贈呈式を豊島区で開催することが発表されました。これは、「文化によるまちづくり」を進める豊島区だからこそふさわしいと、講談社さんからの呼びかけで実現に至りました。

 江戸川乱歩は、昭和9年から約30年間を豊島区西池袋で過ごし、ここから『怪人二十面相』、『少年探偵団』シリーズなど数多くの名作が生まれました。歴史ある「江戸川乱歩賞」は新しい才能を期待する乱歩の寄附から始まりました。その贈呈式を、「としま文化の日」の式典と同時に開催することは、「としま文化の日条例」の理念である、まさに、次世代への文化の継承の考え方そのものであると理解しております。


 4月24日に再開を予定していた「ファーマーズ・マーケット」は、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の発出に伴い、現在も休止せざるを得ない状況が続いています。現在、埼玉県の生産者の皆さま、区内の出店者の皆さまに開催時期や方法について意見を伺い、できる限り早期に再開できるよう準備をしております。

 再開後には、毎週末、区民の皆さまに新鮮野菜や、区内や交流都市の逸品などを日常生活の一端として楽しんでいただけるよう品揃えを充実するとともに、ゼロカーボンなどのSDGsの取り組みに接する機会としての役割を強化してまいります。


 4月7日から、待望の特別企画展「トキワ荘と手塚治虫 -ジャングル大帝の頃-」が始まりました。トキワ荘を切り口に、手塚治虫先生の代表作である「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「火の鳥」やトキワ荘に暮らしていたころの直筆原稿など大変貴重な作品が展示されております。4月6日の記者会見には、藤子不二雄Ⓐ先生にご来館いただきました。藤子先生は、「手塚先生がいなかったらマンガ家にはなっていない。トキワ荘は僕らの人生を決めたアパートで、世界に向けて大いにPRしてもらいたい。」と力強く語り、新聞、テレビなどで大きな反響を呼びました。

 ミュージアムは、6月1日より再開いたしました。4月25日からの臨時休館中、再開を待ちわびる声が多く、取材も絶えることがなく、改めてミュージアムが皆さんから愛され、注目される施設であることを再確認したところです。

 また、区内の小中学生には、この貴重な特別企画展を、是非、見学して欲しいと考えております。区の大切な財産であるトキワ荘やマンガ文化を学び、区への愛着をさらに深める契機となるよう、教育委員会と連携しながら検討を進めてまいります。

 7月7日の七夕には、開館一周年を迎えます。各プロダクションや住まわれた先生方にご協力をいただきながら、先生方のイラストにぬり絵をして「願い」を書いた短冊を、1万枚、制作いたします。子どもたちや来館者に書いていただいた短冊飾りをトキワ荘公園に並べ、1万人の願いとともに、一周年をお祝いいたします。


 「文化によるまちづくり」の最後に、グローバルリングシアターで開催する本格的なクラシックコンサートとして定着した「トーキョー ミュージック イブニング ユーベ」について申し上げます。

 これまで、緊急事態宣言により止む無く中断しておりましたが、このたび、6月23日には、女流指揮者として世界中を駆け巡っており、カリスマ的人気の西本智美氏率いる「イルミナート フィルハーモニー オーケストラ」演奏会を皮切りに再開し、7月にはNHK交響楽団、東京都交響楽団、東京21世紀管弦楽団など都内屈指のオーケストラが次々と登場します。野外劇場の特性を生かし、安心して音楽を鑑賞できる機会を積極的に提供できるよう、感染症対策に万全を期したうえで、開催いたします。


4.福祉のまちづくり

 次に、「福祉のまちづくり」について申し上げます。

 はじめに、ひきこもりの自立支援対策です。若年層のイメージが強いひきこもりですが、区の窓口相談に来られた方を対象としたアンケート調査では、40代から50代が全体の半数を占めております。社会問題となっている「8050問題」が、本区にも差し迫っていると実感する結果となりました。ひきこもりへの対応は、長期化・高齢化するに伴い、関わり方がいっそう難しくなるため、早期に気付き、当事者やそのご家族が必要とする適切な支援へつなげていくことが重要です。

 このため、7月1日に、福祉総務課に「ひきこもり相談窓口」を設置し、専用相談ダイヤルやメールでの相談を開始します。さらに、7月15日には、「ひきこもり支援協議会」を設置し、学識経験者、専門家、支援団体、当事者の皆さんそれぞれの立場から忌憚(きたん)のないご意見をいただきます。

 今後も、こうしたご意見を踏まえながら、まさに「誰一人取り残さない」という理念のもと、組織を横断した連携体制を確保しつつ、総力を挙げて、ひきこもりの当事者やご家族に寄り添った支援に取り組んでまいります。


 24時間365日の高齢者相談体制について申し上げます。

 高齢者の総合相談は、区内8か所にある高齢者総合相談センターにおいて、きめ細やかに対応しております。本年4月からは、相談センターの開設時間外である夜間の緊急対応や休日相談に対応する電話相談窓口を開設し、24時間365日の相談体制を構築いたしました。夜間や休日相談では、健康や介護保険サービスについての一般的な相談から、緊急通報に繋がったケースなど多岐にわたる相談を受け付けております。これらの相談については、必要に応じ、圏域ごとに高齢者総合相談センターに引き継がれ、その後の円滑な支援に繋がっております。

 今後は、こうした気軽に相談できる体制をより有効に活用いただくとともに、高齢者やそのご家族の不安解消に努め、一人暮らしでも安心できる「高齢者にやさしいまちづくり」を推進してまいります。


 成年後見制度の利用促進について申し上げます。

 区はこれまで、成年後見制度支援として、社会福祉協議会における「サポートとしま」事業、権利擁護支援事業に取り組んでまいりましたが、今後、認知症高齢者や単身高齢者の増加が見込まれ、成年後見制度の需要は益々高まってまいります。

 こうしたことから、現在、保健福祉審議会の下に学識経験者や専門家、区民の皆さんで構成する専門委員会を設置し、成年後見制度の利用促進に向けた条例及び基本計画を今年度中に策定すべく、精力的にご議論いただいております。

 判断能力が不十分になった時でも、住み慣れた地域で、自分らしく安心して暮らし続けられる社会の実現に向け、今後も積極的に取り組んでまいります。


 視覚障害者への移動支援アプリの導入について申し上げます。

 視覚に障害のある方の利便性の向上を目的とし、区では4月から移動支援アプリ「shikAI」によるナビゲーションシステムの運用を開始しました。このIPhoneのナビゲーションアプリは、カメラで点字ブロックに設置した二次元コードを読み取ると、目的地までのルートを音声で案内してくれるサービスです。

 東京メトロにて、本年1月から実施され、4月までに東池袋駅を含めた9駅で導入されています。東池袋駅は、区役所や中央図書館が地下道でつながっていることから、民間のマンション管理組合の協力のもと、東京メトロと連携し、庁舎および中央図書館までこのサービスを延長することが出来ました。

 これは全国の自治体初となる取組であり、デジタルを活用した視覚障害者への支援策であることから、メディアなどでも注目を集めています。


5.子どもと女性にやさしいまちづくり

 次に、子どもと女性にやさしいまちづくりについて、申し上げます。

 まず、「としま子ども若者応援基金の設置条例」について申し上げます。

 この基金を設置するにあたって、アパレル、百貨店、文化施設など、FF協定を締結した5つの企業や団体を訪問し、意見交換を行いました。すでにCSR、企業の社会的責任の一環として、子どもたちのための取組みを進める企業も多いとの報告を受け、私も心強く感じたところです。今後、基金を活用した事業展開、基金のプロモーション、支援の仕組みづくりなどにおいて、引き続き協議していきます。

 また、地域で活躍するNPOや、青少年の知見を有する学識経験者の方々からも、子どもや若者をめぐる諸課題や、基金を活用すべき支援策等について、ただいま、ご意見をお聞きしているところです。

 こうしたご意見を取り入れつつ、基金を通じて困難を抱えた子どもや若者、そして子育て家庭をつなぎ、課題解決のための仕組みを構築してまいります。


 「すずらんスマイルプロジェクト」について申し上げます。

 本年1月末に、様々な困難を抱える若い女性の状況を把握し、実効性ある対策に結び付けるため、高際副区長をトップに、支援に関わる部署が組織横断的に集結した「すずらんスマイルプロジェクト」を立ち上げました。

 設置から間もないながらも、3月の防災備蓄品を活用した生理用品の緊急配付では、このプロジェクト・チームのメンバーが中心的な役割を果たすなど、目に見える成果も表れ始めております。現在は、区有施設への生理用品ディスペンサーの設置について、検討をすすめております。

 また、若い女性の現状や支援活動の実情を知るため5つのNPOなどを訪問した際には、SNSを通じて知り合った者から性被害を受けるケースや、コロナ禍で家族が密になったことが家出につながったケースなど、最前線の事例をお聞きすることができました。

 今後は民間支援団体との連携を強化し、生きづらさを抱えた若い世代の女性が行政や民間の支援につながることができるよう取り組むとともに、本区の施策がさらに若い世代の女性に届くよう、当事者に近い若手の女性職員をプロジェクトのメンバーに加え、事業を実施する際の配慮の仕方や情報発信のあり方など、多様な視点から検討を進めてまいります。

 教育委員会においても、本プロジェクトの趣旨を踏まえ、5月下旬から順次、区立小中学校の女子トイレに生理用品を用意することといたしました。各学校では、配布をお知らせするポスターに、困ったことがあったら保健室や相談室で相談できることを掲載し、児童や生徒が安全・安心な学校生活が送れるよう努めてまいります。


6.安全・安心のまちづくり、環境対策

 次に、安全・安心なまちづくりと環境対策について申し上げます。

 本年4月1日付で岡谷晃治危機管理監が新たに着任いたしました。

 皆さまご承知のとおり、岡谷危機管理監は、平成29年から2年間、池袋警察署長として豊島区の安全・安心に尽力されました。当時、様々な場面でご一緒しましたが、そのリーダーシップや正義感、明るいお人柄、地域への愛着の深さなどに感服し、このたび豊島区の危機管理のかじ取り役として、地域を熟知する岡谷氏をお迎えする運びとなりました。

 着任早々ではありますが、先月には、私や副区長以下、全管理職を対象に「豊島区の安全・安心と危機管理」と題した講話を実施しました。私の信念でもある「現場主義」やメディア対応のノウハウなど、豊富な経験に裏打ちされた具体的な説明は、改めて「危機管理」を見つめなおす大変良い機会となりました。

 岡谷危機管理監には、これまでの経験を生かして、豊島区の安全・安心に関わる全ての事業について、大いに腕を振るっていただきたいと考えております。


 この3月に大塚駅北口は、「イロノワヒロバ」として新しく生まれ変わりました。こうしたハード面の整備にあわせ、大塚のイメージアップを目的に、駅周辺の環境浄化活動も活発になっております。4月に行われた大塚駅周辺の環境浄化パトロールでは、区と警察が連携し、客引きの防止など各種犯罪の防犯活動を呼びかけるとともに、今年度からは大塚駅周辺に専属の警備員を配置するなど、対策を強化しております。

 また、5月23日には、暴力団からの不当要求に地域で立ち向かうことを目的に、大塚・巣鴨・駒込駅周辺で営業する飲食店など1,220店舗が参加する「暴力団等排除協議会」の発足式が開催され、会長には、新たに豊島区商店街連合会の会長に選ばれた、菊池章二氏が就任いたしました。地域の皆さんが一丸となり、安全・安心なまちづくりを進めていくこの協議会に、豊島区も全面的に支援をし、官民一体となってこの活動を発展させたいと考えております。


 防災対策として台風対策や救援センターの状況について申し上げます。

 感染症と風水害などの自然災害が同時に発生する、いわゆる「複合災害」への対応が喫緊の課題となり、昨年度から様々な対策を講じております。

 とりわけ、災害時の区民の皆さまの安全・安心の拠点となる救援センターの運営については、誰もが迅速かつ的確に避難所を開設できるよう、感染症対策を踏まえた「救援センター開設キット」を導入いたしました。

 さらに、救援センターの開設状況や混雑状況を可視化するスマホアプリ「VACAN」を導入することにより、区民の皆さまに的確に情報を提供することが可能となりました。

 救援センターでは、飛沫感染防止のためのダンボールベッドやパーテーション、消毒液やマスク等も完備するとともに、すべての救援センターにおいて震災、風水害及び感染症対策を踏まえて職員による実地訓練を実施するなど、複合災害への備えを強化してまいります。


 環境対策として「プラスチックごみの資源化推進」について申し上げます。

 現在本区では、発泡スチロール製のトレーとボトル容器のみを資源として回収しております。こうした中、今般の国の新たな法制度の動きやSDGs未来都市の選定を契機として、さらなるごみの減量とCO2の削減を目的に「プラスチック製容器包装」と「製品プラスチック」を新たに資源として回収する準備に着手いたしました。

 今年度は、特定の地域を対象に1週間をかけてモデル調査を行い、分別状況やごみから資源に移行される量を推計するなど、混乱なくプラスチック資源回収の拡充を実現できるよう取り組んでまいります。


 また、区内では、公民連携による食品ロス削減の取組みの輪が広がっております。本年3月には、池袋マルイと区が共同でフードドライブを実施し、集めた食品を社会福祉協議会等に提供いたしました。

 3月29日には、フードシェアリングサービス「TABETE」を運営する企業との間で、「食品ロス削減に向けた連携協定」を締結いたしました。この協定に基づき、百貨店等における「TABETE」の参加テナントや区の食べきり協力店の登録店舗を、相互に連携しながら増やしてまいります。

 さらに、食品ロスの削減をコンセプトの一つとして掲げる「ファーマーズ・マーケット」では、様々な主体と連携しながら、食品ロスの削減を実現する仕組みを構築するとともに、SDGsや環境問題をテーマとした啓発ブースを設置するなどにより、食品ロスへの意識を高めてまいります。


7.教育

 次に教育について申し上げます。

 まず、「子どもたちのSDGsの取り組みへの支援」について申し上げます。

 現在、子どもたちは、学習指導要領に基づき「持続可能な社会づくり」を学び、総合的な学習の時間や様々な教科の中で、SDGs 17の目標に関連する事柄について学習しています。また、インターナショナルセーフスクールをはじめとして、これまでも、学校は様々な課題について、身近な地域の方々や大学・企業との連携によって取り組んでまいりました。

 私は、消滅可能性都市の指摘から、持続発展都市へ進化する必要を、身をもって知った豊島区で育つ子どもたちが、自分の住む地域の課題を「自分ごと」として、地域の方々や大学・企業との連携のもとに、SDGsとして取り組むことによって、「SDGs未来都市としま」、その先の持続発展都市の展望が築けるものと考えています。

 「SDGs未来都市」の実現という豊島区の新たな挑戦にあたり、未来の担い手を育む学校や地域を支援することには、大きな意義があると思っております。既に、金子教育長及び事務局は、この取組の中心となる学校、全校を訪問して、今後の進め方について相談し、本定例会では1億円の補正予算を計上しております。今後、さらに区長部局と教育委員会が連携して学校をサポートしたいと考えております。

 現在、教育委員会事務局内にSDGsプロジェクトチームを立ち上げ、11月の「SDGs週間」や「SDGsフェスタ」開催を想定しつつ、各校・各地域の取組を支援しており、今からその発信を楽しみにしています。


 また、「GIGAスクール構想推進プロジェクト」として、児童・生徒へのタブレット1人1台、教員用として各クラス1台の体制が整備されました。

 「ICT環境を整備する段階」から「ICTを利活用する段階」に入ったことを踏まえ、今年度新たに設置した「ICT教育推進担当課長」を中心に、ICTの効果的な活用をさらに研究・推進してまいります。

 授業における協働的な学びの推進はもとより、不登校や特別な配慮を要する児童・生徒に対してICTを活用することにより、「誰一人取り残さない教育」の実現に向けて取り組んでまいります。


 教育の3つ目として、学校改築について申し上げます。

 まず、池袋第一小学校の改築工事は、令和4年8月の竣工に向けて順調に進捗しております。「森の中の学校」をコンセプトとした新校舎は、教育環境の充実や防災機能の強化、併せてライフサイクルコストの削減や周辺環境への負荷軽減など、「SDGs未来都市」にふさわしい学校としての期待が大きく膨らみます。

 また、今後の学校改築を見通して、この度、旧平和小学校跡地に仮校舎を複合施設として整備することにいたしました。まずは、千川中学校の改築に向け、すでに学校や地域の皆さんによる「建て替え等を考える会」において、設計に向けた検討を始めております。令和8年の新校舎竣工に向けて、区長部局と教育委員会が十分に連携しながら、しっかりと検討を進めてまいります。

 今後の学校改築や、長寿命化改修の考え方については、公民連携を踏まえつつ、検討を進めている「学校施設長寿命化計画」においてお示ししたいと思います。


おわりに

 「夢や目標を達成するには1つしか方法がない。小さなことを積み重ねること。」これは、日本、アメリカの野球界で数々の偉業を成し遂げたイチロー氏の言葉です。

 現在、豊島区は、100年に一度の災禍に直面しています。しかし、これは乗り越えなければならない一つの試練であると同時に、大きく進化する契機でもあります。

 私が区政に関わるきっかけとなったのは、古書店を営んでいた昭和57年、豊島区商店街連合会の青年部長として、区制50周年記念行事に参加したことでした。翌年には、戦後の闇市をひきずった「暗い、怖い、汚い」の3Kといわれていた池袋のイメージを払しょくし、豊島区を品格のある文化都市にしたいという強い信念から、区議会議員に挑戦し、政治家としての第一歩を踏み出しました。

 その後、長い時間がかかりましたが、区長に就任し、区制70周年を契機に本格的に「文化によるまちづくり」をスタートさせました。区制80周年には、池袋の3Kのイメージを覆し、「オールとしま」での安全・安心なまちづくりによるセーフコミュニティの認証へとつながりました。

 そして来年は、「豊島区制90周年」の節目を迎えます。私にとっても、政治の道を志し、豊島区政の発展のために、地道に一つ一つ努力を重ねてきた40年であります。

 これまで積み重ねてきた「文化によるまちづくり」により実現させる「国際アート・カルチャー都市」と、それと軌を一にする「SDGs未来都市」は、豊島区民の皆さんに、コロナに打ち勝った先の夢や希望を与える、まぎれもなく私達がこれから目指すべき目標・将来像であります。

 区制90周年に向け、「文化によるまちづくり」の集大成としてのSDGs未来都市、誰もが「住みたい、住み続けたい、訪れたい」と思える、笑顔になれる魅力あるまちづくりを加速させてまいりますので、議会の皆様におかれましても最大限のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 本日、ご提案申し上げる案件は、条例5件、補正予算2件、その他3件、合わせて10件であります。

 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。

 以上をもちまして、令和3年第二回区議会定例会招集挨拶といたします。