令和3年第4回区議会定例会招集あいさつ(令和3年11月17日)

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 はじめに

 本日、ここに令和3年第四回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 先日、11月1日の「としま文化の日」は、コロナ対策を講じながらの開催となりました。

 この本区ならではの記念日は、「文化の灯を灯し続けなければならない。」という、強い思いやこれまでの文化への取組が結実した、文化政策の集大成と言えるものです。

 記念式典では、豊島区出身の東京オリンピック2020のメダリストである野中生萌選手をはじめ、4名の方に文化栄誉賞を贈呈しました。第2部では、豊島区が誇る日本を代表するミステリー作家、江戸川乱歩先生が創設した江戸川乱歩賞の贈呈式が、初めて豊島区立芸術文化劇場で開催されました。

 今回は、「SDGs×文化」を「としま文化の日」のメインテーマに掲げました。区民の皆さんや様々な企業と連携し、90を超えるイベントがラインナップされた「公と民の知恵と力を結集した“としま文化の日”」となり、来年の区制施行90周年に弾みをつける、大きな一歩となりました。

 また、「としまSDGsウィーク」の期間中、池袋西口公園グローバルリングシアターでは、炎のマエストロ小林研一郎氏のコンサート、吉本興業の芸人さんたちによるSDGsをテーマにした様々なパフォーマンスなどが開催されました。イケ・サンパークでの「ファーマーズ・マーケット」、子どもたちを対象としたワークショップ、グリーン大通りと南池袋公園では、「イケブクロ リビングループ」が開催され、そごう西武のドラムサークルの音色で「としま文化の日」を盛り上げていただきました。

 さらに、地域文化創造館や区民ひろばでは、この期間に併せて多くのサークルや団体が発表会などを行い、まさに、大勢の方が参加する「誰もが主役の舞台」になったことを実感いたしました。

 私は「文化のないところにまちの発展はない。」「文化政策を進めることで意識が変わり、まちに元気がでる。」と言い続けてまいりました。社会全体に閉塞感が漂う現状を打破するためにも、緊急事態宣言が解除された今だからこそ、豊島区の文化による底力を示し、地域の皆さん、そして全国の皆さんに夢と希望と笑顔を届けられるよう、取り組んでまいります。


1.新型コロナウイルスワクチン接種

 はじめに、「新型コロナウイルスワクチン接種」について申し上げます。

 7月12日から9月30日までの81日間に及んだ「緊急事態宣言」が終了し、先月25日には飲食店への時短要請が解除されました。区内の感染状況は、直近一週間当たりの新規陽性者数は5名以内と、落ち着いている状況となっています。

 大変厳しい状況ではありましたが、国や東京都、医師会等を中心とした関係機関との連携、全庁的な特別支援体制での保健所支援、そして何より、区民の皆さん一人ひとりのご協力により、この難局を乗り越えることができました。

 新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、オールとしまによる「豊島方式」を採用することで、11月16日現在、1回目の接種をした方は対象者の81.4%、2回の接種を終えた方は78.5%となっています。また、65歳以上の高齢者に至っては、1回目は93.2%、2回目は92.1%の方が接種を終えております。「11月末までに接種対象の8割の方が2回の接種を終える。」としてきた目標の確実な達成に向け、日々、努力しております。


 12月からは3回目の接種、いわゆる「追加接種」が始まります。

 2回目の接種を終えてから、概ね8か月以上経過した方を対象に、住民票のある自治体より、段階的に接種券を郵送することとしており、先行接種を行った医療従事者の方々から接種がスタートします。

 追加接種については、当初想定していなかったものですが、9月に国から基本方針が示されて以降、十分な接種体制の確保に向け、医師会等とも協議を重ねながら、準備を進めてまいりました。

 報道にもありましたが、11月15日、厚生労働省のワクチン分科会が追加接種の実施内容について見解を示し、その中で、接種間隔について、「『2回目の接種から概ね8か月以上』を原則としつつも、感染状況等を踏まえて、自治体の判断で『6か月経過後』の接種も認める」との発表がありました。

 これまで、「8カ月以上経過した方」への接種を前提に準備を進めてきた現場においては、接種開始を控えての大きな方針変更となり、また、自治体間で対応が異なった場合、住民の方々の混乱も大きくなることから、昨日開催された区長会においても、大いに議論となりました。その後、ワクチン担当大臣、厚生労働大臣が、「クラスターの発生状況等を踏まえて、6か月後からの接種を判断することも認めるということであり、『2回目接種から8か月後』を原則とする方針に変更はない。自治体は8か月後を前提に準備していただきたい」旨の発表をされました。本日実施される国の説明会では、同様の説明があるものと思います。

 このように二転三転することもありますが、本区といたしましては、医師会等との連携をさらに強化するとともに、これまでの経験や教訓を活かし、追加接種が円滑に進むよう全力を尽くしてまいります。


2.SDGsの推進

 次に、「SDGsの推進」について申し上げます。

 今回の「としま文化の日」のテーマは、「SDGs×文化」です。「としまSDGsウィーク」と銘打って、様々なSDGs事業に取り組みました。

 区立小中学校30校では、地域や大学・企業等との連携による、SDGs達成のための担い手を育てることを目的とした「SDGs達成の担い手育成事業」がスタートしています。

 11月8日には、本事業の一環として、芸術文化劇場で「SDGsフェスティバル」が開催されました。小中学校8校の児童生徒の皆さんが、保護者・地域の方々と一緒に、日頃のSDGsの取組を発表しました。

 また、会場で発表しなかった学校も含め、事前に活動の記録を収めた映像で全校が紹介されました。この日の模様は、オンラインでも配信され、子どもたちが元気に活躍している姿を広く区民の皆さんへ届けるとともに、「オールとしま」でのSDGsの取組を呼びかけました。

 さらに、各学校では、11月の一定の期間を「SDGs学校チャレンジ週間」と位置づけ、子どもたちが取り組む様子を公開授業等により、保護者や地域の皆さんに公開しています。

 子どもたちが地域の課題を「自分ごと」として、地域の方々や大学・企業との連携によりSDGsの体験学習に取り組むことは、学校での取組を持続させるカギとなるものであります。

 豊島区の未来を担う子どもたちが、地域の大人たちと一緒にSDGsを学んでいくことで、SDGs未来都市である豊島区を、持続発展都市へしっかりと導いてくれるものと確信しています。


 また、「イケ・サンパーク」では、吉本興業が子どもを対象としたワークショップイベント「WARAI MIRAI Fes presents ワークショップ」を実施し、多くのお子さんに楽しみながらSDGsを考えてもらう機会となりました。

 地域区民ひろばでは、11月から12月をSDGsチャレンジ月間とし、SDGsの関連事業への参加を促進するスタンプラリーを開催しています。参加者には、自分で実行できるSDGsの目標を「SDGsマイチャレンジ」として宣言してもらい、より身近にSDGsを考えるきっかけとなりました。

 先月には、本区のSDGsの取組が、日本国内の様々な自治体や企業の優れた取組に送られる、一般社団法人CRM協議会主催の「ベストプラクティス賞」に選ばれました。これは2017年の「年中無休のワンストップ区民コールセンターモデル」での受賞以来、2度目の栄誉です。

 こうしたSDGsの取組を幅広く知っていただくため、10月29日にSDGs特設ホームページを開設しました。これまで以上に、区内のSDGsの取組をわかりやすく、タイムリーにお届けいたします。


3.デジタル技術を活用した区民サービスの向上

 次に、新たな日常に対応するための「デジタル技術を活用した区民サービスの向上」について申し上げます。

 コロナ禍では、我が国におけるデジタル化の遅れを痛感いたしました。これを教訓に本区では、テレワーク端末の導入やオンライン会議室の整備を進めるなどのリモート環境の整備にいち早く取り組みつつ、本年度の重点テーマとしてデジタル化推進を掲げ、非来庁・非接触型の区民サービスの拡大に取り組んでいます。

 まず、区政連絡会のオンライン開催について申し上げます。

 地域と区をつなぐために欠くことのできない区政連絡会は、昨年来、中止、あるいは書面送付による実施を余儀なくされました。

 そこで、コロナ禍であっても、区政情報をより正確にお知らせし、直接ご意見を伺い、区政に反映していくための手段の一つとして、11月期よりオンラインによる区政連絡会を実施いたします。

 第11地区のおけるモデル実施の状況を踏まえつつ、地域の皆さんのご意見を丁寧に伺いながら進めてまいります。


 「マイナンバーカード利用による転出届出のオンライン申請」も6月からスタートしました。

 これまでも、来庁せずに転出届出をする方法として、郵送やマイナンバーカードを使った届出がありました。

 この手続きをオンライン化したことにより、来庁することなく、ご自宅に居ながらご都合のいい時間に手続きが完了できるなど利便性が向上しております。

 今後は、より高い利便性を目指し、スマートフォンを活用した対応などについても検討を進めてまいります。


 10月からは、区民相談コーナーとひきこもり相談窓口において、オンライン相談を開始しました。

 オンライン相談は、コロナ感染リスクの抑制につながるばかりでなく、移動時間を節約したい、自宅で子育て・介護などをして外出が難しい、直接の対面相談が苦手な方などの相談に応えることができる効果が期待されます。

 さらには、相談したいが周囲の視線が気になり外に出られなかった方も、ストレスなく相談ができるなど、区民の皆さんの多様なニーズにも対応できるものと考えております。

 今後も、「気軽に区役所に相談に行くには敷居が高い」、「相談に行く勇気が出ない」など、支援を希望しながらも、相談につながらない方に配慮した、相談しやすい環境の充実に努めてまいります。


 本区では、簡単な質問へ答えていくだけで、保育園入園時の多岐にわたる必要書類を確実にお示しするオンラインの「手続きガイド」を令和2年2月に導入し、保護者のみなさんに好評をいただいています。

 しかしながら、申請については、書類を窓口へ持参もしくは郵送していただいており、とりわけ4月入園の申し込み時期には、大変窓口が混み合い、また職員の超過勤務も積年の課題となっておりました。

 様々な工夫により、繁忙期の待ち時間は平均約40分から約14分まで減少しておりますが、さらなる改善を目指して、従来の郵送に加え、年度内にオンラインでの申請ができるよう、準備を進めてまいります。

 区民サービスのデジタル化について、主な取組を申し上げましたが、こうした区政のデジタル化推進を支える職員育成にも力を注いでいます。

 デジタル化推進員を講師として、6月には管理職と係長を対象とする集合研修を実施し、年度末にかけてイーラーニング研修を継続します。また、「寺子屋ICTプロジェクト」と称して、若手職員の英才教育も実施しています。去る11月11日には第1回研修を開催し、私から受講者に対して区政のデジタル化推進に向けて力強くメッセージを伝えました。次代のデジタルガバメントを担う職員育成により豊島区ならではのDXを加速してまいります。


4.文化によるまちづくりの再開

 次に、「文化によるまちづくりの再開」について申し上げます。

 まず、「ファーマーズ・マーケット」について申し上げます。

 10月30日には「イケ・サンパーク ファーマーズマーケット」を、昨年12月以来、なんと10か月ぶりに再開し、その後、毎週末に開催しています。

 北海道中富良野町をはじめ、鹿児島市、湯河原町などが出店しておりますが、地方の物産は大変人気があり、どのブースも飛ぶように品物が売れ、区民が交流都市を身近に感じることができる絶好の機会となっています。

 この事業は、食品ロス、商店街活性化、地方都市との交流など、SDGsの要素をふんだんに取り入れています。会場には、環境をはじめとするSDGsの啓発ブースを新たに設置し、SDGsをより浸透させるとともに、地域活性化のシンボル的なマーケットとして根付かせるよう努めてまいります。


 Tokyo Music Evening Yube(トーキョー ミュージックイブニング ユーべ)は、10月より再開しております。先ほども述べましたが、11月3日には「としま文化推進週間」を記念して、当区の芸術顧問である炎のマエストロ 小林研一郎氏 が登場し、すべての観客を魅了する熱演がグローバルリングで繰り広げられました。

 本日19時には、「NHK交響楽団メンバーによる弦楽五重奏団」が登場いたします。これに合わせて「池袋西口公園エクストリームイルミネーション2021点灯式」が開催され、来年1月末まで池袋西口公園は美しい光のファンタジーで彩られます。

 今月24日には、日本を代表する区内在住の作曲家青島広志さんも登場するなど、世界レベルの演奏が、今後も目白押しになっておりますので、どうぞご期待ください。


 また、今年1月の「2021としま成人の日のつどい」は、新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受けて、まことに残念でありましたが、会場での式典を断念し、オンライン開催となりました。次世代を担う新成人の皆さんと大切なご家族、友人、そして、豊島区の未来を守るために、胸が張り裂ける思いで中止を決断したことを、今も忘れることはできません。

 来年1月の成人式では、手指消毒などの基本的な感染防止対策に加えて、2部制による分散実施や式典時間を短縮するなど、安全・安心に最大限配慮しつつ、式典の再開に向けて準備を進めております。

 新成人の皆さん一人ひとりの大切な思い出となるよう、国際アート・カルチャー都市のシンボルである豊島区立芸術文化劇場をはじめとする、Harezaタワー、としま区民センター、中池袋公園のHareza池袋全体で新成人の皆さんをお迎えし、大きく街の姿が変わった、新しい池袋の街並みの中でお祝いしたいと思います。


 さて、「としまビジネスサポートセンター」などが主催する交流会が、ようやく再開されました。コロナ禍により他者と交流することができなかった経営者や起業希望者の皆さんも、新たなビジネスチャンスを捉える機会が増加しています。

 さらには、過去2回中止となった「としま ものづくりメッセ」についても、2月の開催に向けて産業協会の皆さんをはじめとして、区内事業者の皆さんの機運が大いに高まっております。

 11月に「Hareza池袋エリアマネジメント協議会」を設立いたしました。

 Hareza池袋では令和元年11月のグランドオープン以降、地域の賑わいづくりを進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大以降は、思うようにイベントなどを開催できない状況が続きました。

 こうした中、今月1日にHarezaに関係する、東京建物株式会社、株式会社サンケイビル、TOHOシネマズ株式会社などの団体の代表者が集まる「Hareza池袋エリアマネジメント協議会」を立ち上げました。再スタートにあたっては、防災、環境、情報発信など、より個性的な賑わいづくりを目指した検討を進め、「国際アート・カルチャー都市構想」の拠点であるHareza池袋の将来に向けた力強い発展につなげてまいります。


5.子どもから高齢者までの安心を支えるまちづくり

 次に、「子どもから高齢者までの安心を支えるまちづくり」について申し上げます。

 まず、「ひきこもり対策」について申し上げます。

 7月にひきこもり相談窓口を設置し、来庁のほか、電話とメールによる相談を開始しました。また、10月からは自宅など、相談者の慣れた環境で顔を見ながら相談ができるオンライン相談もスタートしています。広報としま特別号では、支援者の顔とメッセージを掲載しており、顔の見える支援体制が安心感を生みだし、結果として相談件数を押し上げていると考えております。

 さらに、講演会の開催や広報としま特別号の発行など、ひきこもりの正しい知識の普及啓発も行っています。

 当事者にとって安心して過ごせる場所や自らの役割を感じられる機会を見出し、社会とのつながりを回復するきっかけとなるよう、今後も相談体制の充実や啓発の強化に努めてまいります。


 保健福祉審議会での約1年にわたる検討を経て、去る11月1日に審議会より「成年後見制度の利用促進に係る条例」及び「基本計画の策定」について答申をいただきました。

 超高齢社会において、判断能力が低下している方の日常生活を支援するこの制度の利用促進は、SDGsの理念である「誰ひとり取り残さない」社会の実現に向けて大変重要な役割を果たすものです。

 23区で初めてとなる条例制定により、区民の皆さん誰もが、この制度が必要になった時に速やかに利用できるよう、行政・地域・関係団体等が一体となって取り組むとともに、地域全体に成年後見制度への認識を深めてもらえるよう、積極的な普及啓発に努めてまいります。


 次に、「特別養護老人ホームの整備」について申し上げます。

 旧朝日中学校跡地活用については、平成29年度に特養の整備を検討する旨の方針をお示しいたしました。この度「学校施設長寿命化計画案」の中で、旧朝日中学校跡地を仮校舎として活用する方針としたことから、もう一つの候補地であった西巣鴨体育場において整備する方向で検討を進めることにいたしました。

 また、計画変更にあたっては、区民ひろばの中でも施設面積が最も小さい区民ひろば朝日を拡充することにいたしました。

 今後も地域の皆さんからのご要望に耳を傾けるとともに、要介護者のニーズや事業者の参入意向などを踏まえながら、特別養護老人ホームの整備内容を検討してまいります。

 一方、西巣鴨体育場については、特別養護老人ホームの整備に伴い、テニスコートやアーチェリー場の移転が必要となります。体育協会や利用団体との意見交換を重ねながら、現在整備を進めている旧第十中学校跡地の野外スポーツ施設や総合体育場への機能移転について検討を進めてまいります。


 次に、「すずらんスマイルプロジェクト」について申し上げます。

 6月からメンバーに加わった若手職員が中心となり、若い世代に活用してもらえる情報発信について、これまで検討を重ねてきました。その成果として、やさしい印象のイラストなどを多用し、わかりやすい表現で情報を発信する「すずらんスマイルプロジェクト」のオフィシャルサイトを新設いたします。

 また、生きづらさを抱えた若い女性のための居場所ともなる出張相談会「ぴこカフェ」を、毎月2回、池袋サンシャインシティ アルパ1階の「グローカルカフェ イケブクロ」で開催しています。この出張相談会は、地域で女性の支援に取り組んでいるNPOと連携して実施していますが、会場の雰囲気づくりや来場した方への情報提供の仕方など、これまでのNPOの活動実績やノウハウが活かされており、女性支援のための心強いパートナーとなっています。

 今後も、若い世代の女性がひとりで問題を抱え込むことのないよう、地域の団体との連携を一層強化しながら、ニーズに添った支援に取り組んでまいります。


 次に、「ひとり親家庭への支援」について申し上げます。

 ひとり親家庭支援センターにおける4月から9月までの相談件数は、昨年度の3,337件に対し、今年度は3,381件と高止まりしています。相談内容は、就職や住宅、生活資金に関する相談が75%を占めており、ひとり親家庭の苦しい実態が現れております。

 このような状況を踏まえ、「としま子ども若者応援基金」を活用し、12月中旬には第1回目のひとり親家庭に対する精米の配布を行えるよう、準備を進めております。経済的な支援と合わせて、孤立しがちなひとり親家庭を地域のネットワークにつなげるべく、NPOと連携しながら取り組んでまいります。


 次に、「としま子ども若者応援プロジェクト」について申し上げます。

 プロジェクトの大きな柱の一つである、困難を抱えた子どもや若者、子育て家庭を支援するための寄附金として、現在、1,775万円のご支援をいただいております。

 また、もう一つの大きな柱である公民連携での取組として株式会社サンシャインシティからの提供により、子ども食堂などを利用する子どもたちに、廃棄物の循環をテーマにサンシャインシティの取組やバックヤードを案内する「サステナブルツアー」を11月6日に実施しました。

 また、株式会社ロフトからは、文房具や生活雑貨などのご提供がありました。いただいた物品は、ひとり親家庭への精米配付と併せてお届けいたします。

 引き続き、企業や地域の皆さんと連携を強化しながら、支援の輪を大きく広げ、支援の届かない子ども・若者・家庭ゼロを目指してまいります。


6.都市再生の推進

 次に、「都市再生の推進」について申し上げます。

 まず、「池袋の都市再生」のうち、池袋駅西口のまちづくりについて申し上げます。

 池袋駅西口地区の再開発は、エキブクロを解消し、新たな地上地下結節空間となる「サンクンガーデン」から人々をまちへ誘引し、駅前だけでなく駅の周辺にまでにぎわいを広げることを目指しております。

 また、グローバルリングや東京芸術劇場で上質な音楽や芸術を鑑賞すると同時に、古き良き繁華街の喧騒も楽しめる、これこそが池袋にしかない街の魅力であります。

 現在、池袋駅西口、西池袋一丁目の2地区で市街地再開発事業の検討が進められており、池袋マルイ跡地では、いよいよ解体工事が始まるなど、池袋西口では開発機運がますます高まっております。

 池袋駅北口には、コインパーキングになっている低未利用地も点在しており、今後西口周辺エリアは街が大きく変貌を遂げるポテンシャルを秘めています。

 こうした池袋西口地域の開発が豊島区全体に波及することにより、東京の中でも圧倒的な存在感を示す、国際都市に発展するものと確信しております。

 次に、「立教通り整備事業」について申し上げます。

 立教通りは、これまで地域の方々と長い時間をかけて検討してまいりました。立教小学校前から二又交番に向けての一方通行化と共に、歩道の拡幅と無電柱化を行い、環境の変化に合わせた“ひと”優先の道路づくりを目指しております。

 さらには、立教学院の歴史的建造物と調和した「景観」の向上や、SDGs未来都市に相応しい豊島区初の「環境モデル路線」として計画を進めています。

 具体的には、二又交番から山手通りまでの全長820mを3つの区間に分けて整備を進めてまいります。第一工区は、二又交番から立教大学の正門の先までの整備で、来年の2月から占用企業者の工事が始まり、10月からは無電柱化の工事に入り、令和7年度の完了を予定しています。

 地域の方々や立教学院とも連携を密にしながら、「安全性」「防災性」「景観」「環境」という4つの役割を担う、魅力あふれる新たな立教通りの実現に取り組んでまいります。


7.教育

 次に、教育について申し上げます。

 まず、「移動教室・修学旅行」について申し上げます。

 昨年度は、3か月に及ぶ休校措置に加え、小中学校の宿泊を伴う移動教室、修学旅行は、全て中止を余儀なくされ、小学校6年生及び中学校3年生の代替措置だけが実施されました。

 今年度は、あらためて、この移動教室・修学旅行が、子どもたちにとって、かけがえのない貴重な思い出となる有意義な教育活動であることを踏まえ、コロナ禍においても、可能な限り実施する方向で、学校と教育委員会で協議を重ねてまいりました。

 これまでのところ、中学校3年生の修学旅行は、10月30日までに全8校が無事に終了いたしました。昨年来、様々な学校行事が制限されてきた子どもたちにとって、豊島区の学校で学んだ、貴重な体験や思い出となったのではないかと思います。小中学校の移動教室は、既に予定の7割が無事終了し、年明けの1月末までの間、順次実施してまいります。

 今後も、引き続き、感染対策の確実な実施と、児童・生徒の意見や保護者の皆さまのご理解を前提に、予定通り実施できるよう、各学校をしっかりとバックアップしてまいりたいと思います。


 次に、「学校施設長寿命化計画」について申し上げます。

 本計画については、令和2年度内での策定を目指しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大による区財政への影響を見極める必要があったことや、学校改築に不可欠な仮校舎の確保について、他の施設整備計画との調整に時間を要したことなどから、今年度の策定となりました。

 本計画では、今後の改築や長寿命化改修の考え方を示すとともに、旧平和小学校複合施設を活用した千川中学校と要小学校の改築、旧朝日中学校を活用した東側地区の改築校の検討、長寿命化改修の実施などについてとりまとめ、今後10年間の学校施設整備に基本的な道筋をつけるとともに、子どもたちの学びの環境を着実に向上させてまいります。


8.おわりに

 「今日の成果は、過去の努力の結果であり、未来はこれからの努力で決まる。」この言葉は、日本の実業家であり、京セラ、KDDIの創業者、稲盛和夫氏の言葉です。

 改めて、今年1年を振り返ってみますと、まさに「新型コロナウイルス感染症」を克服するための挑戦に次ぐ挑戦の1年でありました。

 1月7日に発出された2回目の「緊急事態宣言」を皮切りに、4月には第4波が到来し、7月から始まった第5波では、全国での1日の感染者数が25,000人を超え、本区の自宅療養者数は一時的に1,000人を超えるなど、保健所業務はかつてない程の繁忙を極め、災害レベルの非常事態となりました。

 また、「新型コロナウイルスワクチン接種」は、自治体の戦略や機動力などの底力が試される、全庁をあげての総力戦となっており、本区では、オールとしまによる「豊島方式」を推進し、大きな成果をあげております。

 こうした自治体の力が問われる困難にも、果敢に挑戦し、成果を上げることができるのは、これまでの学びと経験を踏まえた地道な「過去の努力」があってこそなのです。

 先人たちの、現在に至る努力に敬意を表しながら、これまでを振り返ることは大切なことです。一方で、私たちには、先人から受け継いだ今の豊島区を、未来を担う子どもたちに引き継いでいくという重要な責任があります。

 この未来に対する責任を果たすためには、100年に一度の災禍に見舞われても、決して歩みを止めることなく、来年の区制施行90周年、SDGsの目標年度である2030年、そして区制施行100周年に向けた努力を惜しまず、あらん限りの知恵を振り絞って進んでいかなければなりません。

 基本構想審議会における、「後期・基本計画」の審議も大詰めを迎えております。現行の基本計画を策定した6年前とは、まちが大きく変わり、区政を取り巻く環境も一変しています。後期・基本計画は、「国際アート・カルチャー都市」と「SDGs未来都市」の二つを目標として掲げ、「DXの推進」、「参画と協働によるまちづくり」の視点によりすべての施策をバージョンアップさせることで、そこに向けた明確な羅針盤にしたいと考えております。

 現在、庁内においては、90周年記念事業を「豊島区の未来」につながるものとするため、予算編成に向け、全庁で事業内容を検討しているところです。

 議員の皆様におかれましても最大限のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、条例3件、補正予算2件、その他5件、合わせて 10件であります。

 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。

 以上で私の招集挨拶を終わらせていただきます。