令和4年第1回区議会定例会招集あいさつ・所信表明(令和4年2月9日)

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 はじめに

 本日、ここに令和4年第一回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 昨年、令和3年は、新型コロナウイルス感染症との激闘の1年になりました。この100年に1度の災禍の中、豊島区は令和4年度に区制施行90周年を迎えます。

 70周年は、区財政危機からの脱却をめざし、本格的に「文化によるまちづくり」を進める契機となりました。80周年は、東日本大震災の復興の最中、安全・安心な文化都市を標榜し、セーフコミュニティ国際認証を取得するなど、社会環境の変化に対応しながら着実に前進してまいりました。

 その後、平成26年に「消滅可能性都市」の指摘を受けた際には、「国際アート・カルチャー都市」構想を打ち出し、元年度には、将来を見据えた100年に一度の集中投資を成功させました。この歩みによって、本区は数年前には誰も想像できなかった変貌を遂げ、国内外から多くの人をひきつける価値あるまちへと成長してきたのです。


 90周年は、100周年に向けた新たなスタートとして位置づけ、「輝く未来 開こうとしま新時代」をキャッチフレーズにいたします。

 また、多くの区民の皆さんにまちづくりへの参画を呼びかけ、人の絆を広げ、豊島区の未来を創る“人”を育てることにより、「誰もが主役となれる価値あるまち」を実現してまいります。記念事業は90周年を象徴する「シンボル事業」、地域の皆さんが実施する事業に対する「補助事業」、そして、例年実施している事業と連動させる「冠事業」の3つで実施してまいります。

 代表的なシンボル事業としては、民間企業との連携による音楽や文化イベントの開催、「豊島子ども未来国連」の実施、区民施設の整備や道路づくりなどの区民の皆さんに身近な「17のまちづくり記念事業」を展開いたします。

 5月のオープニングを皮切りに、11月1日には「としま文化の日」記念式典と併せて行う「90周年記念式典」、3月にはクロージングを予定しており、メリハリをつけて実施してまいります。


 周年行事の推進には、地域の皆さんとの「共創」が不可欠です。本区にお力添えいただいている皆さんを中心とした実行委員会を組織し、単なる節目の周年行事ではなく、共に次なるステージに向けた90周年を創り上げてまいります。

 区議会議員の皆様におかれましても、より一層のお力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げます。


1.令和4年度の基本的な方向性

 初めに、令和4年度の区政運営に関する基本的な考え方を申し上げます。

 令和4年度は、直面する課題に向き合いつつ、将来を見据えて前年度に掲げた「4つの重点テーマ」を継承します。豊島区の将来を切り拓く目標が明確になった今、この一年の着実な成果を、さらに発展させることにより、将来への礎を確固たるものにするための一年といたします。

 第一に、ワクチン接種を中心とする感染拡大防止と地域社会経済活動を両立するための「新型コロナウイルス対策」。

 第二に、持続可能なまちづくりをさらに加速させる「SDGsの推進」。

 第三に、デジタル技術の活用により、区民サービスを向上する「デジタル化の推進」。

 そして第四は、ウォーカブルをキーワードとする、豊島区らしいまちづくりの総仕上げとなる「池袋の都市再生」です。

 90周年、その先にある区制施行100周年を見据えた「国際アート・カルチャー都市」、「SDGs未来都市」への力強い推進と、令和4年度に重点的に取り組む4つのテーマを軸として、コロナ時代にも柔軟に対応する区政運営を実現してまいります。


2.令和4年度当初予算

 それでは、令和4年度当初予算案の概要について申し上げます。

 一般会計と3特別会計を合わせた令和4年度当初予算は、前年度に比べて3.6%増の1,922億9,900万円となり、過去最大の予算となった令和元年度予算に次ぐ2番目の予算規模となりました。

 一般会計予算は、前年度と比べて4.3%増の1,357億9,200万円と、こちらも過去2番目の予算規模となっております。

 令和4年度予算は、重点テーマである新型コロナウイルス対策に万全を期すことを第一に考え、区民生活を守るとともに、区制施行90周年を機に、本区がさらなる飛躍を遂げるための予算編成となっています。


 まず、歳出につきましては、100年に一度の集中投資を行った、元年度の400億円を超える投資的経費と比べ、4年度の投資的経費は172億円と、抑えにおさえ、半分以下となっております。

 一方で、予算総額から投資的経費と人件費を除いた残りの事業費が、初めて900億円を突破し、936億円となりました。主な増要因は、ワクチン接種経費26億円をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策経費として26事業、35億円を計上したことや、区民の暮らしの支えとなる扶助費が対前年度比12億円の増、過去最大となる412億円となったこと、将来の学校改築や区有施設の更新に備えるために、基金積立金を前年度比で8億円増額したことなどが挙げられます。


 次に、歳入につきましては、特別区財政調整交付金、特別区民税、地方消費税交付金の3大基幹歳入が、いずれも改善傾向になると見込んでおります。これは、財政調整交付金の原資となる法人住民税が40%増となることなどが主な要因であります。

 対前年度比で、特別区財政調整交付金が35億円、特別区民税は11億円、地方消費税交付金が12億円の増となり、3大基幹歳入合計では58億円の増を見込んでおります。

 なお、令和3年度歳入決算の見込み額につきましても、新型コロナウイルス感染症を考慮し、歳入額を手堅く見積もった当初予算額を大きく上回る見通しです。今定例会において補正予算案を上程しておりますが、3大基幹歳入の合計で、当初予算額を89億円上回ると想定しております。

 一方、区民サービスを安定的に提供するとともに、持続発展都市の活力を維持・発展するために、2年連続で財政調整基金を活用する予算編成となりました。財政調整基金からの繰入額は、今年度予算の69億円から21億円の減となる48億円を計上しております。

 変異株による新型コロナウイルス感染症が急拡大するなど、社会経済状況の先行きは不透明な状況が続くと見込まれますので、今後もこれまで以上に、慎重かつ堅実な財政運営を行っていく必要があると、改めて肝に銘じているところです。


 私が区長に就任した平成11年当時は、借金は872億円に膨れあがり、財政調整基金もわずか6億円しかありませんでした。

 そのため、いわゆる隠れ借金も含めた、積極的な繰り上げ償還による借金の縮減、必要な時期に大胆に投資的経費に財源を投入し、その翌年には大幅に投資的経費を削減するなどのメリハリを付けた予算編成、貯金と借金のバランスに留意した財政調整基金の積み増しを行うなど、不断の努力と工夫があったからこそ、当時の状況では到底考えられない、約50億円にも上る財政調整基金を繰り入れる予算編成を可能とすることができたのです。

 私は、これまでに区政を担ってきた23年間が、決して間違った方向に進んではいなかったと、改めて確信したところです。今後も、新型コロナ対策に全力で取り組み、区民の皆さんの生活を守るとともに、池袋の都市再生をはじめとした価値あるまちづくりを進めてまいります。


3.新型コロナウイルス感染症対策

 次に、令和4年度重点テーマの1つ目である「新型コロナウイルス対策」について申し上げます。

 私は、どんなに長く厳しい状況下においても、常に前を向き、今できることに全力を尽くすという信念で、コロナ対策を令和3年度の重点テーマの1つ目に掲げ、国や都と連携しながら、全庁を挙げて取り組んでまいりました。

 特に、ワクチン接種を区政の最重要課題と捉え、オールとしまによる「豊島方式」は、先進的な事例として他自治体のモデルとなるばかりでなく、区民の皆さんからも高い評価と感謝の声をいただいております。

 また、駅周辺及び路上飲みが行われている公園での感染防止対策の徹底等の呼びかけやゴールデンウイークやオリパラ期間の特別対策本部の設置、保健所業務の全庁支援など、総力を挙げて、区民の皆さんに寄り添った対応をしてまいりました。

 特に、4月に着任した岡谷危機管理監のきめ細かく、経験を活かした陣頭指揮を、これまで以上に心強く感じております。


 現在、新たな変異株であるオミクロン株の感染による第6波が到来しています。

 区内の一週間当たりの新規陽性者数も、昨年末の週13名から、年明けの翌週には159名と12倍になるなど、これまで経験したことのないスピードで感染が拡大しております。1月下旬には週当たり約2,500名、1日当たり約500名と過去最高の水準となっています。

 区は、感染拡大の兆しが見えた1月中旬には、保健所支援を開始しました。その後、最大1日100人を超える規模にまで応援体制を強化し、5階の会議室、8階のレクチャールーム、9階の第3委員会室など、本庁舎全体を活用した、まさに全庁をあげて、陽性者の方一人ひとりに寄り添った電話連絡による健康観察等を行っています。

 第6波の収束がいつになるか分からない厳しい状況ではありますが、これまでの経験を活かしつつ、「誰一人取り残さない」という信念のもと、必ずやこのピンチを乗り越えてまいります。


 次に、「新型コロナウイルスワクチン接種」について申し上げます。

 さて、昨年12月より、3回目の接種が開始となり、医療従事者、高齢者施設の入所者に続き、現在、65歳以上の方への接種が進んでおります。

 本区では、個別接種・集団接種の両輪の体制で接種を実施いたします。個別接種は203の医療機関で行っており、3月からは、新たに5歳から11歳の小児を対象とする接種が小児医療機関において始まります。

 集団接種は、としまセンタースクエア・豊島清掃事務所・池袋保健所・旧朝日中学校の4か所で実施していますが、としまセンタースクエアでは毎日、池袋保健所では平日夜間に開設するなど、区民の皆さんが、それぞれのご都合に合わせて接種を受けていただけるよう体制をとっています。

 当初、3回目の接種は「2回目接種から8か月後」とされていましたが、国から、前倒しに関する方針の変更が次々と示されました。

 本区では、区民の皆さんに一日でも早く接種いただけるよう、速やかにすべての区民の接種間隔を6か月とするとともに、接種券が届いていない方についても、6か月を経過していれば、集団接種会場において接種ができるよう体制を整え、その旨、広く周知を行っております。

 さらに、区内で急激な感染拡大がみられる中、学校や保育園等子ども関連施設や、高齢者施設等における感染者が急増しています。こうしたことから、子どもたち、そして、高齢者、障害のある方を感染から守るため、区内在住・在勤のすべての保育士、小中学校の教員、介護サービス事業所・障害サービス事業所の利用者及び従事者等への追加接種を積極的に進めております。

 私は新型コロナウイルス感染症の克服には、ワクチン接種が重要な切り札であると考えております。これまでの経験や教訓を活かすとともに、状況の変化にもしっかりと対応し、円滑に接種が進むよう全力を尽くしてまいります。

 なお、私も対象年齢となりましたので、つい先日、名誉区民の 野村萬さん と共に、「モデルナ」で第3回目のワクチン接種を済ませてきました。


 職域接種につきましては、昨年実施した1・2回目接種に引き続き、5月からの3回目の接種実施に向けて、既に国への申請を済ませております。

 昨年の職域接種と同様に、業務に支障のない夜間において、区民の皆さんと直接接する職員はもとより、その家族や、委託先の方々も対象として実施する予定です。

 これにより感染が拡大しても、職員の安全を守りつつ、確実に区役所の業務を継続できる体制を整えてまいります。


4.SDGsの実現に向けて

 次に、2つ目の重点テーマ「SDGsの推進」について申し上げます。

 消滅可能性都市の指摘から持続発展都市「国際アート・カルチャー都市」へと歩みを進めてきた豊島区のSDGsは、全国から大きな注目を集めています。

 とりわけ、自治体SDGsモデル事業の中核となる、個性ある4つの公園とそれをつなぐイケバスによる取組について、未来都市を目指す自治体や様々な企業などから多くの視察が訪れています。

 また、国際アート・カルチャー特命大使制度は、企業、団体、そして子どもを加え、SDGs特命大使の役割を兼任する新たな制度へと進化しております。構成メンバーは、他自治体では類を見ない1,500名を超えるまでにすそ野が広がり、まさに「オールとしま」で、本区のSDGsを推進する体制が整ってまいりました。

 「後期・基本計画」では、「国際アート・カルチャー都市」に並び、「日本の推進力となるSDGs未来都市としての発展」を目標として掲げたいと思っています。文化や子どもを中心とした豊島区ならではのSDGsをさらに発展させ、豊島区の魅力やまちの価値を高められるよう、全庁を挙げて取り組んでまいります。


 本区のその特徴的な取組の一つが「SDGs達成の担い手育成事業」です。

 区立小中学校30校では、保護者や地域・大学・企業等の皆さんにご協力をいただきながら、SDGsの取組を着実に進めています。

 各校の取組は、昨年11月に実施した「SDGsフェスティバル」や「SDGs学校チャレンジ週間」で発表し、ご好評をいただきました。このほかにも、広報としまやSDGs特設ホームページ、としま情報スクエアなどの区の広報媒体に加え、東京新聞やトーキョーヘッドラインなどのメディアにも取り上げられ、区全体のSDGsの機運上昇に寄与しています。

 「SDGs達成の担い手育成事業」の特徴は、学校と地域等が協働で実施していく点にあります。SDGsという共通の目標を持つことで、学校と地域等との信頼関係はより強固になりつつあります。これらの取組を通じて、将来的に区立小中学校全校でコミュニティ・スクールが導入され、「地域とともにある学校」となっていくことを期待しています。


 次に、SDGsの重要な柱である環境政策について申し上げます。

 「SDGs未来都市」である本区は、地球環境問題において、世界の一員として貢献していかなければなりません。このため、令和3年第1回区議会定例会において、23区で3番目となる「ゼロカーボンシティ」を宣言し、昨年12月には、環境審議会において「2050としまゼロカーボン戦略」素案を提示いたしました。

 素案では、環境にやさしいエネルギーの利用促進と省エネルギー化の推進、未来へ向けたライフスタイルの転換、資源循環・3Rの推進、区の率先行動を柱として、2030年度における温室効果ガス排出量削減目標を、2013年度比で現行の39%から50%削減に引き上げる内容としています。今後、環境審議会で最終案を提示したうえで、パブリックコメントを実施し、6月頃、策定する予定です。

 また、ごみ・リサイクル分野に関しましては、家庭から排出される「プラスチック製容器包装」と「製品プラスチック」を一括して資源として回収することが区市町村の努力義務となりました。


 このような動向を踏まえ、SDGs未来都市である本区においても、プラスチック分別収集の仕組みを構築するため、一部地区でのモデル実施に向けた準備として、令和3年度に引き続き、令和4年度も家庭から排出されるプラスチック量等の調査を実施いたします。調査結果やご協力いただいた区民の皆さんのご意見を踏まえ、分別・排出方法や曜日などの検討を行い、分別収集の内容を検討いたします。そのうえで、区政連絡会等での周知、対象地区への説明会や分別方法をまとめたお知らせなどを配布し、事業の意義と内容を分かりやすく、丁寧に説明してまいります。


5.デジタル化の推進

 次に、3つ目の重点テーマ「デジタル化の推進」について申し上げます。

 この2年間、コロナウイルス感染症の流行によって、私たちは今までの社会のあり方・価値観を大きく変える「新たな日常」に対応する必要に迫られました。

 本区ではこの「新たな日常」に対応すべく、令和3年度の重点テーマとして「デジタル化推進」を掲げ、デジタル技術を活用した区民サービスの向上、そして、職員の働き方や業務改革に取り組んでまいりました。特に、区民の申請手続や相談のオンライン化や各種支払いの電子化などに注力しております。


 申請手続では、区民の皆さんが来庁せずに手続ができるよう、子育て関係を中心に、新たに40の手続やイベント申込みについて、オンライン化対応をいたしました。また、士業による専門相談やひきこもり相談のオンライン化、6月から開始した「公式LINE」、2月4日からは保育園の入園手続きなどの電子申請も開始しました。

 来年度におきましても、スマートフォンとクレジットカードを使ってオンライン申請ができる新しいサービスを導入するなど積極的に取り組んでまいります。


 住民税や国民健康保険料などの支払いの電子化については、令和2年度に1種類のみの対応であった電子マネーを、本年度は5種類へと大幅に拡大し、利用件数も昨年度の約3,300件から約9,800件へと格段に増える見込みです。さらに来年度には、利用対象を後期高齢者医療保険料、介護保険料にまで拡大し、区が取り扱う税・保険料の全てにおいて電子マネーが利用できるようにいたします。


 令和4年度からスタートする「後期・基本計画」では、全ての施策をバージョンアップする3つの視点の一つとして、「DX」を位置付け、現在、検討を進めている「DX推進計画」により、その内容を具現化していきます。国によるマイナンバーカードの利用促進や情報システム標準化とも連動しながら、「あらゆる人・あらゆる世代がデジタル化の恩恵を享受できる“人にやさしいデジタル化社会”」を実現するため、自治体の業務・区民サービス全般にわたって、従来の価値観にとらわれずに業務を改革し、豊島区ならではのDXをよりいっそう進めてまいります。


6.池袋の都市再生

 次に、4つ目の重点テーマ、「池袋の都市再生」について申し上げます。

 いよいよ、まちづくりの総仕上げの時がまいりました。その中心が「池袋の都市再生」です。池袋の個性を際立たせ、オンリーワンの都市再生を実現することで、池袋が輝き、豊島区全体にまちの魅力が波及していくのです。


 池袋は、新宿駅や渋谷駅とは異なり、東口は環状5の1号線まで、西口は環状6号線までの空間を、ウォーカブルなまちづくりとして懐深く展開できるという、都市構造上の特性を持っています。

 こうした都市再生の考えは、突然生まれたものではありません。

 環状5の1号線においては、池袋副都心交通戦略として、歩行者優先の交通環境の創出について、平成23年から本格的な検討を進めてきました。そこに、区庁舎移転に伴う、庁舎跡地と新庁舎・南池袋公園の再生が実現し、隈研吾氏がこれを「ダンベル型のまちづくり」と称し、まさに、未来を切り開く、進むべき羅針盤となりました。

 また、南池袋公園をはじめ、池袋駅周辺の4つの公園は、交流・表現・発信の舞台であり、文化活動の拠点となる「アート・カルチャーハブ」として、都市再生の重要な役割を持たせました。そして、4つの公園とイケバスによるまちづくりが、他に類を見ない「公園による都市再生」へと発展し、10年以上にわたる長いまちづくりの積み重ねが、今ようやく開花しようとしています。


 池袋の都市再生を重点テーマとして掲げたこの1年で、加速度的に検討が進み、まちづくり構想が洗練されてきました。池袋駅の中でも最も混み合う中央地下通路を軸に、池袋東口のグリーン大通りと西口のアゼリア通りをシンボルストリートとして、東西のウォーカブル・エリアをつなぎ、池袋駅をはさんだ東西の大きな「ダンベル型のまちづくり」へと展開していきます。


 その行方を左右する重要な事業が、池袋西口駅前の再開発です。現在、この開発の事業協力者として、三菱地所グループが、地元の権利者と西口のまちの全体像を描きつつあります。今までの駅袋を改良し、駅前だけでなく、駅周辺まで賑わいを広げる光景は、四季を感じ、五感で楽しめる、まさに“ひと”優先のウォーカブルなまちづくりであります。

 先程も申し上げました通り、池袋西口のアゼリア通りと池袋東口のグリーン大通りをつなぎ、池袋東西を一体化します。これは、現在進めている池袋西口再開発により、地下と地上を結ぶ広場「サンクンガーデン」の完成によって実現するものです。

 そして、「新しいもの」と「昭和レトロ感が漂う懐かしいもの」が混在する多様性、これが池袋の大きな魅力であり、強みであります。この池袋らしさを残しながら、池袋全体に渡り回遊性の高いウォーカブルな空間が広がるまちを実現してまいります。

 池袋西口地域の開発が、池袋、そして豊島区全体に波及することにより、東京の中でも圧倒的な存在感を示す、国際文化都市に発展するものと確信しております。


 いよいよ今年、「女性の健康支援」などの健康センター機能を加えてバージョンアップする「新・池袋保健所の移転」に向けた動きがスタートします。

 区役所本庁舎に隣接する南池袋二丁目C地区市街地再開発が、本年着工します。新しい保健所は、区本庁舎と地下鉄東京メトロに地下道で直結し、再開発建物の低層部に移転します。専有面積は約4,650㎡で、1階に「池袋あうる薬局」や「あぜりあ歯科診療所」、2階には、「女性にやさしいまちづくり」を推進する母子保健機能を強化した健康相談や健診エリア、池袋休日診療所を配置し、3階を保健所の執務室とする計画です。


 誰もが利用しやすい、気軽に健康相談ができる場所として、周囲からアクセスしやすいアプローチができるほか、2階デッキで南街区の再開発建物とつながるなど、ウォーカブルな視点を取り入れた設計を進めています。

 命と健康を守るこの拠点は、区役所本庁舎と隣接することで連携がより強化され、さらに防災公園としてのイケ・サンパークにも近く、災害時には本庁舎の災害対策本部と防災公園、保健所が一体として機能連携することで、幅広い世代の区民の方々に大きな安心感を与える、豊島区の中心になると確信しております。


7.文化を基軸としたまちづくり

 次に、中長期的なテーマの1つ目、「文化を基軸としたまちづくり」について申し上げます。

 平成26年に23区で唯一指摘を受けた「消滅可能性都市」から脱却するために、初めて「国際」という言葉を加えて、国内外に豊島区の魅力を発信する「国際アート・カルチャー都市」構想を掲げ、文化によるまちづくりを加速させました。

 また、2019年に日本の代表として選出され、大成功を収めた東アジア文化都市は、国際文化都市へと発展する契機となりました。本事業を通じて生まれた、民間を主体とする草の根の国際交流は、コロナという障害を乗り越えて続いており、いまもそのレガシーが脈々と引き継がれております。


 さらに、本事業を記念して実施された23に及ぶ大規模なまちづくりプロジェクトの完成は、豊島区のまちの魅力と価値を最大限に引き出す大きな契機となりました。

 国際アート・カルチャー都市の中心拠点であるハレザ池袋を始め、個性あふれる4つの公園、公園をつなぐ真っ赤なイケバス、トキワ荘の復元、ウイロードの改修など、豊島区だからできる文化のまちづくりへの取組によって、まさに国内にとどまらない“誰もが主役のまち”実現への舞台が整ってまいりました。


 いまやグローバルリングは、国際的なファッションデザイナーであるコシノジュンコ氏のファッションショーや、炎のマエストロ小林研一郎氏のコンサート等が開催され、世界的なステージとしての評価を確立しております。

 ハレザ池袋では、外務省や文化庁を始めとする各省庁や100を超える各国大使館が参画し開催する、アジア最大級の国際アート見本市「アートフェア東京」とも連携して、各国大使をお招きした事業を実施しております。

 真の国際文化都市へ歩みを進める「豊島新時代」の未来図を描くべく、まちの舞台の一つひとつに魂を入れながら、さらなる努力を重ねてまいります。


 そして、区制施行90周年の特別な年だからこそ、区民の皆さんや企業の皆さんが、率先して参加する魅力的な、思い出に残る文化事業を展開します。

 区民の皆さんの日頃の活動や成果の発信をはじめ、グローバルリングにおけるクラシック音楽のイベント、音楽の大道芸パフォーマンス、豊島区立芸術文化劇場における宝塚歌劇団の定期公演をはじめとする、歌舞伎や大衆芸能の公演など、幅広い年代の方が参加・鑑賞し、“人”の絆を広げ、育てる機会といたします。

 また、昭和20年代に建設された一棟式マーケット「味楽百貨店」を活用して、昭和の雰囲気が感じられる文化施設として、(仮称)昭和歴史文化記念館を整備します。施設オープン時には、特別企画展を開催するとともに、マンガを通じて子どもが楽しみながら学べる参加型展示を行ってまいります。

8.高齢者にやさしいまちづくり

 次に中長期的なテーマの2つ目、「高齢者にやさしいまちづくり」について、福祉施策全体に広げて申し上げます。

 令和2年の国勢調査において、本区の高齢化率は、19.4%で全国平均28%を大幅に下回っているものの、65歳以上高齢者人口に占める一人暮らしの割合が35.6%、75歳以上が38.1%と、ともに日本一高い自治体になりました。

 一人暮らしは社会的孤立を生みやすいことから、本区では令和元年度から総合高齢社会対策推進室を設置し、「社会的孤立ゼロ」、「100歳健康」、「一人暮らしでも安心」の3本柱を掲げ、特色ある取組を進めています。


 行政の基本は福祉であり、区民の皆さんが健康で、安全・安心に過ごせる社会を作り上げることが重要です。コロナ禍の中で、高齢者の皆さんは、自宅に閉じこもりがちになり、体力の低下や地域から孤立してしまうことが懸念されます。フレイル予防や栄養対策、交流機会を提供するおとな食堂事業の拡充や高齢者が主体的に文化芸術活動などに参加できる場を提供し、外出機会が進むよう努めてまいります。

 また、高齢者の不安解消や相談支援につなげるための往復はがきなどによる「呼びかけ事業」など、他の自治体よりも一歩踏み込んだ対応を進め、引き続き日本一高齢者にやさしいまちの実現に向けて着実に取組を進めてまいります。


 ひきこもり専用相談窓口を開設してから、7ヶ月が経過しました。1月末時点での相談件数は69件となっており、ひきこもりの状態にある本人だけでなく、子どもの将来を危惧するご家族等からの相談も増えています。

 去る1月には、昨年7月に設置した「豊島区ひきこもり支援協議会」での議論を踏まえ、令和3年度版豊島区ひきこもり支援方針を策定しました。この方針では、「相談につながる仕組みをつくる」「断らない支援・強制しない支援を目指す」の2つの視点をもとに、ひきこもり支援の道筋を体系的に整理しています。

 今後、ひきこもり支援協議会の任期である令和5年度までの間、毎年度、本区の取組を検証し、必要に応じて支援方針の見直しを進めてまいります。

 SDGsの実現に向け、悩みを抱えられているご本人やご家族と、しっかりと向き合い、相談してよかったと思っていただけるよう、継続的に取り組んでまいります。


 昨年の12月30日・31日には、生活に困窮する方に対し、宿泊場所等の支援を行うため、1階センタースクエアにて相談窓口を開設いたしました。コロナ禍の影響で仕事や住まいを失った方など26名の支援を行いました。

 年末に国の補正予算が成立した住民税非課税世帯等への給付金においては、本区も速やかに準備をはじめ、1月31日より住民税非課税世帯である生活保護世帯から段階的に給付を開始しました。必要な方に少しでも早く給付金が行き渡るよう、「広報としま特別号」をはじめ、ホームページやツイッターなど、あらゆる手段を活用しつつ、わかりやすい周知に努めてまいります。


 これまで、医療的ケア児を抱えるご家族からの強いご要望であった学校卒業後の通所先確保につきましては、令和4年4月には、その受け皿となる「目白生活実習所分室」を開設し、当初7名の方を受け入れる予定です。

 区は、令和3年10月に立ち上げた「豊島区医療的ケア児等支援協議会」での各機関との連携や協議も踏まえ、医療的ケアを必要とする方々にとって、ライフステージに応じた切れ目のない支援の充実を図ってまいります。


9.子どもと女性にやさしいまちづくり

 次に、中長期的なテーマの3つ目「子どもと女性にやさしいまちづくり」について申し上げます。

 子どもと女性にやさしいまちづくりには、「支援の届かない子ども・若者・家庭ゼロ」、「児童虐待ゼロ」、そして「待機児童ゼロ」から発展した「子育てへの不安ゼロ」の3つのゼロで取り組んでおります。


 まず、「支援の届かない子ども・若者・家庭ゼロ」では、生きづらさを抱えた若い女性を支援するため立ち上げた「すずらんスマイルプロジェクト」の発足1周年を機に、新しいホームページを開設しました。このホームページは、若い世代の女性に支援情報が届くよう、同世代の若手職員がイラストや表現を工夫しております。

 また、昨年7月に始動した「としま子ども若者応援プロジェクト」では、区内企業や大学のご協力によって、池袋駅構内や施設内でポスターやデジタルサイネージを掲出いただくなど、広報連携が進んでいます。おかげさまで、「としま子ども若者応援基金」には、令和4年2月5日現在で48件、1,989万円もの支援が集まりました。

 このうち450万円を使って、ひとり親家庭などにお米を支援する「ライス!ナイス!プロジェクト」を、NPOとの協働により12月に実施しましたが、今回も区内の企業などから、おもちゃや文房具など多くの寄附が集まり、子どもたちには良いクリスマス・プレゼントとなりました。私は、この事業は、本区が推進する「寄附の文化」のモデルケースの1つとして捉えており、事業が定着することで、さらに多くの好意の輪が広がっていくことを期待しております。

 「児童虐待ゼロ」の中心となる児童相談所でありますが、東京都との協議も終了し、1月には国へ政令指定の要請を行うなど、開設準備が順調に進んでいます。

 新たな児童相談所では、健康づくりや母子保健の専門機関である「長崎健康相談所」との複合施設として整備することにより、「子どもを支援するプロ」と「健康を守るプロ」が一体となったサービスを地域に根差して展開していきます。

 また、この複合施設は、消防団施設の併設による地域の安全・安心を総合的に守る拠点としての機能や、地域の交流の場としての機能も備える、他に類を見ない最新鋭の施設として整備いたします。


 「子育てへの不安ゼロ」としては、子ども家庭支援センターへの相談件数が増加傾向にあり、緊急性や重症度の高いケースも増えている状況を踏まえ、来年度から子ども家庭支援センターに課長を配置し、ケースごとの対応方針について、さらにスピード感をもって、判断できるようにいたします。

 そして、子育て家庭の家事や育児の負担を軽減する「育児支援ヘルパー事業」の利用時間数が、前年度比で約58%増と需要が高まっていることから、予算を大幅に拡充しております。さらには、長引くコロナ禍の影響を鑑み、一時的に保育を必要とする家庭へのベビーシッター利用料の補助も継続してまいります。


10.さらに安全・安心なまちづくり

 次に、中長期的なテーマの4つ目「さらに安全・安心なまちづくり」について申し上げます。

 今年はセーフコミュニティの10年目の節目であるとともに、3度目の認証にチャレンジする年となります。この間、安全・安心をまちづくりの基本に据えながら、まさに「オールとしま」でセーフコミュニティに取り組んでまいりました。10年間で着実に積み上げた成果をもとに、今後も安全・安心なまちづくりを継続いたします。

 また、インターナショナルセーフスクールにおいては、2月7日に開催された「インターナショナルセーフスクール合同認証式」で、さくら小学校と千川中学校が新規認証、池袋第一小学校と池袋中学校が再認証を取得することができ、全8中学校ブロックに1校以上の認証校が誕生しました。

 これまでの認証校で蓄積したノウハウを大いに活用して、今後は、SDGsの取組の一つとして、区立小中学校全校で「安全・安心な学校づくり」を推進してまいります。


 コロナによって、改めて注目されたのが「防災・治安対策」です。

 コロナ禍における災害対策については、感染症のリスクを踏まえ、発災時は直ちに救援センターへ避難するのではなく、在宅避難や縁故避難などの分散避難を推奨しております。救援センターへ避難する場合にも、一人あたりの避難面積を拡充したうえで、マスク、消毒液、段ボールパーテーションなどの感染症対策物資を充実させるなど万全の対策を講じています。今後は、コロナ禍においても効果的な防災訓練のあり方を検討し、救援センター開設・運営訓練などで、町会をはじめとする地域の皆さんとの連携を深めてまいります。

 また、昨年は、飲食店等の時短営業による路上や公園での飲酒行為の増加による街の治安悪化などから、集中的なパトロールの実施や青パトの運行を拡大いたしました。引き続き、各種街頭犯罪や特殊詐欺を防止するため、青パトによる巡回パトロールや自動通話録音機の無償貸与など、警察と連携した各種対策に取り組み、誰もが安全・安心に暮らし続けることができるよう努めてまいります。


 安全対策の一つとして巣鴨地蔵通りの「無電柱化事業」を精力的に進めています。

 現在、高岩寺までの道路復旧の準備に取りかかり、巣鴨地蔵通りに相応しい、他の寺町通りに負けない最高の参道の整備を、本年秋から開始する予定です。

 昨年の12月2日には、私も参加し、商店街の役員の方々に、区の計画をご説明してまいりました。高岩寺の来馬住職をはじめ、地元の皆さんは、参道の整備に大変期待しており、巣鴨地蔵通りの再生のきっかけになるものと、早期の実現を強く望んでおられました。


 「立教通りの無電柱化の工事」は、本年10月から本体工事に着手する予定です。まずは、第一工区、二又交番から立教大学の正門の先までの整備となります。

 平成25年に「立教通り整備推進協議会」を立ち上げ、地域の皆さんと10年間にわたって“ひと”優先の道路づくりを目指して協議してまいりました。工事がスタートしますが、今後も地域の皆さんや立教大学とも連携を密にしながら、SDGs未来都市に相応しい「環境モデル路線」の実現に取り組んでまいります。


 昨年12月に着工いたしました池袋北口公衆トイレリニューアル工事は、現在のところ、建築業者によるトイレの内装工事と、植田志保さんによる、ウイロード西側スロープ壁面の美装化を並行して進めております。植田さんには、同時進行で、トイレ内に展示予定の作品を制作いただいており、今年6月の完成を予定しています。


11.教育

 次に、学校のICT推進について申し上げます。

 学校では、タブレット端末活用がますます定着しております。様々なアプリケーションを活用し、個々の習熟度に合わせ最適化された学習を目指しており、児童・生徒一人ひとりの学習意欲の向上につながっております。

 今年に入り、1月中旬から児童・生徒へのコロナ感染が広がり、多くの学校で感染または濃厚接触者となった児童・生徒が自宅待機を余儀なくされています。学級閉鎖や学年閉鎖も発生しておりますが、ICT環境が整備され、教員のスキルと経験が豊富になってきたため、登校していない児童・生徒に対しても、スムーズにオンライン授業を行い、学びの機会を確保することができております。

 一方、様々なツールが盛んに活用されるにつれて、セキュリティ面の強化が必要となっております。このため、教育委員会事務局と学校代表で構成する「GIGAスクール構想プロジェクトチーム」では、発生した事象へ間を置かずに対応するとともに、ヒヤリ・ハットの段階で、全ての学校現場に再発防止策を含めたケースの共有を進めるなど、安定的なICT推進に取り組んでいます。


 次に、移動教室・修学旅行について申し上げます。

 昨年度は、小中学校の宿泊を伴う移動教室、修学旅行を全て中止し、小学校6年生と中学校3年生に限って、日帰りの代替事業を実施しました。

 今年度は、改めて、移動教室や修学旅行が、子どもたちにとって、貴重な思い出となる有意義な教育活動であることを踏まえ、コロナ禍であっても、簡単に中止するのではなく、学校と教育委員会で実施に向けた準備を進めてまいりました。

 昨年中に全ての修学旅行は無事終了し、3校の中学2年生の移動教室を残すのみとなりました。このうち、2校は徹底した感染対策のもと、予定通り1月中に実施され、残りの1校は学級閉鎖もあったことから、実施を3月に延期する予定となっています。

 令和4年度の移動教室・修学旅行についても、これまでの知見・経験を十分に踏まえて、計画してまいります。


 また、知的固定学級の児童・生徒による「まとめ展」については、会場を分散したり、入場制限を設けたりするなどの感染防止対策を講じながら、貴重な発表の機会を死守すべく、第58回目となる発表を実施しています。

 2月5日には、巣鴨北中学校と西巣鴨小学校の合同で実施され、2月19日には、朋有小学校と池袋第三小学校において、それぞれ近隣の知的固定学級の児童・生徒が集まって開催される予定です。


 次に、池袋第一小学校の竣工について申し上げます。

 いよいよ本年8月には池袋第一小学校が竣工いたします。区内の小学校で初となる5階建ての校舎は、先日、上棟を迎えました。「森の中の学校」をコンセプトとした新校舎は、最新の学習環境をはじめ、自然と触れ合える環境や防災設備を充実させ、地域のシンボルとなる「SDGs未来都市」にふさわしい学校として、大きな期待をいただいております。


 次の改築校である千川中学校も「考える会」の提言をふまえ、基本構想・計画を取りまとめ、プロポーザルによる設計事業者の選定に入っています。

 この改築中の仮校舎となる「旧平和小学校複合施設」では、11月に事業者が決定し、施設の概要や各施設に入る機能等について整理した基本計画案をまとめました。

 新たな複合施設については、仮校舎を使用する児童・生徒はもとより、地域の皆さんから親しまれる施設とするため、施設の愛称を近隣の小中学校より募集するとともに、周辺の公園や神社の緑とつながりのある、緑のネットワークの拠点となるような施設にしたいと考えております。

 本年4月からは、地域文化創造館多目的ホールを廃止し、解体工事もスタートしますので、地域の皆さんにも丁寧にご説明しながら、子どもたちが通いたくなるような施設となるように進めてまいります。


12.おわりに

 「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の なさぬなりけり。」

 私はこれまで、何回もこの言葉を引用させていただいてきました。大好きな言葉で、いつも心の中に留めています。これは、江戸時代後期、新規事業の振興、技術開発、人事組織改革、教育改革などを断行し、経済的に破たんをきたしていた米沢藩を蘇らせた米沢藩主、上杉鷹山の言葉です。


 社会経済の先行きに閉塞感が漂っているから、不透明感が深まっているからといって、萎縮するだけでは、自ら好機を逸することになります。

 本区が、数年前には誰も想像できないような変貌を遂げることができたのは、ピンチをチャンスに変えながら、新庁舎の建設から始まり「区民や来街者に愛され、選ばれるまちをつくりたい。」という強い信念を持ち続けた結果だと考えております。


 来年度には、90周年まちづくり記念事業として、児童相談所をはじめ、西部生活福祉課複合施設、池袋第一小学校、3つの区民ひろばなど、区民の皆さんが直接に利用する施設を、次々に完成させてまいります。単に公共施設を設置するのではなく、こうした施設を地域の活動拠点として、皆さんが誇りを持てる施設とするために、情熱を持って取り組むことこそが、地域の魅力を向上させ、まちの価値を生み出していくことに繋がるのです。

 時代の流れは格段に速くなっており、現状に胡坐をかくことなく、これまで以上にスピード感をもってまちづくりを進めていかなければなりません。「何かを為し遂げるためには、まず行動し、諦めず、達成できるという強い意志を持ち続ける。」ことが必要なのです。

 区制施行90周年を機に、この想いを確認し、深く胸に刻みながら、「国際アート・カルチャー都市」「SDGs推進未来都市」の実現という強い信念を持って、さらにチャレンジ精神と情熱と勇気を携え、豊島新時代を切り拓くべく、100周年に向け、飛躍する区政運営に邁進してまいります。


 本日、ご提案申し上げる案件は、条例13件、予算4件、補正予算2件、その他4件、合わせて23件であります。

 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。

 以上で私の招集挨拶を終わらせていただきます。