令和4年第4回区議会定例会招集あいさつ(令和4年11月16日)

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 はじめに

 本日、ここに令和4年第四回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


1.「90周年記念式典」等の開催

 11月1日、区立芸術文化劇場において、「豊島区制施行90周年記念式典」が挙行されました。まさに、錚々たる顔ぶれが集まる中、90周年の主役である地域の皆さんと共に、この記念すべき日を迎えることができました。

 これまで何度も申し上げてまいりましたが、私は90周年を単なる節目の年としてではなく「過去から学び、今日のために生き、未来へ希望をつなげる」、次の100周年に向けた「豊島新時代」のスタートの年と位置付けております。こうした意味でもこの日は、人の絆をひろげ、区民の皆さんと共に、未来の豊島区を創造する“ひと”を育てる新時代の幕開けに相応しい一日となりました。


 当日は、式典会場である芸術文化劇場のエントランスパークプラザで、写真家の関口照生氏の写真展、「地球の笑顔」で来場された皆様をお出迎えしました。炎のマエストロ小林研一郎氏のコンサートから始まり、式辞の後には、名誉区民野村萬様、豊島区文化芸術顧問近藤誠一様、衆議院議員鈴木隼人様、小池百合子東京都知事他、多くの方からご祝辞をいただき、続けて、都倉俊一文化庁長官より「文化を基軸としたまちづくりの将来性」についてご講演をいただきました。

 式典に併せて、永年にわたり、区政で貢献をいただいた76名の皆さんへ感謝を表す「区功労者表彰式」、非常に高い評価をいただいた3度目の「セーフコミュニティ認証式典」、区の文化事業に多大な貢献をいただいた方々を表彰する「文化栄誉賞授賞式」を開催いたしました。


 実行委員の皆さんや企業間連携をはじめとする「オールとしま」の力で実現した記念式典に併せ、このような様々な分野で活躍する皆さんを表彰できたことは、これまでの区の取組が、ひとつの形となって実を結んだものであるとともに、輝かしい未来を確信させる感慨深いものとなりました。

 そして、長時間、最後までご出席賜りました、区議会議員の皆さまに感謝申し上げますとともに、より一層のお力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げます。


2.90周年事業の展開

 90周年事業は、記念式典ばかりではありません。11月1日を中心とする、年間で最も記念事業が集中する期間、まさに今、様々な事業が各地で展開されています。


 はじめに、「文化事業」における取組です。

 11月3日には、伝統文化の歌舞伎と最先端技術が融合した「超歌舞伎」が、芸術文化劇場で行われ、中村獅童氏によるトークショーや超歌舞伎の特別演出が上映されました。

 同日、南長崎地域では「豊島区立昭和歴史文化記念館」、通称「トキワ荘通り昭和レトロ館」がオープンいたしました。澄み渡る秋空の下、トキワ荘公園で開館式典が行われ、関係者や地域の皆さんなど、南長崎エリアには1,200人を超える方々が集結し、豊島区が歩んだ昭和の歴史・文化、マンガ・アニメ文化を、次世代に継承する拠点の門出をお祝いすることができました。

 「トキワ荘マンガミュージアム」では、待望の「まんが道展」がいよいよ始まりました。「まんが道」は、筆者である藤子不二雄Ⓐ先生が歩んだ、まんが人生をモチーフに描かれた作品であり、トキワ荘を有名とならしめた不朽の名作です。既に、トキワ荘ファンのみならず、地域の皆さんをはじめ、多くの方々が企画展を訪れています。

 90周年事業と並行して、地域の商店街では、「トキワ荘ゆかりの地」と飲食などができる店舗を連携させる取組に着手しております。区といたしましても、空き家を活用したアンテナショップの一部を、マンガ・アニメ文化発信、地域・観光の交流・発信の場として整備するなど、連携を強化したいと考えております。

 ミュージアムを拠点としながら、地域の特徴を最大限に活かした、面によるまちづくりの先進事例となるよう、今後も地域と一体となって取り組んでまいります。


 10月1日から郷土資料館で行われている「豊島大博覧会」では、初日に903名もの方々が来場されました。10月1か月間では6,649名、昨日までの累計が1万人を超えております。郷土資料館は、1984年に開館して以来、38年経過しますが、かつてない程の大反響、大盛況となっております。

 池袋の未来を示す、1000分の1スケールの都市模型は、今後予定されている西口再開発事業や東西デッキ、池袋東口のクルドサック化など、西口のアゼリア通りと東口のグリーン大通りを一つで結び、池袋の東西が一体となったウォーカブルなまちを、立体的に見ることができます。なお、来年の3月には、グリーン大通りとアゼリア通りの車道に、交通規制を実施し、地元池袋の皆さんから提案のあった「ウォーカブルなまち体験イベント」を、官民連携で開催する予定となっています。

 トーキョーミュージック・イブニング・ユーべでは、11月4日にNHK交響楽団名物コンサートマスター篠崎史紀氏率いる「ウィーンMAROアンサンブル」が登場し、ワルツやポルカの名曲を奏で、極上の音色で会場を包み込んでくれました。

 続く、11月13日は、反田恭平氏と、彼が率いるJapan National Orchestraによる公演、さらには、角野隼斗氏と、フランチェスコ・トリスターノ氏の共演が東京芸術劇場で超満員で開催され、さらには、自由学園明日館で一流の演奏家によるトーク&リサイタルなどが開催されました。また、東口ハレザ池袋では挟間美帆ジャズコンサートが行われるなど、豪華絢欄なアーティストたちが池袋に一堂に会し、池袋がクラシック一色に染まりました。


 次に、「区民参画・人権」における取組です。

 11月2日、豊島区民センター8階の多目的ホールで「区民ひろばSDGsミュージック・フェスティバル」を開催しました。イベント後半では「区民ひろばSDGs宣言大会」と題し、22地区全ての区民ひろばから、2030年に向けたSDGsへの取組を発表いただき、それぞれの地域の特徴を生かしたすばらしい発表でした。

 私からも「地域の活動拠点としてSDGs達成に向けたアクションを推進し、豊島区に住む人、働く人、学ぶ人が集い、個性豊かな22地区の将来の夢を語りあい、さらに豊かな地域社会の実現を目指します。」と、区民ひろば全体のSDGsを宣言いたしました。区民ひろばでは、「区民ひろばSDGs宣言」を契機に、区制100周年に向けて、地域の人々が心を通わせ、支え合える場として、さらに新たなステージに向け邁進してまいります。


 11月9日から14日にかけて、区民センターの7、8階では、「平和祈念展in豊島~戦争を知らない子どもたちへ~」と題して、平和祈念資料館と連携した、戦争体験者が描いたマンガや紙芝居の展示を行いました。

 戦後77年となり、年々戦争体験者が減少していく中、未来の日本を、豊島区を担う若者たちに対し、平和の大切さ、戦争の悲惨さを考える機会を提供できたことは、大きな意義があったと考えております。


 10月28日から12月23日までの約2か月間、児童虐待防止の機運を醸成していくための6つの事業を、90周年事業「としまオレンジリボンフェスタ」として開催しています。オープニングとなった「児童虐待防止区民大会」では、「家族について考える」をテーマにシンポジウムを行い、区民の皆さんと一緒に「児童虐待ゼロ」に向けての決意を新たにいたしました。

 「ダイバーシティが世界を変える」取組として、「性別の思い込み」などをテーマに、区内企業や大学院生、区内で活躍する皆さんなどをパネラーとした、パネルディスカッションを行います。企業の方や区民の方と一緒に考え、つくり上げる90周年を象徴する事業であり、10年後の豊島区へ向けたご提言やエールなどをいただけるものと、大いに期待しております。


 次に、「産業振興」における取組です。

 11月7日から3日間、「第30回豊島区伝統工芸展」が盛大に開催されました。

 30回目を記念して、13業種23名の伝統工芸士の皆さんのほか、これまで保存会に関わってきた皆さんの作品も数多く展示されるなど、会場全体が、例年以上に華やかなものとなりました。

 11月1日には、これまでの庁舎等での常設展示や、長年にわたる子どもたちへの体験教室をはじめとする、伝統技術の普及啓発活動の功績をたたえ、豊島区伝統工芸保存会に対して「豊島区文化栄誉賞」を授与いたしました。

 また、産業振興の観点からも、伝統工芸品を「ふるさと納税」の返礼品にすることを、現在、早急に検討しているところでございまして、江戸時代から続く本区の伝統工芸・匠の技を全国に発信するとともに、豊島区の「ふるさと納税」の目玉として、新たな販路拡大につながるよう努めてまいります。


 来週、11月23日の勤労感謝の日に、「イケビズフェスタ2022」が開催されます。

 今年は“ようこそイケビズの森へ”をテーマに、各フロアでクラシックコンサートや体験型ワークショップなど、数多くのイベントが展開されます。

 本年3月に「集客プロモーションパートナー都市協定」を締結した、長野市の名産品や工芸品の販売が予定されております。荻原健司市長自ら、長野市の魅力をPRするために来場されると聞いておりますので、ぜひ、皆さんも足をお運びください。


 90周年事業の最後に、「まちづくり事業」について申し上げます。

 今年度は、「森の中の学校」の池袋第一小学校や児童遊園と一体整備を行った区民ひろば椎名町、味楽百貨店を活用した「トキワ荘通り昭和レトロ館」など、まちづくり記念事業が次々と完成を迎えています。

 年度末にかけては、区民ひろば池袋、西部生活福祉課と複合化する区民ひろば要、児童相談所・長崎健康相談所の開設を控えています。来年度以降も、旧平和小学校複合施設、学び舎ぴいすや高南小学校別棟、高南保育園などの子ども関連施設、さらには、旧第十中学校野外スポーツ施設や池袋保健所、区民ひろば朝日などの整備が予定されています。

 総事業費約265億円となる90周年まちづくり記念事業では、区民生活を支える身近な施設を、単にその事業目的を果たすための施設ではなく、地域のシンボルに相応しい施設とすることを目指し、今後も、100周年に向け、区内の全ての地域において、まちの魅力や価値を高めてまいります。


3.コロナ対策

 次に、「コロナ対策」について申し上げます。

 新型コロナウイルスの「第7波」については、7月末をピークに新規感染者数が減少に転じ、10月中は比較的落ち着いた感染状況で推移していましたが、今月に入り感染者数が増加傾向にあり、「第8波」の到来について危惧しております。

 行動制限の解除、全国旅行支援の開始、水際対策の緩和などにより地域間移動や人と人との接触機会が増えていることから、引き続き、換気、マスクの着用など基本的感染の対策を徹底するとともに、ワクチン接種を速やかに推進していくことが必要です。

 この冬は、インフルエンザとの同時流行が懸念され、これを抑え込み、感染した場合にも重症化を防ぐためには、新型コロナとインフルエンザ両方のワクチンを受けることが重要です。今年度は、65歳以上の区民を対象に、インフルエンザワクチンの接種費用を無料といたしましたので、ぜひ、多くの方に接種いただきたいと思います。


 現在、2回目の接種を終えた12歳以上の全ての方を対象に、「オミクロン株」に対応したワクチンの接種を実施しています。10月13日からBA.4-5対応型ワクチンでの国内接種が始まったことから、本区においても、速やかに同ワクチンへの切り替えを行いました。また、10月21日から追加接種の接種間隔が、5か月から3か月に前倒しされ、これにより多くの区民の方が、年内に「オミクロン株」対応ワクチンの接種が可能となりました。第8波への懸念が高まる中、区では、一人でも多くの皆さんに接種いただけるよう、既に接種券を送付した中で、まだ接種を受けていない方に、勧奨のためのはがきをお送りしています。私も11月19日には、5回目のワクチン接種を予定しております。


 さらに、11月からは、生後6か月から4歳の乳幼児を対象とする接種が開始され、区内小児科医療機関8か所において接種を受けていただくことができます。

 今後とも、医師会・歯科医師会・薬剤師会等との連携により、引き続き、万全の体制を整え、区民の皆さんへの接種を進めてまいります。


4.誰にもやさしいまちづくり

 次に、「誰にもやさしいまちづくり」について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した物価高騰は、区民生活や区内事業者に大きな影響を及ぼしています。

 区は、福祉、子育て、教育など日常生活に直接影響を及ぼす事業や施設の中でも、特に、物価高騰による経費を利用者に転嫁しにくい事業者などに対し、積極的に支援を行うことといたしました。

 具体的には、区内の介護保険や障害福祉のサービス事業者、私立幼稚園、私立保育所など、700を超える施設に対し、利用者数に応じた支援金を本年中に支給します。

 また、本区では、米飯給食の維持促進と食育の推進のため、区立小中学校に、週2回分の米購入代を補助してまいりました。食材費の高騰が長期化する中、本区の学校給食の質や食育活動を維持するため、高騰している食材費の差額相当分である、週2回分の米購入代を新たに各学校に補助しております。

 セーフティーネット強化策の一つとして、生活困窮者支援に係るプラットフォーム整備のための経費を、令和4年第三回定例会でご承認いただきました。

 これにより、子ども食堂や生活困窮者支援団体などの運営支援を図ってまいります。先月末には官民連携による支援のための協議体を設置し、今後、区の実情に応じた支援について協議を行い、年明け1月には、補助対象となるNPO法人等の募集・選定を行う予定となっております。


 「子ども若者応援基金」を活用した、ひとり親家庭への食糧支援事業である「ライス!ナイス!プロジェクト」を今年度も実施いたします。約1,000世帯を対象に、精米5㎏を、支援団体等を通じて配布することで、孤立しがちなひとり親家庭が、地域のネットワークにつながる契機となるよう取り組んでまいります。

 また、区独自の取組として、低所得の子育て世帯支援を目的とした「子育て世帯への価格高騰緊急支援給付金」を実施いたします。国が実施している「子育て世帯生活支援特別給付金」を受給した世帯に対し、新たに申請することなく上乗せする形で、12月上旬までに給付できるよう、現在、準備を進めております。


 8月15日から9月15日に、区立小学校4年生から区内在住の18歳までの子どもを対象として、「ヤングケアラー実態調査」を実施いたしました。

 3,529人から回答があり、「ヤングケアラーについて内容も知っている」と答えた方は1,400人、39.6%となっております。

 また、関係機関向けにも調査を実施し、126機関383人から回答をいただきました。ヤングケアラーについては、「大人や子どもたちにもまだまだ周知が必要」とのご意見を多くいただいております。調査結果を重く受けとめ、令和5年1月を目途に報告書を作成し、今後の対応について検討を進めてまいります。


 先月の決算特別委員会では、委員の皆さんから様々なご意見や指摘をいただきました。新年度の予算策定の際には、これまで以上に各会派や現場の声をできる限り聞きつつ、区民視点に立った予算編成となるよう努力してまいります。


5.安全・安心なまちづくり

 次に、安全・安心なまちづくりのうち、南池袋二丁目C地区について申し上げます。

 この地区は、木造密集地域であったことに加え、池袋駅に隣接し、東池袋駅とも直結していることなどから、以前からまちづくりの機運が高いエリアでありました。

 建設される2棟のタワーマンションのうち、先月には、北棟の新築工事が始まり、南棟についても、来年の5月に着工する予定です。

 完成すれば、多くのファミリーで賑わうエリアに様変わりするばかりではなく、北棟には、区民の命と健康を守る「池袋保健所」が設置され、庁舎と連携した区民サービスの向上が図られるとともに、グリーン大通りからの賑わいがつながり、ウォーカブルなまちが、さらに広がるものと期待しております。


 補助172号線沿道では、「東長崎駅北口の共同化」と「椎名町駅北口の共同化」のそれぞれにおいて、先月、数多くの地権者の皆さんの賛同をいただき、念願の「防災街区整備事業の準備組合」が設立されました。

 今後も引き続き、準備組合と連携し、新たな賑わい拠点の構築を目指すとともに、駅周辺のまちの魅力と価値を、これまで以上に高められるよう努めてまいります。


 「受動喫煙防止対策本部」による受動喫煙防止・ポイ捨て防止の啓発活動が本格的に始動しております。

 90周年記念式典にあわせ、11月1日には、中池袋公園でシルバースターズ等による受動喫煙防止・ポイ捨て防止キャンペーンが開催されました。8日から11日には、JR各駅において、地域の町会や企業の皆さんが、清掃活動と受動喫煙防止を呼びかけ、延べ100人以上の多くの方々にご参加いただきました。

 また、たばこ販売店や商店等における啓発ポスターの掲示をはじめ、公園や道路における統一ロゴによる受動喫煙防止看板の設置など、公民連携により、総力を挙げての受動喫煙・ポイ捨て防止の機運醸成に取り組んでおります。

 さらに、年内には、区支援による初めての「民間公衆喫煙所」を設置するなど、「安全・安心に暮らせるまちづくり」を推進いたします。


6.教育

 次に、教育について申し上げます。

 「SDGs達成の担い手育成事業」では、区立小中学校30校が保護者・地域・企業などとの協働による取組を着実に進め、様々な機会でその成果が発揮されています。

 9月23日に開催された「豊島区こども未来国連会議」に続き、11月9日には、区立芸術文化劇場で、「SDGsフェスティバル」を開催しました。小中学校7校の児童・生徒の皆さんが保護者や地域の方々などと一緒に取り組む、特色ある活動を発表し、「オールとしま」でSDGsに取り組むことの大切さを呼びかけました。改めて、その発表の質の高さ、子どもたちの真剣な取組に感動しました。

 「SDGsチャレンジウィーク」では、土曜公開授業等を活用して、各校で子どもたちが取り組む姿を、保護者や地域の皆さんに情報発信しています。

 「SDGs未来都市」である豊島区の子どもたちの取組は、大人たちを巻き込みながら、地域に根差した特色ある活動に成長しています。この取組は2030年、その先の100周年に向けて、持続可能な形で、継続し、定着させていく必要があります。

 大人の皆さんも豊島区の子どもたちとともに行動を起こし、SDGsの輪を広げていただきますよう、引き続きのご協力をお願いいたします。


 国内で初めての新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、3年が経過しようとしています。この間、このピンチをチャンスに変えるべく、「教育としま」が大きく動き出しています。

 令和2年3月2日から5月31日までの、区立学校が全校休校を余儀なくされた、歴史上かつてない事態において、「GIGAスクール構想」実現の3年前倒しという教育委員会の決定を受け、私は児童・生徒に一人一台のタブレット端末の貸与についての予算化を決断し、区議会の後押しもいただきました。

 その結果、本区は、オンライン学習などタブレットを活用した新たな教育活動を早い段階から実践することができております。今年度は、古い大型ディスプレイの買替も進み、教員もタブレットに慣れ、活用が広がり、デジタル教科書の試験導入などと相まって、GIGAスクール実現に向け力強く歩みを進めています。

 さらに、長年懸案であった「豊島区学校施設等 長寿命化計画」を区と教育委員会が協力し、策定することができました。あわせて、改築を進めるために欠かせない仮校舎として、旧平和小学校などの活用を決断したことで、計画策定に大きな弾みが付きました。これを契機として、今後も仮校舎用地の確保をはじめ、長寿命化改修やICT環境の平準化など、多くの課題解決に向けた検討が進んでおります。

 これまで、教育に係る課題への取組を、教育委員会と十分に連携しながら進めることができたと思っておりますが、いずれも緒に就いたばかりです。今後、部活動の地域移行などの新たな課題や教員の働き方改革など、まだまだ解決に向け、取り組まなければならない多くの課題を抱えています。

 コロナ禍以前に策定された現行の「教育ビジョン」の改訂も急がれる中、引き続き連携を密にして、「教育としま」のさらなる充実に努めてまいります。


7.おわりに

 「千秋万歳」これは、人間国宝であり、豊島区名誉区民でもある野村萬氏が、私との区制施行90周年記念対談において、豊島区にお寄せくださった言葉で、「末永く栄えていく」という意味です。

 野村萬氏は、もう一つ「命には終わりあり、能には果てあるべからず」という世阿弥の言葉を引用し、「豊島区政は果てあるべからず」という、豊島区への期待と激励の言葉もかけてくださいました。

 11月1日の記念式典は、大変な盛り上がりでしたが、この成功の裏には、5月のオープニングイベント前からの実行委員会の皆さんのご尽力がありました。区民や企業、団体の皆さんが、まさに「オールとしま」で、区内各所において様々な90周年記念事業を展開している様子を、私も、多くの会場で拝見しました。一連の事業を通して、区民や企業・団体の輪が広がり、未来の豊島区を創造する“ひと”を育てる土壌が、着実に広がっていると実感しております。

 さらには、記念事業を契機に、区民や区内外の企業・団体の皆さんが、豊島区の「文化を基軸にしたまちづくり」に興味を持ち、参加することによって、ヒトやモノ、アイデアが集まる、「文化により経済の好循環を創造する都市」として、大きな前進を遂げていると確信しております。


 今後も、持続発展都市の実現に向け、「千秋万歳」の心で、90周年をスタートに、次の100周年、さらにその先へと豊島区が末永く栄えていけるよう、将来を見据えた区政運営に臨んでまいります。


 本日、ご提案申し上げる案件は、条例5件、補正予算2件、その他5件、合わせて12件であります。

 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、齊藤副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。

 以上で私の招集挨拶を終わらせていただきます。