平成21年第2回区議会定例会招集あいさつ

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 本日、ここに平成21年第2回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜りまして深く感謝申し上げます。


 区議会におかれましては、先の臨時会において、最高人事を含む議会構成を決定され、新たに選任された本橋議長のリーダーシップのもと、積極的な議会活動が展開されていることに対しまして、深く敬意を表するものであります。


 新たな議会人事を拝見いたしますと、議長に就任された本橋弘隆議員、副議長である小林俊史議員、お二方以外にも、会派の幹事長など、図らずも私と同じ平成11年度に区政に立った同期生の方々が枢要なポストについておられます。さらに、くしくも皆さん40歳代ということで、転換期を迎えた本区に、若さと新鮮な行動力をもって新しい風を吹き込み、そして10年間蓄えてこられた実力を遺憾なく発揮していただけるものとご期待を申し上げる次第であります。


 まず、区民の生活実態と区政運営について申し上げます。


 内閣府が公表しました、本年1月から3月期の四半期別GDPの速報値を踏まえて民間のシンクタンクが一斉に経済見通しを発表いたしました。それらによりますと、輸出が大幅に減少している上に個人消費も減少しているため、生産や設備投資も大幅に低下をしており、雇用情勢は依然として非常に厳しい状況に置かれるとのことであります。本年3月で、完全失業率は、平成19年7月の3.6%から4.8%まで悪化し、事業主都合による離職者は、前年同月比1.5倍に増加をしているなど、厳しい社会経済状況の波は、国民生活を、そして何よりも区民生活を直撃していると申しても過言ではありません。この厳しい雇用情勢を反映したものか、本区における本年4月の生活保護世帯数は、前年同月より712世帯増加をしております。昨年の対前年増加数は234世帯でありましたので、増加数は3倍にもなったのであります。このような雇用状況に対応するために、区では平成21年度当初予算に緊急雇用対策事業として10事業を計上いたしました。また、区独自に実施する不況対策として、福祉施設雇用支援事業を新規に実施をしておりますが、5月末時点で、早くも予定の42%の執行が終了する状況にあります。さらに、このたびは、補正予算に39人の雇用を予定する4事業を計上しております。また、区民の生活支援を行うとともに、地域の経済対策にもつなげることを目的とした定額給付金につきましては、申請受け付け開始からほぼ2カ月が経過する6月19日までには、給付予定額の約78%までの払い込みを終える見込みでございます。今後は、まだ手続をされない方々への勧奨などを重点的に行い、給付金がすべての区民に行き渡るように努めてまいります。また、商店街振興を目的としたプレミアム付き区内共通商品券を5月8日に販売いたしましたが、用意した1万枚の商品券は即日完売となりました。一方、このたびの経済危機は、100年に1度との形容がつけられているように、アメリカを代表する大企業が相次いで破綻するなど、過去に例がない最悪の状況下にあるとも言われております。しかし、いたずらに萎縮し守勢に立つのではなく、区民の皆様と力を合わせ、地域特性を生かしながら、これまで蓄えた力を成長へのエネルギーとすることで、危機を将来への飛躍への契機に変えていかなければなりません。これまでも危機を乗り越えてきた豊島区だからこそ、過去の教訓を生かしていくことができると確信をしているところであります。区民生活の安心確保と明日への活力創造こそが、私が未来戦略プランでお示しした目標であります。区民の皆様の生活実態を十分に踏まえながら、慎重かつ大胆にプランに位置づけた政策を展開してまいる所存であります。


 次に、新型インフルエンザについて申し上げます。


 本区では、WHOによる緊急事態声明の発表早々、池袋保健所に新型インフルエンザ対策本部を設置したのを皮切りに、危機管理対応組織を段階的に引き上げ、5月2日には私を本部長とする、豊島区新型インフルエンザ対策本部を設置し、発熱相談センターの開設など、全部局を一体とした新型インフルエンザ対策への体制を整えてまいりました。一方、国をあげての検疫の強化などによりまして、ウイルスの国内進入への水際での対応が功を奏しているかに見えましたが、5月16日に初めての国内感染が確認されるや否や、すさまじい勢いで感染が拡大いたしました。関西での高校生を中心とした感染拡大は、学校の臨時休校などの措置によって鎮静化したようにも見えました。しかし、首都圏あるいは東北地方でも、感染者数は徐々に増加をしてきまして、23区におきましても、この間の感染拡大が13区に及ぶ中、昨11日、夜遅くなりますけれども、豊島区からの発症者が確認されたのであります。区では、直ちに当該感染者の行動状況を把握し、接触者に対する健康診査及び健康観察を行いながら、相談用電話回線を増設するなどの措置を講じております。また、感染者の発症後の行動範囲が限定されていることが確認できましたので、感染が広がる恐れは少ないと考えられ、現時点で区民の皆さんに外出や活動の自粛をお願いしたり、学校や保育園などの福祉施設を休業するなどの特別な対応は行わないことといたしました。今後とも適切な情報提供を行うとともに、感染の拡大防止に必要な事項について東京都や関係機関と連携を取りながら対応してまいります。この新型インフルエンザは、現在、冬の季節下にある南半球では感染がさらに拡大しているとの情報があることから、日本においても今後の感染拡大が懸念されております。何よりも、区民の皆様の安全を守ることが自治体の責務であります。豊島区に暮らし、また訪れる皆さんに安心していただけるよう、いかなる事態にも対応できるよう、適切かつ迅速に所要の措置を講じてまいります。


 次に、グリーンとしまを再生するキックオフイベントと教育について申し上げます。


 グリーンとしまを再生するキックオフイベント、「学校の森」植樹祭は、去る4月27日の小学校2校での植樹を皮切りに、区立小中学校31校すべてでの植樹が、児童・生徒、協力員の皆さん、また近隣の町会役員の方々、そしてその他教職員など合わせて1万1,280名のご参加を得て成功裡に終えることができました。ご協力をいただいたたくさんの方々に、改めて心より感謝を申し上げる次第であります。また、5月30日、31日には、緑と環境の区民フォーラムが開催され、講演や映画の上映とともに、植樹祭に参加した子どもたちの標語と感想が披露されました。そして、どの子どもたちの感想発表からも、植樹祭をきっかけに、緑と環境、地球の将来についてまで広く勉強したことがうかがわれます。中でも、植樹祭で、豊島区に緑が少ないことを初めて知ってびっくりし、植樹祭をきっかけに区に緑をふやしたいと思ったとの感想からは、現実の自分の地域・自分の問題として環境問題をとらえることができていることがわかりました。また、今回の植樹は地域の方々がいたからできたので、いつでも地域の方々の支えがあることを思い、感謝の気持ちを忘れずにこれからの活動をしていきたいとの感想からは、単なる知識としての環境学習を超えた、地域や人とのつながりにまで思いが及んでいることが明らかであります。


 私は、未来を担う子どもたちが、地域の皆さんのサポートを受けながら、みずからの手で木の苗を植えるということが、自然や地球といった環境との共存に向けて歩き出す契機になるものと信じて、この事業を推進してまいりました。しかし、子どもたちは私の思いを遥かに超えた大きなものを、この植樹祭からつかんでくれたようであります。子どもたちの成長に大いに驚くとともに大変感動いたしました。植樹を足がかりとした環境都市の創造は、日本一高密な都市である豊島区だからこそ取り組まなければならないテーマであります。将来を担う子どもたち、地域の皆さんと始めた豊島区の新しい挑戦は、やがて大きな波になるまで発信し続けることが必要であります。1万本植樹祭の継続とともに、今後ともさらに積極的に環境事業を展開してまいりたいと考えております。


 今回、学校での植樹を通して、未来を担う子どもたちに対する育成の重要性を再認識いたしました。本年は教育としまの発展を目指し、学校教育に関する基本的な取り組みの方向の見直しに取りかかっているときであります。また、全小中学校のデジタル化、パソコンの整備、校内LANの全校整備などICT環境の整備を進め、ハード、ソフト両面から教育環境の整備に努めてまいります。


 次に、新庁舎整備について申し上げます。


 去る5月15日の副都心委員会でご報告いたしましたとおり、事業の成否を握る参加組合員予定者が、再開発準備組合で選定されたことによって、ようやく今後の新庁舎整備への道筋がさらにしっかりと見えてまいりました。庁舎は区民にサービスを提供する拠点であるとともに、安心・安全を提供する最大の拠点になるものであります。加えて、庁舎建設は池袋グランドビジョン実現に向けて、また、副都心再生へ向けての都市再生の連鎖を引き起こす重要なリーディングプロジェクトの起爆剤として位置づけております。さらに、建物全体に最新の環境技術を導入することで、最先端の環境配慮施設として、今後の自治体の庁舎のあり方を世に問うものとしたいと考えております。環境モデル都市に応募した自治体らしく、環境都市づくりへの挑戦を今後も続けてまいります。


 今後、新庁舎を含む再開発全体の建設計画は計画段階へと進みます。現在は基本設計の設計者の選定準備を行っておりまして、本年8月に予定している都市計画決定告示後には速やかに基本設計に取りかかります。また、新庁舎内部の検討につきましても、いよいよ具体的な作業に入ります。今後は、再開発事業の基本設計に合わせ、庁舎部分の室内基本レイアウトの作成に取り組んで行く予定であり、基本設計に入る前までには、窓口や事務室などの基本レイアウトのイメージをまとめた室内プランを作成する予定であります。さらに、新庁舎機能につきましては、庁舎サービス検討区民ワークショップからのご提案の中に、区民サービスについての区民の皆さんの視点からの改善策が示されております。今後、この提案内容を全庁あげて検討し、新庁舎への移転を契機に改善に取り組みます。一方、申請書の統合や添付資料省略の業務改善など、早急に取り組めるものにつきましては、新庁舎の完成を待つまでもなく実施していきたいと考えております。区民サービスの基本は、職員のもてなしの心を持って区民の皆さんに接することができるかどうかであります。新庁舎整備とともに職員の意識改革も進めてまいりたいと思います。


 区民の皆様の利便性を飛躍的に向上できる新庁舎を実現するため、全身全霊で取り組んでまいる所存でございますが、建築工事までには、最終的には区議会のご同意をいただかなければなりませんので、議員各位におかれましても今まで以上のご支援を賜りますようお願い申し上げます。


 次に、コミュニティバスについて申し上げます。


 豊島区は公共交通が充実していると考えられがちであります。しかし、高齢者や障害をお持ちの方々の視点から見ますと必ずしも十分ではない地域がございます。これまで区民の皆様の移動の利便性の向上を図ることを、コミュニティバス導入に当たっての基本的な方針として、優先的に公共交通としてのコミュニティバスの導入をすべき地域を検討してまいりました。去る5月15日の副都心委員会でご報告いたしましたように、比較的優先度が高く、早期に導入できる地域として、南長崎方面の西部地域と副都心の中心サンシャイン地域とを結ぶルートを素案として、今後具体化に向けてさらに検討を深めることといたしました。また、運賃、運行時間、運行頻度等につきましても検討を進め、広く区民の皆様のご意見を伺いながら路線の確定をしてまいります。既存のバス事業者との調整など大きな課題がございますが、平成22年度までには豊島区独自のコミュニティバスが運行できるよう努めてまいりたいと考えております。これが実現いたしますと、高齢者等が気楽に外出でき、公共公益施設や商業地域へのアクセス性も容易となり、多くの地域で利便性の向上や活性化が図られるものと確信しております。


 最後に、区長任期3期目の折り返しを迎えることについて申し上げます。


 「文化と品格を誇れる価値あるまち」の実現を掲げて区民の皆様から信託をいただき、豊島区長とし3期目の重責を担わせていただいてから任期の半ばが経過いたしました。瀕死の財政状況にあった区政を引き継ぎ、これまでの10年は財政危機の克服を最重要課題として、あらゆる対策を講じ改革の道を走り続けてまいりました。財政危機を克服するために、予想していた以上に長い年月を要しました。それほど区がこうむった傷は深く、負の遺産が大きかったことを今さらながら痛感しているところであります。


 この間の構造改革は、区民、議会の皆様のご協力のたまものでありまして、ようやく改革は一定の成果をあげることができました。今こそ改革に傾注してきたエネルギーを新たな方向に向け、プランに描いてきた地域活性化に向けた魅力ある政策展開を本格化し具体化すべき時であると考えます。未来戦略が確実に成果をあげ、開花し、実を結ばせるときを前に、まさに気力充実する思いであります。


 しかし、一方で、長いトンネルを抜け出た私たちの前には、最初に申し上げましたように、未曾有の世界的不況が待っていたわけであります。これまでの任期を財政健全化に費やしながら、私は、豊島区に二度と同じ道を通らせてはならないと思い続けてまいりました。二度と財政危機を繰り返さないためにも、行政の効率性向上と体質改善、さらなる行財政改革に向け、気を緩めることなく率先して取り組んでまいります。また、改めて職員の網紀粛正を図り、区民の皆さんからの信頼を取り戻した上で、全庁一丸となって危機に取り組む職場風土を築いてまいります。


 26万区民のお一人お一人が豊かな暮らしを通して夢をかなえ、住んでよかったと誇りに思える豊島区の実現に向け、私のすべてをかけてこれからも区政運営に渾身の力を傾けてまいりますので、議員各位におかれましてもご協力を賜りますようお願い申し上げます。


 「好機は、それが去ってしまうまで気づかれないものだ」という、スペインの作家セルバンテスの言葉があります。この言葉は人生の機微を表しているものですが、同時に経営あるいはまちづくりについても深い含蓄のある言葉であると思います。私は日ごろから職員に、この機を逃してどうするのだと語りかけておりますが、一方で、私自身が最も自問自答を繰り返しているのもこのことであります。区政運営の信託をいただく者として、豊島区が飛躍できる好機を目の前にしながら見逃しているのではないかという気持ちは、区長就任以来、私の心から消えたことはございません。昨年以来、社会経済の閉塞感が高まり、未来に対する不透明感が増してきております。混沌とした社会経済状況の中で、希望の芽、躍進の芽は厚い霧に包まれているのではないかと考えます。そうした状況にありながらも、確実に好機をとらえるためには、より研ぎ澄まされた感受性が必要になると考えます。今後とも緊張を緩めることなく、アンテナを張りめぐらせて、好機を逸することなく、全力を尽くしてまいりたいと思いますので、議員各位のご協力を賜りますようお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げます案件は、条例5件、補正予算3件、その他7件、合わせて15件であります。各案件につきましては、後ほど日程に従いまして副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜りますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。