平成25年第2回区議会定例会招集あいさつ

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 私がこの議場で招集あいさつを申し上げますのは、はや数十回にのぼり、正確には今回で57回目になりますが、常に緊張感をもって皆さんと一緒に聞いてくださった仲間のお二人の姿を見ることができず、少しさびしさを感じます。


 堀宏道君、古坊知生君のお二人は、次の新しい舞台への挑戦が始まります。この場で、お別れの言葉をかけることはできませんでしたが、長い間、豊島区政発展を支えてくださったお二人に対し、心からお礼を申し上げます。


 本日、ここに平成25年第二回区議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、ご出席を賜わりまして深く感謝申し上げます。


 区議会におかれましては、先の臨時会において、最高人事を含む議会構成を決定され、新たに選任されました、竹下ひろみ議長と高橋佳代子副議長のリーダーシップのもと、積極的な議会活動が展開されていることに対しまして、深く敬意を表するものであります。


 さる4月5日、本区の人口が実に24年ぶりに27万人台に戻りました。私は、この人口増を記念して、4月5日に出生届けがあった7人の赤ちゃんに、記念品を贈呈することにいたしました。記念品をお届けした目白在住のご両親は、大変喜んでくださり「豊島区で27万人目の節目に生まれたわが子が、区や日本を背負ってくれるよう育ってほしい」と述べておられました。


 本区の人口動態を分析しますと、特に、25歳から39歳までのいわゆる子育て世代が増加しています。


 全国的に人口の減少傾向が続く中で本区の人口が増えているのは、交通の利便性が高いこと、良質なマンションの供給があることなどに加え、子育て支援や教育施策の充実、文化政策の推進、先進的な都内初のセーフコミュニティ国際認証取得などの取り組みによって、多くの方々から“選ばれるまち”になってきている証であると考えております。


 これからも、積極的に他に誇れるオンリーワンの政策を推進し、魅力にあふれた「住みたいまち」、「住み続けたいまち」としてみなさんから選ばれるよう、全力を尽くしてまいります。


1.新庁舎整備等の推進


 まず、新庁舎の整備について申し上げます。


 建物全体を「としまエコミューゼタウン」と命名された新庁舎でありますが、いよいよその雄姿を現してまいりました。高層部真下に位置する地上9階までの庁舎部分と地下部分の躯体がほぼできあがり、現在、10階相当部に免震装置の設置を行っているところです。


 敷地内には、新庁舎の大きな特長の一つであるエコヴェールの原寸模型が組み上がっており、緑化パネル、太陽光パネルなどの意匠とメンテナンスの確認作業が行われています。


 今年の年末には、高層部の30階まで立ち上がる予定で、建築工事は順調に進行しております。


 高層部の分譲マンションも、大きな反響を呼んでおりまして、モデルルームの見学は予約が一杯で、1、2か月待ちの状態が続いていると聞いています。


 人気の秘密は、エコミューゼタウンが耐震性に優れ、またあらゆる面で安全・安心が確保された建築物である点、さらには区庁舎との合築の信頼性などが、大いに注目されているようであります。


 私は、これまでも申し上げてまいりましたが、新庁舎建設を単なる庁舎の建て替えに終わらせてはならない、と考えてまいりました。


 新庁舎は、長期的な展望に基づく“100年の大計”として整備を進めているもので、将来を見越した先にある新庁舎は、区民のみなさんの安全を守る防災拠点であり、また、環境・文化のシンボルなのであります。


 とりわけ急がれますのが防災拠点としての庁舎であります。私は、今月から来月にかけて、防災総合システムを導入済みの自治体を視察してまいります。


 かの東日本大震災の当日、痛感いたしましたのは「情報」の大切さであります。


 既に、災害対策本部で素早くリアルな情報収集を行うことができるシステム、そしてその情報を区内のみなさんに確実に届けることができるシステムの詳細設計を進めているところですが、今回の視察を通して、各自治体のシステムやその運用状況などをつぶさに調べ、新庁舎が防災機能を十分に果たせるよう、最先端のシステムを導入してまいります。


 また、新庁舎では、自治体として最高レベルの窓口サービスの提供に取り組みます。


 これまでの経緯や手法にとらわれることなく、区民のみなさんの立場に立ってサービスのあり方について、考えうる限りの再検討を徹底的に行ってまいります。


 既に、区役所の開庁時間はこれまで通りでよいのか、総合窓口でどこまでみなさんの利便性は向上できるのか、サービス向上のためにあるべき組織の姿はどのようなものか、などについて、鋭意検討を始めております。


 窓口サービスにつきましては、新庁舎が完成するまでの2年間で、区民のみなさんから「豊島区が変わった、本当に便利になった」と実感していただけるサービス改革にチャレンジしてまいります。


 さらに、新庁舎完成とほぼ時を同じくして、区内各地で新たな施設が整備されます。


 区の西部地域における行政サービス、地域コミュニティ・文化交流の拠点となる西部複合施設が平成27年度にオープンし、目白小学校、池袋第三小学校など各地域の新たなシンボルであり防災の拠点ともなる小中学校の整備も進んでいます。そのほか、二か所の特別養護老人ホームの誘致、駒込第一保育園、巣鴨第一保育園分園の整備、巣鴨体育館・図書館の改装など、区民サービス向上のためのプロジェクトのほか不燃化促進まちづくりなど、枚挙にいとまがないほど続々と新規施策が進行中であります。


 まさに、今、新庁舎建設を契機として、80年にわたって形成されてきた豊島区全体を大きく改造するチャンスを迎えました。


 区民のみなさんと力を合わせて、“ふるさと”として愛着と誇りを抱き、誰もが住みたい、訪れたいと思うまちを目指して、これらのプロジェクトの推進に持てる力のすべてを傾注してまいります。


2.現庁舎地の活用について


 次に、新庁舎完成後の現庁舎地の活用について申し上げます。


 現庁舎地活用の検討を進めるにあたり、事業者募集の与条件となる、公会堂敷地に隣接する民間敷地の問題、そして新公会堂の整備内容などについて、昨年度から検討をしてまいりましたが、この度、基本的な方針を決定いたしました。


 まず、隣接地につきましては、20年前の旧庁舎建設計画時も敷地の一体化に向けて、交渉を重ねてきた経緯があります。改めて一昨年来、誠意を尽くして隣接地の活用について打診してまいりましたが、今年の3月に入っても地権者との協議に進展がみられませんでした。


 これ以上、交渉を長引かせることは、今後のスケジュールに大きな支障をきたすことから、断腸の思いで、区敷地単独で活用を進めることを決断いたしました。


 これにより、民間事業者からの提案を募集する土地の面積は、本庁舎敷地3,637平方メートル、公会堂・旧分庁舎敷地3,049平方メートル、合計6,686平方メートルとなります。


 敷地が二つに分かれますが、様々な建築手法を最大限に活用することで、現庁舎地とその周辺の発展につながる活用に取り組んでまいります。


 次に、新公会堂につきましては、これまで現公会堂と同規模の800席、3,000平方メートルを想定してまいりましたが、現在、池袋駅周辺には1,000席程度の多目的ホールがない状況を踏まえ、公会堂・旧分庁舎敷地において、1,200席程度、約6,000平方メートルの規模で整備する方針を固めました。


 整備手法としては、民間事業者が建設する施設と一体的に整備するため、新公会堂建設を委託することを想定しておりまして、完成後、区は新公会堂部分を区分所有することとなります。


 新公会堂の建設に当たっては、先人が築いてきた豊島公会堂の輝かしい歴史を大切にしつつ、成人式や小中学校の連合行事等にも利用でき、かつ質の高い優れた舞台芸術にも対応できる多目的ホールとして、まさに未来に向けて豊島区の文化芸術活動のシンボル施設として位置づけ、整備を進めてまいります。


 また、多くの民間事業者の参画を得るためにも、現庁舎周辺におけるまちづくりの魅力あるビジョンを示す必要があります。


 そのため、豊島区の都市政策顧問である隈 研吾氏、そして新庁舎のランドスケープをご担当いただいている平賀達也氏に協力を依頼し、新ホールの外観や南北の軸となる中池袋公園前からサンシャイン通りに至る区道、そして中池袋公園について一体的かつ斬新なデザインの検討を進めているところであります。


 特に公園・道路整備については、民間事業者が建設する施設と合わせ、旧来の池袋のイメージを一新できる、また、この現庁舎周辺エリアを新たなにぎわいと文化創造の拠点とすることができるよう検討中でありまして、これにより周辺エリアの将来に魅力を感じ、民間事業者の進出意欲が高まることを期待しております。


 公有地を活用して新庁舎整備を行う豊島区の取り組みは、空中権売買による東京駅の駅舎整備とならび、民間資金を活用したインフラ整備のリーディング・ケースとして、国土交通省からも注目されています。先日も、3名の担当官が豊島区に来庁され、意見交換を行いました。


 現庁舎の活用について民間事業者と協力し、先進的、画期的取り組みにチャレンジしてまいりたいと考えております。


 また、区民センターを改築し、隣接する池袋保健所と一体的に活用したいと考えておりました「健康センター構想」について、申し上げます。


 「健康センター構想」は、相談・情報発信、健康づくり、医療連携、健康危機管理の四つの機能を担う地域医療や健康づくりの拠点となる施設として、これまで検討を進めてまいりました。


 しかし、健康センター構想の大きな柱として考えておりました健康診査センターの移転が、ワンフロアの面積の狭さや技術面、費用面から極めて難しいこと、また、健康診査センターが清掃工場の還元施設として建設された経緯、そして高齢化が進展する中では、地域密着型のサービス体制の構築がまず求められていることなどから、健康センターを区民センター跡に整備する方針を見直しせざるを得ませんでした。


 一方、昭和44年に建築した区民センターは、耐震性が不足しており、急速に老朽化が進んでいることから、いずれにせよ早急に建て替えねばならない状態にあります。


 このため、現庁舎地の活用における新ホールと連携をとりつつ、新ホールの機能を補完し、また現区民センターの機能を維持・拡充するかたちで、改築計画を策定することといたしました。


 新区民センターは、現在214席ある文化ホールを400~500席のスペースに広げ、貸室機能も整備し、講演会、演説会、発表会、音楽の練習、会議など、区民のみなさんの多様なニーズに対応し、低廉な使用料で利用できる施設としてまいります。


 なお、新庁舎への移転に関連する区役所別館や区民センター、生活産業プラザなどの施設利用や事務室再配置の全体像につきましては、第三回定例会において、具体的な説明をさせていただきます。


 豊島区はこれまで、小中学校の跡地を有効活用するため、民間資金と活力を呼び込み、様々な社会基盤を誘致・整備してまいりました。


 そして、今回の現庁舎地の活用は、先ほども申し上げましたが、先進的、画期的取り組みにより公有財産活用の総仕上げにしたいと思っております。


 このため、これまでの経験を活かし、事業者選定の透明性・公平性の確保に留意しつつ、民間事業者の自由な発想による魅力あふれる提案を引き出してまいります。


 80年の長きにわたり、豊島区の自治の拠点としての役割を担ってきたこの地について、活用の基本条件である対象エリアと新ホールの規模を定めたことで、いよいよ来年春に予定する民間事業者募集に向けたステップがまず一歩大きく進むことになります。


 これからが、まさに正念場であります。


 新庁舎の整備からつながる一連のプロジェクトを成功させるべく、私が最前線に立ち、その成功に向けて全力を尽くす所存であります。議員の皆さまにおかれましても、大所高所からご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。


3.安全・安心創造都市の一層の推進


 次に、安全・安心創造都市の推進について申し上げます。


 現在、まちづくりの指針として平成12年に定めた「都市計画マスタープラン」の改定作業に取り組んでおりまして、5月21日から中間報告に関するパブリックコメントを実施しています。その後は、パブリックコメントで寄せられた意見を参考に、地区別のワークショップを行って各地区の課題や魅力を抽出し、中間のまとめ、素案の作成などに取り組んでいきます。


 次期都市計画マスタープランは、概ね平成47年までの20年間を見据えた、長期的なまちづくりの今後の指針となる重要な計画で、現庁舎地活用とも深くかかわるものであります。


 中間報告では、今後の都市づくりの目標を「安全・安心で快適に暮らせる都市の実現」、「四季の彩りに包まれた環境にやさしい都市空間の形成」、「文化の彩りと回遊性の広がりが生み出すにぎわいと活力の創出」の3つとしていますが、10年後、20年後の豊島区のあるべき都市像を展望し、明るい未来を切り開くプランとなるよう、鋭意検討を進めてまいります。


 また、災害時要援護者対策にもスピード感を持って取り組みます。


 これまで希望制の「手挙げ名簿」を作成して、要援護者の情報を地域のみなさんに提供してきましたが、登録者数は、昨年末時点で、要介護の方など対象者総数9,012人のうち685人、7.6%にとどまっています。


 今後は、全庁的な連携体制の下で、名簿登載に関する要援護者への意思確認を精力的に進めることによって、登載することに抵抗を感じる方々を最小限に抑え、防災対策基本条例に定める「地域共有方式名簿」を年度内に完成させてまいります。


 名簿が完成しますと、要援護者数は現在の十数倍にのぼると見込まれます。要援護者を支援する、町会・自治会、民生委員など、地域のみなさんの負担が急激に増加することは避けなければなりません。


 そこで、関係者のご意見を十分にうかがい、行政、地域住民、福祉・健康の専門家の役割分担の確認や、中高生などの若者・ボランティアとの連携方法などについて、名簿作成作業と併行して検討をしてまいります。


 区は、昨年12月からシルバー人材センターに委託して「見守り訪問事業」を開始していますが、こうした地域密着型の事業とも連携を図り、都内初のセーフコミュニティ認証都市にふさわしい、豊島区ならではの大都市モデルを提案していきます。


4.区のブランド力向上


 次に、本区のブランド力の向上に関連して4つの文化観光資源について申し上げます。


 第一に、ソメイヨシノであります。


 豊島区の木で、日本を代表する桜でもあるソメイヨシノ桜は、江戸末期から明治期にかけて、かつての染井村の植木職が生み出したと言われ、染井の地名がついた桜として、全国に広まりました。


 しかし、残念なことに、全国的にはソメイヨシノの発祥の地が豊島区であることは、あまり知られておらず、今後、積極的にアピールしていく必要性を、岡山県津山市で開催された全国桜サミットに参加して痛感いたしました。


 そのため、区制80周年を記念して定めた、ソメイヨシノをモチーフとした区のシンボルマークで発祥の地であることをアピールいたします。


 また、ソメイヨシノプロジェクトを立ち上げ、桜並木づくりや小中学校での桜の実態調査、公共施設へのソメイヨシノの植樹などを行うほか、既存の樹木・桜の計画的な再植栽など、ソメイヨシノを基調とした緑豊かな四季を感じられる街づくりを推進してまいります。


 第二に、漫画・アニメであります。


 国は漫画やアニメを「クールジャパン」と称して世界に売り出し、他都市でも漫画で街の活性化を図ろうとする動きが多々ありますが、漫画・アニメの原点ともいうべき、漫画家の梁山泊と呼ばれた「トキワ荘」が建っていたのは豊島区であります。


 漫画文化創成期の至宝ともいうべきトキワ荘、紫雲荘、並木ハウスなどは、豊島区だけが持つ、まさにオンリーワンの文化観光資源です。


 また、アニメイト池袋本店の開店により、池袋東口周辺では駅からサンシャインに向けた東西軸に加えて、公会堂前の南北軸の人の流れも生まれて来ました。歩いている人の年齢層もガラッと若返っています。


 こうした漫画の強い発信力を最大限に生かし、漫画創成期から最先端のアニメまでの世代を超えたまんが文化が融合するまちとして、豊島区の魅力を発信していきます。


 第三に、ふくろうであります。


 豊島区の全体平面図は、ふくろうが羽ばたく姿そっくりの形をしており、また古くから雑司が谷鬼子母神の郷土玩具「すすきみみずく」が親しまれるなど、ふくろうやみみずくに関連する資源がたくさんあります。


 例えば、区制70周年の年に誕生した「としま ななまる」などのキャラクター、池袋東口のふくろう交番などに加えて、区には、日本最大の収蔵品を有するふくろう・みみずく資料館も存在します。そのほか「梟の樹を創る会」や区民のみなさんのご好意とご努力によって数多くのふくろう・みみずくの像が公園等に設置されています。また、豊島区は秩父市や那珂川町とふくろう協定を締結しております。


 知恵の象徴であり、まちの守り神とも言われるふくろうを大いに活用し、豊島区の魅力を発信してまいります。


 第四に、池袋モンパルナスであります。


 かつての旧長崎町を中心に広がっていた美術家向けの借家「アトリエ村」では、絵や彫刻を学ぶ学生が創作に打ち込むかたわら、夜には池袋のまちで芸術論をたたかわせるなど、若い芸術家による活発な交流や創作活動が営まれ、これを「池袋モンパルナス」とも称されました。


 池袋モンパルナスの精神を現代に引き継ぐべく、“まちのあちこちが美術館”というコンセプトのもとで、郷土資料館、メトロの通路、街中のショーウィンドウなど40か所以上で8回目となる「新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」を展開し、さらに今年は東京芸術劇場で「池袋モンパルナス歯ぎしりのユートピア展」を開催いたしました。


 多くの芸術家が集い、文化の華を咲かせた歴史を大切にし、文化芸術のまちとして豊島区が輝きを取り戻せるよう、今後とも積極的にアピールしてまいります。


5.福祉について


 次に、福祉について申し上げます。


 まず、待機児童対策について申し上げます。


 区は、これまでも「豊島区保育計画」に基づき、計画的に定員枠の拡大を図ってきました。また、その後の、保育需要の予想外の急増にも即座に対応し、「待機児童対策緊急プラン」を策定・発表いたしました。予算措置も行い、現在、緊急プランで提示した10の事業の具体化に向けて鋭意取り組んでおります。


 大塚駅に建設中の駅ビルの5階に入る認可保育所「大塚りとるぱんぷきんず」は、駅ビルの9月12日の開業に先だって、9月2日に開園する予定です。


 また、緊急プランに基づいて、6月からは私立幼稚園での預かり保育、ファミリーサポート利用料補助の2事業を始めております。


 私立幼稚園での特別預かり保育は25名の受け入れが始まっており、早くも緊急プラン中の各事業は一定の成果を上げ始めています。


 待機児童対策は、需要の推計、施設の確保など難しい面が多々ありますが、今後も需要の動向を注意深く分析し、先手を打って適切に対策を講じてまいります。


 次に、民生・児童委員の改正について申し上げます。


 今年は、11月末に民生・児童委員の3年毎の一斉改選を迎える年です。


 5月には各地区の予選会を終え、7月上旬ごろまでに候補者が確定する見込みです。


 民生委員法の制定から今年は65年目を迎えますが、近年、担い手不足が深刻化し、候補者の推薦にはいずれの町会もご苦労いただいています。


 民生・児童委員のみなさんは、高齢者の見守り活動や地域コミュニティの中核となり活動する方々で、区民生活を陰でしっかり支えてくださっています。少子高齢化が進む中、その役割は重要性を増すばかりです。


 高齢者の見守りなどの活動を区全体で活発化させていくためにも、中心となるべき民生・児童委員のみなさんの負担が過重なものにならないよう、区としてもしっかりとサポートできる体制をつくってまいります。


 また、今年は、豊島区社会福祉協議会が創設されてからちょうど60年という節目の年です。5月19日には豊島公会堂で記念式典とコンサートが開催され、多くの方が祝福にかけつけてくださいました。


 式典では、社会福祉協議会のキャラクター紹介、箕輪町・和光市の社会福祉協議会との災害時相互支援協定の締結など、60周年にふさわしい取り組みが披露され、大いに盛り上がりました。


 社会福祉協議会は、60周年を機に、名称を「豊島区民社会福祉協議会」と改め、区民による区民のための社会福祉協議会として新たなスタートを切りました。


 社会福祉協議会は、区民のみなさんの自主的な参加・協力のもと、コミュニティ・ソーシャル・ワーカーの配置など、地域福祉の推進に大きな役割を担っていただいており、区としても更なる連携強化を図ってまいります。


6.教育について


 次に、教育について申し上げます。


 第一に、高密都市である豊島区ならではの環境教育の取組みについてであります。


 新庁舎では、10階に雨水を利用し緑を配した「豊島の森」が誕生し、8階、6階、4階に連なるエコミューゼには、メダカを放したり、トンボを飛ばしたりと、かつてこの地にあった生態系を学ぶ学習ルートが誕生します。教育委員会では、この新たな教育環境を活用して、今後計画する「豊島ふるさと教育プログラム」の中に位置づけていくと聞いています。


 また、本年4月25日、富士見台小学校では、ロータリークラブ3団体の協力による学校ビオトープの引き渡し式が行われました。児童や地域の人たちからの声を受け、ホタルを飛ばすプロジェクトが進んでいますが、6月8日、早くも数匹のホタルが羽化して暗闇を照らし始め、続いて、同様にビオトープがある南池袋小学校でもホタルが飛び始め、児童や地域のみなさんの大変な感動を呼んでいると聞いています。


 高密都市でも可能な環境教育、高密都市に住んでいるからこそ地球環境をグローバルにとらえる環境教育の推進によって、ふるさと豊島を愛する心と行動力を備えた子ども達が次の世代に育っていくことを心より期待するものです。


 第二に、豊島区と能代市との教育連携についてであります。


 本年1月19日、豊島区教育委員会と能代市教育委員会との間で取り交わした「教育連携協定」がいよいよ本格的に動き出しました。


 今年度は、相互に10名を超える教員訪問団を派遣し、互いの優れた授業実践を学び、鍛え合う連携を実現いたします。


 8月には、能代市から教育専門官を招請し、全小中学校教員を対象にスーパー授業研修会を行います。また、小中学校の教員3名を2期間、各10日間ほど能代市に派遣し、将来、豊島区の中核を担う教員育成事業に着手するとも聞いております。


 教育は、優れた教師と児童・生徒の出会いにより実現するものですが、能代市との連携を通して、こうした出会いが数多く生まれることを心から期待するものです。


 第三に、いじめや体罰の防止についてであります。


 昨年来、いじめや体罰を苦に子どもが自殺する悲惨な事故が相次ぎ、大きな社会問題になっています。事故のあった学校、教育委員会の対応や情報公表のあり方が、不信感を生み、教育委員会そのものの存在意義を問われる議論にまで発展いたしました。


 とりわけ、大阪府で発生した体罰による自殺事件を契機に、文部科学省は、直ちに全国自治体に体罰の実態調査を指示し、東京都教育委員会は、3月22日に体罰調査を実施し、5月23日、その結果を公表いたしました。


 体罰の事例や学校名などが公表される厳しい内容でしたが、本区の小学校・中学校ともに体罰の認定件数はゼロ件でありました。


 これは、本区の学校と教育委員会が一致協力して体罰根絶に取り組んできた成果であると受け止めております。区といたしましても、体罰は児童生徒への暴力であり、教育とは無縁であるという考えに立って、いじめ・体罰根絶の取組を支援してまいります。


 すべての夢は叶います。もし追いかける勇気があるならば


 ウォルト・ディズニーは、こう語っています。私の大好きなことばです。


 これまで非常に厳しい財政事情の中で、私は、大幅な職員数の削減、選択と集中による事業の見直しなど、財政健全化にひたすら努力してきました。


 その結果、ようやく近年、景気動向に過度に左右されることなく、未来に向けた投資を行うこともできるようになってきました。


 ともすれば下を向いてうつむきがちになり、元気を失くしてしまいそうなとき、私は常に自分の夢を、豊島区を誇りある素晴らしいまちにしていきたいという大きな夢を抱き続けて、区政を牽引してまいりました。


 今、区内では、これまでの間、厳しい中で知恵と力を結集して進めてきた、文化政策、環境政策、計画的な施設整備など、将来の発展のための「タネ」がいたるところで一斉に芽吹きつつあります。


 私には、2年後、5年後、そして10年後と大きく変貌していく豊島区の将来像が具体的に見えています。


 このイメージを区民のみなさんに発信し、これを区民のみなさんと共有し、未来に向けて力強く歩んでいきたいと思います。


 区民が誇れる、個性と存在感のある「住みたい、訪れたい」まちが、まさに実現していこうとしている今、大きな夢を次の世代へ引き継いでいくため、強い決意を持って邁進してまいりますので、区民の皆様はもとより、議員各位におかれましても、ぜひ、ご理解とご協力をいただきますよう、切にお願い申し上げます。


 本日、ご提案申し上げる案件は、条例8件、補正予算1件、その他3件、合わせて12件であります。


 各案件につきましては、後ほど、日程に従いまして、副区長よりご説明申し上げますので、よろしくご審議の上、ご協賛賜わりますようお願い申し上げます。


 以上をもちまして、私の招集あいさつといたします。