第五巻を送るに当って

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           東金市史編さん委員長
               鈴木勝
 市史第五巻をお送りします。
 思うに戦後四十年、県市町村の自治体はいうに及ばず、各層各域の組織や団体が挙げて、その史跡の保存に取組み始めていることは誠にめざましく、古老たちも前古未曽有の現象と語っております。資料の収集なども可成りに意欲的で、出版物にしても相当の費用を割いて、豪華であり、大冊なものが多い。この風潮は我が国の経済的復興に伴なう、文化性の高揚からきているといわれておりますが、私は考えます、敗戦の反省がもたらした、自主的に発動する新しい民族の文化感覚が求めてやまないためだろうと。現在の歴史ブームをかく見て相当高く評価せねばならないだろうと思います。
 我が東金市が市史編纂に志したのは、昭和四十八年、町村合併二十周年記念事業として計画されたが、爾来十年以上の歳月を経過しています。この間柴田武雄先生を主動力として、各委員が資料の発掘収集に当り、寧日ない努力を続けて四巻の史料篇を出版して今日に至りました。今回の第五巻「総集篇」は東金の歴史の各分野の項目的研究であって、複雑多岐に亘っており、且つ又本巻の性格上、資料なしでも脱漏の許されないものが多く、編者は瘠せる思いでこれに当って参りました。幸いにも結果はご覧の通り本市史中の圧巻的出版となりめでたく発刊することができました。全巻すべて刻骨の結晶であって、永く本史の将来を飾ってくれるものと信じます。唯原稿が膨大となりましたので、一部を第六巻に廻す措置をとったことをご諒承願います。
 いよいよ本史もあと一巻「通史篇」を残すのみとなりました。いうまでもなく、市史はフィクションになってはなりません。一章一項目綿密な裏付けを必要としております。形式的には六冊の本に過ぎませんけれども、永い歳月の重みがずっしりとしていることをご理解下さいましてあと一巻の完結までの御支援を切に御願い申しあげます。