八 産業組合

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 明治三三年(一九〇〇)産業組合法の制定によって生まれた産業組合は、窮状にあった中小企業者と農民を救済する目的をもって信用・販売・購買利用事業を主な業務とした。千葉県で最初に設立された産業組合は君津郡の吉野信用組合(明治三四年)である。また、山武郡下では無限責任松尾第五区信用組合(松尾町八田、明治三四年六月)が初めてである。また明治三八年(一九〇五)には大日本産業組合の千葉県支部が創立された。
 東金では源村上布田信用組合が最も早く、明治三八年(一九〇五)四月の設立である。そして、公平村に道庭購買組合(明治四三年三月)、姫島報徳信用組合(明治四三年四月)家之子報徳信用組合(明治四四年三月)が設立された。豊成村には明治四一年一月に東金で二番目の豊成村中野殖産信用組合が設立された。その他の町村にも次々に組合が設立された。
 このように設立されてきた産業組合の事業内容は信用・購売・販売・利用の四部門から成り、信用部では組合員への貸付を主な業務とし、加入予約者の貯金も受けつけていた。購買部は、肥料・種苗や全国購買組合取扱いの物品を共同購入し、販売部は米麦・繭(まゆ)・果実・蔬菜(そさい)・藁工品(わらこうひん)を組織的に販売していた。組合では販売用の米麦の精白(せいはく)、縄(なわ)の仕上げなど加工もした。また、利用部は産業用機械器具、設備を組合員に提供した。そして、活動のほとんどが信用部(貸付)であり、購買部はあまり利用されていなかった。この産業組合は町村農会とともに、昭和一八年(一九四三)農業会の発足と同時に発展的解消をした。