九 農業協同組合

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 太平洋戦争のころ食糧増産確保の重要性から、農業に対する統制は強化され、昭和一八年(一九四三)には農業団体法が公布された。これは従来の農会による生産統制と産業組合による流通統制とを一元化するもので、この法律に基づいて全国的な農業会組織が結成されていった。東金市においても、町村農会と産業組合が合併して農業会が設立されたが、敗戦後の昭和二三年(一九四八)に農業会の活動は政府機関的な色彩が濃いため解散を命ぜられ、農業会に代わって農業協同組合法に基づいて組織された農業生産力の増進、農民の経済的、社会的地位の向上を目的とする農業協同組合が結成されて今日に及んでいる。組合員には正組合員と準組合員とがあり、正組合員は地区内の農民に限られ、準組合員は組合の施設の利用を相当とする地区内居住の個人、地区内の他の農業協同組合、地区内に住所をもつ農民が組織する団体である。区域には制限なく、出資組合、非出資組合とも認め、設立および加入は自由である。
 個々の農業協同組合を連合した連合会も自由に設立できる。これらから、東金でも、東金町農協・公平村・源村・丘山村・大和村・正気村・豊成村・福岡村それぞれの農協が昭和二三年(一九四八)に設立され、戦争で荒廃した農村の復興と食糧増産などに努力した。現在では合併を重ね、東金市東金農協と山武農協の二つの農協組合があり、農業協同組合法に基づいてそれぞれ事業を行なっている。その内容は、(一)組合員の事業または生活資金の貸付け、(二)組合員の貯金または定期積金の受入れ、(三)組合員の事業または生活物資の供給、(四)組合員の事業または生活に必要な共同利用施設の設置、(五)農作業の共同化その他農業労働の効率の増進に関する施設、(六)農地の造成、改良、管理または農業水利施設の設置、管理、(七)組合員の生産する物資の運搬、加工、貯蔵、販売、(八)農村工業に関する施設、(九)共済に関する施設、(一〇)医療に関する施設、(一一)組合員の農業技術および経営の向上をはかるための教育、農村の生活および文化の改善に関する施設、(一二)組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結などである。これらの事業は必要に応じて単営あるいは兼営されるが、東金市東金農協および山武農協はともに、信用事業を含み各種の事業を行なう総合農協である。
参考資料「横芝町史」

                  参考資料「横芝町史」
 
                      「山武農業史」