妙宣寺の菊花御紋章(妙宣寺蔵)

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 妙宣寺の紋章は、日蓮宗の寺が殆んど使っている「井桁に橘」の紋である。
 ただ、本堂にある開山堂厨子に、表菊花一六弁の御紋章があり、庫裡の門(くぐり戸)の台石にも、又その門の梁にも菊花の御紋章が使われている。
 なお、本堂の棟瓦にも使用されていた名残りがある。これは、皇室と密接なかかわりのあったことを物語るものであり、妙宣寺が護良親王の御息女である華蔵姫が開基となって創建された寺であるからであるという。
 明治維新以後、一六弁の菊花の御紋章は、使用を禁止あるいは制限されておるにもかかわらず、妙宣寺に数多く使用されていることは縁起の真実性を実証するものであろうか。
 ついでながら附言すれば、南房の小湊誕生寺には、本堂の格天井に菊花御紋章が使われていたが、官憲より撤去を求められた折、歴史上の諸経過を述べ、皇室との関係を実証して、撤去をとり止められたとの話も伝わっている。
 妙宣寺においては、御紋章の風化を防ぐことに特に意を注ぎ、大切に保存をしている。