新宿囃子(ばやし)

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 東金市新宿にあって「新宿囃子保存会」によって継承されているものである。
 東金市は、これを昭和五二年(一九七七)一一月一〇日市の無形民俗文化財として指定し、長く保存伝承することにした。
 「新宿囃子」は、隔年の陰暦六月一四日~一五日の両日に行なわれる日吉神社の例祭のおり、氏子新宿区の下座の人々によって、神輿渡御の露払いをする山車の上で、浴衣姿で演奏されるものである。
 近世以降、新宿区は、江戸末期より明治初期にかけて流行した江戸長唄が盛んであり、この影響をうけてか、「東金ばやし」は長唄風の編曲であるのを基調として、やはり長唄風の演奏になっている。
 すなわち、通りばやし、四丁目ばやし、ばかばやしを基調として、ほかに中山ばやし、おそめばやし、かめのこばやし・越後獅子・金比羅船々などが演奏されるにぎやかなものである。
 楽器は、横笛・篠笛・三味線・締太鼓・小鼓・大鼓・大太鼓・鉦(チャンギリ)で編成する。
 なお、新宿の山車は、安政三年(一八五六)に江戸人形町の若松屋金左衛門によって造られたもので、他の東金市内の八区の山車が、長方形であるのに対して、新宿だけはただ一つ船形で先端にげき(鷁)首をつけた秀作であることが「東金市の文化財(東金市教育委員会編)」に語られているが、この山車の上での「新宿ばやし」演奏はすばらしいものである。
 なお、「新宿囃子保存会」は現在二七名の会員を有し、男子ばかり若きは一七歳から老いたるは八〇歳を越える人びとによって構成され、毎月第三日曜日の夜、演奏会を開いているということである。