これは東金市上武射田字入道島一八七四~五及び成東町島地先にあるもので、一面の湿地帯一五〇九六平方メートルを指定したもので、指定は大正九年(一九二〇)七月一七日である。
このことについて、「山武地方誌」に次のように記されている。
「成東町殿台の東方に在り。大正九年七月文部省指定の天然記念物となった。
本地域に繁殖する食虫植物は約十種で、いしもちそう科に属する〝もうせんごけ〟〝こもうせんごけ〟〝いしもちそう〟〝白花長葉のいしもちそう〟(千葉県特有のもの)及びたぬきも科に属する〝むらさきみみかきぐさ〟〝たぬきも〟〝むらさきたぬきも〟〝ひめたぬきも〟〝のたぬきも〟等である。
これらの植物は、初夏から初秋にかけて一大花園を呈し、全国でも稀に見る食虫植物落群となっているが、長い時代を通じて湿地帯であったところが排水作業によって水田化するにつれ、この植物の繁殖地域は縮小され、放置すれば絶滅の危機にさらされて来るので、これが保護対策が必要となり、遂に文部省の指定する天然記念物となったものである。……」(四六五頁)
この記事でわかるように、食虫植物うち
の二種類が中心であり、他にノハナショウブ・ミズキボウシなど各種の湿原植物が生育している。
現在成東町がその管理に当たっているが、指定地はフェンスで囲まれ、管理小屋が建てられ、コンクリート製の観察路も敷かれて自由に見学できるようになっているが、雑草もまた多く、食虫植物群落を侵蝕しつつあることに心を痛める者も多い。
食虫植物