死亡して最初の盆を「新盆」とし、三年盆までは、門口と墓地に灯籠を立てる。門口の灯籠の柱に哂(さらし)を吊し、桶に水を張って置いておく。新盆の家には関係者から提灯が贈られ、軒下に並べて下げられる。八月一日から二四日まで点灯された。高(吊)灯籠といって、高い支柱に網で吊り上げた所もあった。これには近隣が出て奉仕し、盆棚も手伝った。
八月一二日(月遅れ盆)墓掃除をし、盆棚を結った。オマンダラを掛け並べ(一人に一本)、まこも縄にほおずき、稲穂を吊し、盆花を飾り、棚には盆ござを掛け、オガラの脚をつけた茄子(なす)や胡瓜(きゅうり)の牛馬、季節の初物の野菜や果物などを供えた。一三日は夕方早くお墓へ仏を迎えに家族で出向き、帰りには提灯に点灯して来て、盆棚の灯明(とうみょう)とした。団子を供える、墓地の入口に蝋燭(ろうそく)をさしてくる。
一四日は昼にうどんをあげ、墓参り、晩には焼豆腐と茄子。一六日は団子で送る。この日は、なるべくおそく送って行くようにする。僧侶がこの期間に「棚行(たなぎょう)」に巡回する。近隣、知人宅を互いに訪問し合うほかに、親戚が来訪したり、家族が帰省したり、正月のような人と人の交流がみられる。
盆棚の下には、もう一膳供えられる。これは無縁仏、絶えた家、諸精霊へのものとされる。
盆にお墓へ供える茄子や胡瓜(きゅうり)は賽(さい)の目に刻まれ、柿や芋の葉などに乗せて、篠竹で作られた小さな供台に配膳される。