一般民衆の日常生活における信仰行為を民間信仰とか、俗信とかいう。
これらは組織化された宗教団体と異なるが、ある面では結びつきがある。
古代から伝承されてきた民間信仰が、後世になって、仏教や神道に組み込まれたこともあるが、さまざまな神、なかでも道祖神・産土神(うぶすながみ)・氏神・稲荷・地蔵・淡島・はやり神・聖地・自然崇拝などについては、教理性のある宗教現象とすることは難かしい。
かつての人々の生活は、さまざまな信仰現象、信仰行為が生産暦と相まって営まれ、物忌み、祈願といった対応によって運行されてきた。
中世以前の当地方も全国的な分布の信仰形態が存在していたと考えられるが、現在に伝承されていないといえる。
これには、当時の社会情勢が影響している。したがって他地域にみられるような信仰形態、講集団は、当地方にはあまり残されていないが、次のような講が、昭和初期までは見られた。