(4) 流れ灌頂(かんちょう)

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 医学の進まない時代にはお産でなくなった婦人の霊を弔うために行なわれたもの。川添いの橋のたもとや道の辻の水辺などに死者の遺髪を一束切り取り、サンダラに青竹をやぐらに組んで立て髪束を垂らし、赤木綿に南無妙法蓮華経と墨書して下げ、柄杓を置き団子などを供え、道行く人が柄杓で流水を汲み、髪やお題目を書いた布の字の消えるまで掛けてもらうと成仏(じょうぶつ)するといわれてきた。また遺髪の代りに産婦の遺品の鏡や櫛などをサンダラの上に置き水をかけることもあった。うす気味悪く思って、そばに近づくことを恐れた者もいたであろう。方言でこの場所を「サンゴナ」と呼び、福俵、小沼田、道庭(どうにわ)などにその形跡が認められている。(永田征子氏談)