「東金文化第一四号」(昭和四五年一月一〇日刊行)に、その代表者である米良規矩之左右氏は「文協に歴史がある」という一文をのせて、この間の経緯を明かにしている。
これによると、石川勝四郎・木村道夫・大野桂・石塚多喜治・米良規矩之左右の諸氏が「東金に郷土文化を高めよう」として、当時の東金高校長吉井孝次郎氏と語らい、高校の講堂で「文化講演会」を開催して呱々(ここ)の声をあげたようである。
多数の聴衆の前で
大野桂氏 心理学
木村道夫氏政治論
石塚多喜治氏美術論
米良規矩之左右氏英語
が語られ、聴衆から万雷の拍手をあびたという。
その後、花沢曙伸・富助一・早野尚治の諸氏がこの会に賛同加入し、やがて木村・花沢・石川・米良四氏によって、フォークダンスやレコードコンサートなどが開かれ、文明開化にも似た文化活動が展開されたようである。
こうした間に「東金図書館建設運動」の声が高まって行った。
昭和二二年六月木村道夫氏が東金町助役に就任。この頃、大豆谷の実方さん宅に疎開者があり、蔵書を豊富にお持ちの話が伝わったのがきっかけで木村・富・米良の三氏を中心にその蔵書寄贈の交渉がなされ、数多くの図書が収集され、東金図書館(昭和二二年一二月設置認可申請、同月知事より認可、二三年三月既築の山武産業振興会館別棟の改築工事着手、二三年四月図書館公開、貸出開始)に置かれることになった。
更に石塚氏の東京転出、大野氏の春陽音楽会専念、花沢氏の電通勤務、米良氏の佐倉高勤務と、発起人、有力者の方々が文化協会の仕事に専念できなくなって、自然とその活動が中断の止むなきに至ったのは残念なことである。
昭和四〇年(一九六五)一〇月九日、最初の発起人であった人々が中心になって、文化協会再興運動が展開された。
木村・早野・石川・米良・大野・富・正木・三木の各氏がこれに参画している。
そして
昭和40年12月20日 | 東金文化協会報第一号(6ページ二〇〇部)刊行。 |
以下二号より九号まで四〇〇部発行、ページ数も一〇ページまでに発展、三か月毎に発行という精力的活動を続ける。 | |
昭和41年5月3日 | 芝山古墳見学 |
昭和42年4月 | 観桜会 |
同 10月1日 | 会員16名と発展 |
昭和43年1月20日 | 会報第9号発行 |
この年会長小川一郎氏選任され、会報第一〇号は、「東金文化」と名を改め冊子形式で24ページで発刊するに至った。 |
当時の記録から見ると
昭和42年度 16名
昭和43年度 18名
昭和44年度 20名
昭和45年度 35名
昭和46年度 37名
と年を追う毎に会員の増加を見て、充実した活動に取り組むようになった。
会報は | 43年 | 9月13日 | 第一〇号 |
44年 | 1月19日 | 第一一号 | |
8月15日 | 第一二号 | ||
11月9日 | 第一三号 | ||
45年 | 2月1日 | 第一四号 | |
8月28日 | 第一六号 | ||
11月4日 | 第一七号 | ||
46年 | 4月24日 | 第一八号 | |
8月15日 | 第一九号 | ||
12月15日 | 第二〇号 | ||
47年 | 月 日 | 第二一号 | |
48年 | 10月 日 | 第二二号 |
と出され、その内容は
○東金の神事・源太墓・地名考
奈良時代の東金地方等郷土史的なもの……………………………32
○随想・言葉・楓と槭・日本画の稽古等の随筆……………………58
○俳句(一人五句~一〇句)……………………………………………30
○短歌(一人五首~一〇首)……………………………………………27
○詩 (自由詩・定型詩等)……………………………………………13
と読みごたえのある内容を網羅し、各地から所望され献本されている。
このように会報は昭和四八年まで発行されるが昭和四六年(一九七一)に入る頃より、「文化の高揚をはかるには」という話題が課題となり、当時同志同行のいとなみを続けていた各種の文化団体の「大同団結」こそ急務との結論を得、文化協会が主体となり昭和四六年一〇月二日、「東金市文化団体協議会」の発足へと進み、文化協会は傘下の一団体として発展的解消へと進んだのである。
なお、「東金文化協会規約」は次の通りであった。
東金文化協会規約
一、本会は、東金文化協会と称し、事務所を東金市立東金図書館内におく。
一、本会は、地域の各文化団体と協調して一般文化の向上に資し、会員相互の親睦を図る。
一、本会は、前条の目的達成のため次の事業を行なう。
1 機関紙および会報の発行
2 その他の事業
一、本会の費用は、会費および入会金、特志寄附金等により之を充当する。
一、会費は一ケ月弐千円とし、二期に分けて納入する。入会金は一人五百円とする。
一、本会の会員は、積極的に会の発展に努める。
一、本会に運営委員若干名、編集委員若干名を置く。
一、本会は、原則として年一回総会を開き、年四回例会を行なう。
一、本会の規約の改正、事業の採択、会員の入会等はすべて会員の合議による。
一、本会の会計年度は毎年一月一日に始まり、一二月三一日に終る。
附則
本規約は、昭和四三年一月一日より実施する。