民謡を口ずさみ、民謡を聞く。何かしら心のぬくもりを感ずるのは、民謡が日本人の心の故郷であるからに違いない。
東金市にも民謡の会・民踊の会・三味線・尺八の会等があり、隣接市町村にある会に参加している者も多い。そしてお互いの連絡もなく、会長を定め、指導者を招いている。
こうした現状を見て、昭和五二年(一九七七)五月、有志相寄り次のような趣意書が関係者に配布された。
『民謡は我々日本人の心の故郷である。』という言葉は、どの民謡会の発表会でも挨拶の中で聞かれる言葉です。
それ程私達の生活の中にとけこんでいる民謡も、現在は各々所属する民謡会単位の活動でしかありません。同じ東金市民であり、同じく民謡を心から愛する者同志で、大きな輪を作り、共に仲良く研究していったならば、より一層楽しく、又東金市の一つの文化活動として、大きな意義があるかと思われます。何卒、この趣旨ご賛同の上、入会下さるようお願い申しあげます。
東金市民謡研究同好会(仮称)
発起人 一同 」
このよびかけを受けて、賛意を表した会は一若会・東栄会・横川会・竹友会・美鶴会・ときがね会・太陽会・民踊会・脩鶴(ゆきつる)会の九つの民謡民舞の会であった。
このうち、東栄会は三味線の会、竹友会は尺八の会、民踊会はいうまでもなく踊りの会であったが、これらの団体から約七〇名が参加して、会が成立したのである。
当初、高橋源太郎氏を会長として発足したが、三年後高橋会長を助けて事実上運営に当たっていた副会長葛岡晴夫氏が会長となって現在に至っている。現在会員一二〇名。
こうして第一回の発表会が、昭和五二年一一月二〇日、老人福祉センターを会場として開催された。老人慰労を含めたこの発表会には二百有余名が参加し、東金市長や地区出身の衆議院議員などが激励にはせ参じている。
この発表会は、昭和五八年(一九八三)五月二二日で第七回を迎えているが、この同好会の最大の年中行事でもある。なお、発表会は五月に、勉強会(公表しない)は一〇月にもっており、その計画の為の役員会が、年四~五回開かれている。会費は年会費一人一、五〇〇円、入会金六、〇〇〇円となっており、事務所は会長宅においてある。したがって現在事務所は
東金市東上宿七番地葛岡晴夫氏宅である。
現在同好会に加盟の各団体および責任者は次の通りである。
一若会(桜田寛司) 東栄会(熱田定次)
横川会(畠山正雄) 竹友会(山川喜則)
美鶴会(葛岡晴夫) 鴇嶺会(坂本正義)
太陽会(広田松行) 民踊会(片岡喜美子)
脩鶴(ゆきつる)会(西田京子)
会長葛岡晴夫氏は、「この同好会は、あくまで、民謡を楽しむ人の会であります。だから各団体の会員で趣旨に賛同するものに集まってもらっており、指導の先生方は入会できないことになっています。会則の会員資格は三つ程きめてありますが、あくまでこの会は会員のもので、お客様気分、指導者意識のないのを特徴としています。」と語っている。
参考までに第七回民謡民舞の祭典プログラムを分析すると、
唄 七五 合唱四 合奏三 踊 四
三味合奏一 計八七の種目があり
一若会二〇 東栄会八 横川会八
竹友会七 美鶴会八 ときがね会一五
太陽会一一 民踊会〇 脩鶴会四
その他六の出演があって、その盛会のほどがしのばれる。
なお、会則は次の通りである。
一、名称及び事務所
本会は「東金市民謡研究同好会」と称し事務所を会長宅に置く。
二、目的
本会は各民謡会相互の親睦と品位および技能(唄・三味線・民踊)の向上を図ることを目的とする。
三、会員
次の各項の一に該当し、三役の認めた者とする。
イ 東金市民及び東金市内に勤務する者
ロ 東金市内で稽古する者
ハ 東金市及び会員と密接な関係があり、且つ本会の趣旨に全面的に協力する者
四、入会金および会費
イ 会費は、年額一、五〇〇円とし、毎年五月三一日までに納入する事、同日までに納入しない場合は以後会員の資格を失うものとする。
ロ 入会金は六、〇〇〇円とする。(但し半天代)
ハ 再入会 半天のある場合は一、〇〇〇円とし、半天のない場合は六、〇〇〇円とする。
ニ 新入会は勉強会終了後より発表会前までの期間とする。
五、会費の使用目的
イ 役員会・発表会・勉強会その他会員の参加する会合等に使用する。
ロ 会員入院一四日以上の時(三、〇〇〇円)
ハ 会員死亡時の香典(三、〇〇〇円)
六、役員
本会には次の役員を置き、任期は二年とする。(再任可)
名誉会長一名・会長一名・副会長二名・会計二名・理事若干名
七、行事及び活動
イ 発表会等を年二回以上行う。この場合、全員の参加を原則とし且つ事後処理を完全に行い、お客様気分は一掃する事。
ロ 会則に定めなき事項は三役で決める。