銅鋺の出土状況

 青銅製の( かなまり ) は、仏具の一種で舎利容器、供養仏器として用いられたといわれる。横穴や後期古墳に埋葬されることが多く、またその分布は中部地方から東方に多く見られる。
 本掲載資料の銅鋺は、昭和63年に調査された31号墳の第1埋葬施設より出土した。この古墳は周溝外縁径約35m(墳丘径27m)の円墳で、墳丘高は残存状態で0.7cmを測る。墳丘南東部にある第1埋葬施設は長辺3.9m、短辺0.9mの長方形を呈し、木棺埋葬が想定される。出土遺物は銅鋺1点、大刀2振、小刀3振、耳環2点、刀子1点、鉄鏃50点が出土した。銅鋺・大刀・鉄鏃は埋葬施設の中央付近よりまとまって副葬されていた。この古墳は6世紀後半の築造と考えられ、当地域ではこの時期に既に仏教の影響を受けていたことが想定される。
 千葉県内でも古墳時代に属する銅鋺(完存)は数少ない例として貴重な考古資料である。銅鋺を出土した近隣の古墳としては、芝山古墳群内にある殿塚古墳があげられる。
遺跡名・古墳名 銅鋺の大きさ 特徴
油井古塚原古墳群(31号墳)
「油井古塚原遺跡群」
口径17.8cm、底径9.8cm、器高8cm 一部金鍍金の部分が残っている。高台附のもので、外器面には3本1単位の沈線がほぼ等間隔に3条みられる。埋まった土の圧の影響であろうか、やや歪な形状になっている。