本絵は、絹地に天台宗祖師智顗の肖像を描いたもので、県下では稀な例とされます。天台大師は正面を向いており、目を伏せて禅定印を結び椅子に座っています。頭巾をかぶり法衣をまとい、袈裟を着け、椅子台の前には沓が置かれています。
天台大師像は唐から伝わった請来本では、斜め左向きの画像であったと考えられていますが、実在した人物の遺徳や教えを称える祖師信仰の高まりから、より礼拝に適した正面向きの画像が定着していったと想像されます。
作風や表現技法などから鎌倉時代後期の作と推定されており、同種の遺品の中でも古いものです。
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