その他の注記
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「羽田文庫の記/世に宝はしもくさ\”/有れど 書にしく物は/またあらざりけり さるはいとも遙けき天地の/始の事をも からえみしの遠き境の状をも まさ/やかに知得る宝は こをおきてまた何かはあらむ/かゝれば千典八千籍とよせ集へていつき侍をる/人もあれど うみの子の末々に至りてはいたづらに/虫の栖となしもあるは しか心となくはぶらし/失ふも少からぬはいとあたらしき極にこそ こゝに/吾友福谷世黄(ヨツキ)そをしも深く歎きて同し心の徒と/議りて己が仕奉る大神の神なびに文庫たてゝ/万代に伝へむとすなるはいと\/悦しき限になん/いかで書尊ばむ人等は中国の典どもは更にも/いはず外つ国の雑々のをもまた自ら作れらむ聊(イササ)け/き一ひらのをも献り納めなば歳月を経ゆくまに/まに庫の内所せき迄満足ひて万のわざをいそ/しみも学ぶにもいとたづきよくなりぬべきものぞ/抑(ソモソモ)この処は人の家居にさかりたる清き松蔭にし/あれば かぐ土の神の荒びもなく雨風の憂も/あらずて朽ずはぶれず常とはに伝はり往むは/此ほくらの可怜宝になんありける され世黄と共に/このわざにいたづく人々は 石田秀堅 広岩敬敏/中野貞親 木村正道 高須正潤 △[小久保久道] 山田正影/鈴木茂世 佐藤維諄 佐藤重見 夏目可敬 内藤/正隆 佐埜深寧 大原長春 鈴木孝本 △[原田寛備] 山下文丈/本多為昞等なり/嘉永元年長月 栄樹園主人羽田埜敬雄 記」。
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