アウターバンド

 

(アウターバンド)

【自然】

台風、サイクロン、およびハリケーン等、発達した大気擾乱の周辺に起こる半月状の雲列のことである。サイクロンはインド洋、ハリケーンは東太平洋、および西大西洋の熱帯海域を起源とするが、台風の発現域は西太平洋の熱帯海域である。熱帯低気圧の最大風速が17.2m/sを上回った段階で台風と命名される。台風は強い上昇気流を伴った反時計回りの渦で、発達するエネルギーは海面からの水蒸気である。したがって、台風の南東部には半月状の雲列を伴っていて、台風の中心気圧が低く大型であるほど雲列が広範囲となる。アウターバンドは、台風の中心に近いスパイラルバンドよりも外側に発生する雲列で、台風の中心から1000km以上も離れていても高湿な大気を送り込み、秋雨前線を刺激して豪雨発生の原因となる。平成12(2000)年の東海豪雨は、九州南部に接近した台風からのアウターバンドが秋雨前線を刺激したものであり、アウターバンドの南西風と北太平洋高気圧の縁に沿う南東風が収束して線状降水帯を形成し、バックアンドビルドタイプの発達した積乱雲が伊勢湾から進入したためである。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻182・242ページ