(あきさめぜんせん)
【自然】
日本列島の秋季に停滞する前線である。梅雨前線がオホーツク海高気圧と北太平洋高気圧による東日本型、およびベンガル湾からの南西風と揚子江気団との間に形成される西日本型に分けられるのに対し、秋雨前線は秋を代表する大陸からの揚子江気団と呼ばれる移動性高気圧と太平洋高気圧との接点で形成される前線である。このため、秋雨前線は梅雨前線とは異なり、毎年必ず現れるとは限らない。これは、秋季になっても北太平洋高気圧の勢力が強いことが条件だからである。秋雨前線の停滞は、北太平洋高気圧の縁に沿って北上する台風が秋雨前線を刺激して豪雨災害をもたらすことが多い。特に平成12(2000)年9月の東海豪雨は、九州南岸に接近した台風14号からの暖温流が秋雨前線を刺激して逆V字をなす伊勢湾から湾奥に雨雲が線状降水帯となって進入し、さらに三河山間部で地形性降雨となった。このため、豊田市を含む矢作川流域では氾濫による被害が相次いだ。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻173ページ