足助八幡宮絵馬 

 

(あすけはちまんぐうえま)

【美術・工芸】

足助八幡宮には、多数の絵馬が奉納されており、1点が愛知県の文化財に、12点が豊田市の文化財に指定されている。奉納年代は、慶長17(1612)年のものが最も古く、これを含めて17世紀のものが9点あり、足助八幡宮が、古くから絵馬を通して崇敬を集めていたことを示すものであろう。判明する奉納者の居住地は地元以外に、名古屋、信州、伊勢などの遠方の地名も確認される。画題としては、神の乗り物としての馬に代えて馬の絵を奉納するという原義通りの神馬図のほか、鷹図、歴史画(宇治川先陣争い図、壇ノ浦合戦図)、七福神など、絵馬として通有の画題が大部分だが、境内で砲術の訓練をする姿を描く鉄砲的打図板額は、尾州稲富流砲術に関係するものであり、願掛けの内容が明確な例として注目される。横幅約1mの大型の絵馬が中心で、描写の内容も確かなできばえを示している貴重な絵馬群である。

『新修豊田市史』関係箇所:21巻311・313ページ