足助八幡宮鉄砲的打図板額

 

(あすけはちまんぐうてっぽうまとうちずはんがく)

【美術・工芸】

縦81cm 横111.8cm、額、板地着彩。日の丸の扇を鉄砲で射抜こうとする老翁の姿が描かれる扁額で、県指定文化財。画面内の文字記述により、画題(扇的打)、奉納年(慶長17 壬子)、奉納者(岩神村の沢田四郎右衛門尉)がわかる。足助八幡宮(足助町)に現存する奉納額の中で最も古いもの。図の作者の落款と思われる「自玄」の墨書と花押があるが、不詳。画系は大和絵系を示し、人物の力強い描きぶりは、腕の立つ画家であることを示している。落款墨書の冒頭に「尾州稲留流先生」とある。稲富流は、慶長年間(1596~1615)に稲富祐直(1551~1611)が創案した砲術の流派で、尾張徳川家の砲術師範となった砲術の名門である。奉納されたのが、始祖稲富祐直の没した翌年であり、何らかの関係があることも考えられる。


『新修豊田市史』関係箇所:21巻311ページ