アゼナミ

 

(アゼナミ)

【民俗】〈農業〉

田のミズクチ周辺の水路を迂回させたり、田の内側に小畔を立てるなどして水を温める工夫。もしくはそのために立てた畔・水路などの構造物そのものを指す言葉。ヨケアゲ・テアゼともいう。稲を冷水に晒すことで起こる立ち枯れ(タチ)を防止するために行われる。市域山間部の水田に多くみられるもので、地域や家、田の立地などに応じて、水路の形状や畦の立て方もさまざまであり、畦と水路の中間といった形態のものもある。小畦は田の土を盛り上げて作るが、崩れないように芯のあるものを作ることもあった。一般的な芯は、中心にワラを置いて、土をのせるワラ芯であるが、小畔の両側から竹で挟むといった作り方も聞かれた。板や丸太などで田を区切る方法もあり、これはミゾギリと呼ばれる。近年は既製品の合成素材の板でミズクチ付近の水路を仕切る家もあり、現代風に改良がなされているが、素材が変わってもアゼナミと呼ばれている。〈農業〉


『新修豊田市史』関係箇所:15巻124ページ