亜熱帯高圧帯

 

(あねったいこうあつたい)

【自然】

亜熱帯高圧帯は中緯度高圧帯とも呼ばれ、主に中緯度に形成される高気圧の帯である。熱帯海域のハドレー循環による上昇気流が対流圏上層部で下降気流となって形成される高圧帯で、上昇気流域の季節変化によって盛衰する特徴がある。ユーラシア大陸では、初夏にチベット高原を中心として形成されるが、季節進行で西側に領域を拡大し、イラン高原付近まで達するが、秋季には再び中心が東側に移動する。2000年以降はその勢力拡大に伴い、南アジア高気圧と呼ばれるようになった。これに対し、海洋上では北半球の北東貿易風と南半球の南東貿易風が赤道を越えて北半球でNITC(北熱帯内収束)が上昇気流域となり、下降気流域にあたる北太平洋上に高圧部を形成し、北太平洋高気圧はこれにあたる。したがって、南アジア高気圧が対流圏上層部(200hPa面)であるの対し、北太平洋高気圧は中層(500hPa面)の高気圧である。近年は、対流圏上層部の南アジア高気圧の勢力が増し、日本を含む東アジアで北東シフトして張り出すようになり、中層の北太平洋高気圧と鉛直的に合体して下降気流による昇温効果で異常猛暑が出現するようになってきた。その結果、地上気圧配置が鯨の尾型となって東海地方では北西の熱風が吹いて中部山岳地帯から多治見盆地や豊田盆地に吹き込み、全国でもまれにみる暑さとなることも少なくない。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻89・91ページ