アユ(鮎)

 

(アユ(あゆ))

【自然】

アユ科、アユ属。両側回遊魚。形態的にも生態的にも極めて特徴の多い魚種。秋に河川の中・下流で産卵し孵化した仔魚は海に下り、冬場は沿岸を中心に豊富な浮遊動物を十分食べて成長。春には河川の水温が上昇し始めると遡上。夏場は礫底、石底の表面のケイソウ等を活発に食べ成長し、再び秋を迎えると河川を下り中・下流の砂礫に産卵し疲労困憊しやせ衰え1年の生涯を閉じる(年魚)。矢作川の産卵場は、最近では年により水量や河床状態の変化が著しいので年ごとに移動することが多い。一般的に支流との合流点、蛇行部等の浮石状態ができやすい場所に多く、産卵後の酸素の供給や孵化後の降下には都合が良い。産卵は上流から始まり西尾橋付近で終わる。産卵場に集まる親アユの性比は圧倒的に雄が多く、時期が進むと雌も集まる。雌よりも雄の方が成熟が早いためで雌の割合が高くなると産卵活動は末期に近づく。産卵は夕方から始まり18時~20時に集中。孵化した仔魚は遊泳力がないので流れに乗って卵黄のある間に汽水域にたどり着く。4月になると河川の水温も上昇し始めるので遡上を開始する。年によって明治用水頭首工の左岸魚道を遡上する稚アユの尾数には差があるが、50~100万尾のことが多い(4~6月)。中・上流に遡上すると石底・礫底に定住して自分の縄張りをもつ。縄張りは1~2m2でその面積内の餌で自給自足。他のアユが接近すれば猛然ととびかかり追いはらう。友釣りという巧妙な釣り方はこの縄張り争いを利用した特殊な漁獲法である。


『新修豊田市史』関係箇所:23巻318・500・504・507・510ページ