(イケモミ)
【民俗】〈社会生活〉
床締めや清掃に合わせて溜池の水を抜き、魚を取ることをイケモミまたはイケサライといった。捕まえた魚はコイやフナ、ウナギなどで、イケモミが終わると、再びコイの稚魚を放流した。保見(保見地区)では、ムラの共同労働として年に一回、田植えが始まる前の4、5月に行っていた。千足(挙母地区)、西岡(高岡地区)では消防団が取り仕切り、魚を捕る人から参加料を徴収して消防団の経費に充てていた。農業用水に溜池を利用していた地区では、イケモミは秋の祭礼前の行事だった。前林(高岡地区)の立入池では氏神の祭礼の2、3日前に行い、捕まえたコイやフナは郷中(集落内)の用水路を堰き止めた中に入れ、それを祭礼の料理用として各家が買いに来た。なお、小河川や用水路などを石や泥で堰き止め、バケツなどを使って中の水を掻い出し、タモ(小型の掬網)などを使って魚を取ることはカイドリといい、用水路の清掃を兼ねて行うこともあった。〈社会生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:16巻52・487ページ