(いしうす)
【考古】
石臼は、一般に米や小麦、大麦、蕎麦などの穀物や大豆などの豆類を製粉した粉挽き臼を指す。低い円柱状の石臼を2つ重ね、固定された下臼の上面と回転させる上臼の下面に多条の溝(目)が刻まれていて、上臼に穿たれた孔から穀物などを入れて上臼を回転させることにより粉末にする。日本では13世紀中頃から登場し、鎌倉、京都、瀬戸内、北部九州などの都市的な遺跡において、「饅頭」や「索麺」などの中国(宋や元)から伝来した食文化の導入に伴い粉食が普及したとみられている。市域では16世紀以降の事例が確認されていて、上郷地区鴛鴨町の郷上遺跡では武節花崗岩製と伊奈川花崗岩製(写真:上臼下面)の石臼が出土している。上臼は周縁が縁帯状に厚くなり上面が皿状に凹んでいて、溝(目)は放射状に6区画または8区画に区分して刻まれている。
資料提供者「(公財)愛知県教育・スポーツ振興財団愛知県埋蔵文化財センター」
『新修豊田市史』関係箇所:2巻437ページ、20巻640ページ
→ 郷上遺跡