(いしさじ)
【考古】
石匙という名称は、江戸時代に「天狗の飯匕」と呼ばれたことに由来するが、実際には万能ナイフのような利器の一種である。狩猟で射止めた動物の解体や皮なめしなどの作業では、このような石製利器の役割がとても大きかった。石匙は、こうした作業の中で使われる利器のうちでもつまみのあるものを指し、縄文時代に広く使われた。つまみの部分にひもをくくりつけるなどして、携帯用の道具として使われたとみられる。市内では、稲武地区下り山B遺跡(写真)、旭地区池島町坂口遺跡、足助地区桑田和町北貝戸遺跡や藤岡地区水汲遺跡で多く出土している。
『新修豊田市史』関係箇所:1巻103ページ、18巻226・430ページ