異常気象

 

(いじょうきしょう)

【自然】

異常気象とは本来の気象とは異なる現象が起こることで、最近の過去30年間の平均値に対しての比較差で用いられることが多い。したがって、近年の地球温暖化に伴う気候変動による気候要素の変化も数十年間持続すれば異常気象とはいえず、本来の平年値が異常と捉えられる可能性がある。具体的な例としては、地球温暖化による熱帯海域の海面温度が上昇し、ハドレー循環が強まって亜熱帯高圧帯の勢力が増し、大陸内部の砂漠化の原因、および温帯地域の亜熱帯化をもたらすことがある。さらに、中緯度高圧帯の勢力拡大に伴い、北半球の北東貿易風、および南半球の南東貿易風が強まる傾向があり、西太平洋の海面温度が東太平洋を上回るラニーニャ現象が起こると、東アジアでの偏西風の南北循環が盛んとなり、寒波が襲来しやすくなることも少なくない。したがって、地球温暖化によって対流圏全体の気温が上昇することは間違いないが、緯度帯によってはその逆もあり、亜寒帯地域は極の氷山の融解によって海水温度が下がり、寒冷化傾向を示しており、低緯度の高温化との気温差が増して偏西風の蛇行が激しくなる傾向がある。その結果、高緯度を流れる寒帯前線ジェット気流の3波波動の経度的位置が東アジアと北アメリカでトラフ(気流の谷)を形成し、冬季には寒波の襲来に見舞われる。しかし、ヨーロッパはリッジ(気圧の尾根)となることから暖冬となる。亜熱帯と亜寒帯が直接触れ合って大気擾乱が盛んとなり、集中豪雨や突風風、竜巻などが発生しやすくなる。また、夏季において亜熱帯大気が温帯を覆いつくし、春・秋季を代表する移動性高気圧に覆われた温帯気候の期間が減少し、早霜や遅霜などによる作物栽培被害を引き起こす原因となる。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻82・87ページ