伊世賀美隧道  

 

(いせがみずいどう)

【近代】

飯田街道の難所の一つが伊勢神峠(標高約780m)であり、古くは石神峠、石亀峠と呼ばれていたが、文久4(1864)年に稲橋村の古橋暉皃がこの峠に伊勢神宮遙拝所を設置して以降、伊勢拝峠、後に伊勢神峠と呼ばれるようになった。伊世賀美隧道はこの伊勢神峠を開削した、伊勢神村大字明川と伊勢神村大字連谷間をつなぐトンネルである。明治27(1894)年6月7日、愛知県会で全額を県税支弁とする第6号議案が可決され、工事が開始された。明治30年11月27日に伊世賀美隧道は開通したが、不完全の箇所があったため、補修工事が続けられた。そして、補修工事は完了し、明治31年2月6日に改めて開通式を行った。


『新修豊田市史』関係箇所:4巻136ページ

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【建築】

長さ308m(幅3.2m・高さ3.1m)のトンネル。入り口は、冠木門形ポータル、二重アーチで題額に「伊世賀美」とある。工事は難航し、湧き水も多いため前後に暗渠を設け、構造体も一重、二重と2種類のアーチを使い分け、煉瓦による巻き立ての計画を石巻きに変更している。開通により街道も整備され、東加茂郡と北設楽郡との交通が促進された。昭和35(1960)年に伊勢神トンネル(国道153 号)が掘られ、その役割を終えている。国登録有形文化財。

『新修豊田市史』関係箇所:22巻528ページ