(いどうせいこうきあつ)
【自然】
移動性高気圧は、主に春季と秋季に日本列島を通過する温帯気候を代表する気団で、揚子江気団とも呼ばれている。移動性高気圧は、温帯と亜寒帯の収束帯に形成される寒帯前線ジェット気流の蛇行に伴って発生する高気圧で、ジェット気流のリッジ(気圧の尾根)の南側で起こる時計回りの下降する渦であるが、高気圧性の乾燥断熱減率で大気中の水蒸気が蒸発するために乾燥した大気塊である。寒帯前線ジェット気流は3波波動をしているが、さらに小さな波動が加わるとセル状の高気圧が次々と発生し、帯状になることもあるが、セル状(高気圧細胞)であることが多く、2、3日で日本列島上を通過する。このため、移動性高気圧の接近時は見かけ上の西高東低の気圧配置になって風が強く、大気浄化も可能であるが、後面では気圧の谷の接近で前線性逆転層によって蓄積された汚染大気が閉じ込められ、大気環境濃度が悪化する。
『新修豊田市史』関係箇所:23巻100・109ページ