(いぼはいじ)
【考古】
保見地区の保見町に所在し、伊保川右岸の段丘上に立地する古代寺院跡。昭和45(1970)年に伊保川の改修工事中に多量の古代瓦が出土し、遺跡の存在が明らかとなった。遺跡発見後は伊保白鳳寺跡、さらに伊保古瓦出土地と呼ばれていた。古代瓦の一部は一列に立てて並べられた状態で検出されたが、のちに令和2(2020)年の名古屋大学考古学研究室による発掘調査によって、古代寺院の創建期建物基壇の縁辺であったことが確認され、以後は伊保廃寺と呼ばれている。出土遺物には、川原寺系の複弁六弁蓮華文軒丸瓦や四重弧文軒平瓦などの7世紀後半~末の古代瓦や須恵器杯がある。それ以外にも猿投窯産の瓦塔があり、8世紀後半にも寺院は継続していたと考えられる。
『新修豊田市史』関係箇所:2巻59・123ページ、20巻166・724ページ