(ウジガミ)
【民俗】〈信仰〉
一般にはムラで祭る村氏神(鎮守、産土神)を指すが、これとは別に、市域では一族あるいはイットウを守るため、屋敷神の1つとして同族神が祀られており、ウジガミと呼ばれる。市域山間部においては、中央に「氏神」と刻まれた舟形の石塔を家の裏山や屋敷近くに祀った。同族氏神の祭りが盛んな浅谷(旭地区)では、「氏神」の祠を有しているカモン(家門)があり、旧正月に当たる2月に、御神酒、洗米、塩と尾頭付きの魚、果物や野菜などを供えて祭りをし、祭り後には当番の家で食事をした。御蔵(足助地区)の池鳥組のように、「ウジガミ」と呼ばれる木の祠を一族の神ではなく「組の氏神」として山中に祀るところもある。一方、平野部では、西広瀬(猿投地区)でイットウを形成する家がウジガミを祀っており、毎年4月25日前後の日曜日に注連縄を張り替え、御神酒や塩、山海里の幸を供えて祭りをしている。〈信仰〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻831ページ、16巻775ページ