氏子組織  

 

(うじこそしき)

【民俗】〈信仰〉

ムラなど、特定地域に住む人々が共同で祀る神が氏神であり、その氏神を信奉する人々を氏子という。氏神がムラに1社のみ鎮座し、集落全体が氏子となっているもの(ムラ氏神)、ムラ組ごとに氏神があるもの(ムラ組氏神)、特定の神社を複数のムラの氏神とするもの(地域氏神)、ムラに氏神がなく、近隣の氏神の氏子となるものなど、さまざまな形態がある。保見には8つのムラ組があるが、ムラ組単位で氏神を持つことはなく、旧郷社である射穂神社が保見全体の氏神となっている。神社の最大の年中行事である秋の例祭は、前夜祭と本祭りの2日間にわたって行われ、全町民あげての祭礼行事となっている。また、御札は例祭前に配られ、町内のほぼ全戸が受けている。射穂神社の氏子総代は4人選出され、年間21ある神事や祭礼行事すべてに参列し、秋の例祭前には氏子総代も精進潔斎をしている。複数のムラで同じ氏神を祀っているところは、過去の神社合祀政策に因む場合がほとんどである。苅萱(小原地区)にある峯森神社は元は神明社であり、所在地の苅萱と東市野々、小村の氏神であった。明治42(1909)年に同じ小原地区の岩下と平岩の八幡神社、宮代の阿知矢神社、苅萱の熊野神社と白山神社、およびそれらの境内社10社を合祀し、平岩と宮代の住民も氏子に加わって、社名を現在の峯森神社に改称した。畝部(上郷地区)では、各ムラの氏神のほか、ムラ氏神の一社を地域全体の氏神として祀っている。畝部東では、川端は八柱神社、上中島は八幡社、中切は社口社、宗定は稲荷社をそれぞれ氏神としている。また畝部西の阿弥陀堂では西神明社を氏神としている。一方、それらとは別に、5つのムラ全体で川端の八柱神社を総氏神神社として祀っている。氏子の義務としては氏子費の納入や神社の掃除などがある。大野瀬(稲武地区)では氏神の大野瀬神社が鎮座する梨野組を除く5組で、毎月1日と15日に境内の掃除をしている。〈信仰〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻778ページ、16巻723ページ