(ウナギりょう)
【民俗】〈諸職〉
ウナギは日常的に捕獲されてきた魚で、川や池沼に生息し、ウナギが潜む穴をウド(ウロ)といった。ウナギを捕まえる道具にはヘラとタタキがあった。ヘラはウナギカキともいい、ウナギを引っ掛けて捕まえた。タタキ(ウナギタタキ)は櫛状の歯を竹の棒の先端に付けた道具で、ウナギを叩いて捕まえた。これらの道具は地元の鍛冶屋が作ったという。そのほかにはステバリ(サゲバリ、ウロザシ)という手法があり、ウナギバリという釣針をタコ糸(ドボン糸)に付け、ドジョウやダイコクミミズ、蛙を餌に用いた。最高の餌はアユだったという。夜に仕掛け、翌朝に様子を見に行った。ステバリを組み合わせたのがナガノで、川の両岸に竹の棒を立てて糸を渡し、この糸に釣針を付けた糸を数本結んで仕掛けとした。メソ(ウナギの稚魚)が掛かることもあったが逃がしたという。ウナギは家庭の食材になったが、さばく時にイチジクの葉で包むと滑りにくかったという。〈諸職〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻212ページ、16巻210ページ