(うぶぎ)
【民俗】〈衣生活〉
新生児が初めて袖を通す衣服を産着と呼ぶ。ガーゼや晒、ネルで作ったジュバンやハダジュバンを着せた。テトオシ(伊熊・旭地区)、アカゴギ(東広瀬・石野地区)とも呼ぶ。季節により単衣や袷に仕立て、暑い日にはジュバンだけだった。ガーゼのジュバンは市販品もあった。産着は生まれる前に縫うので、男女どちらにもよいように黄色を使って縫った。白い布で縫った肌シャツの場合もあった(武節・稲武地区)。昭和30年代にはベビー服も出てきた。また、お宮参りで着用する晴れ着も産着と呼ぶ。子どもが生まれると、実家から産着(ウブギまたはオブギ)として一つ身の着物が届いた。長襦袢、下着、上着の二枚重ねである。畝部東(上郷地区)の話者によれば、「背に実家の紋をつけた平袖の一つ身、綸子が流行し、次に一越縮緬が流行した」という。下佐切(足助地区)の話者によれば、産着には厄除けとして、背の上部に色糸で背守りの飾りが縫ってあったという。〈衣生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻255ページ、16巻253ページ