【現代】
豊田市は、平成28(2016)年3月に「山村地域の振興及び都市との共生に関する基本方針-おいでん・さんそんビジョン-」を策定した。ビジョンの趣旨は、平成17年4月の市町村合併から10年が経過し、新市建設計画が計画期間を終了したことを受けて、合併後の取り組みを整理するとともに、これからの都市と山村の共生、山村振興を総合的に推進するための将来ビジョン、施策の方向性を取りまとめることであった。2040年を展望した目指すべき将来像が設定され、ビジョンに基づく計画期間は2020年度までの5年間とされた。また、ビジョン策定にあたって、「合併地区」という括り方が改められることになり、中山間地域(平野の外延部から山間部にあたる地域)を中心に構成され、過疎化や農林業の衰退などの共通の課題を抱える地域で、かつ都市計画区域ではない地域を「山村地域」と定めた。これにより、合併町村部の旭地区、足助地区、稲武地区、小原地区、下山地区の全域が「山村地域」となり、ビジョンの対象地域となった。また、都市計画区域内においても同様の課題を抱える中山間地域を「山村地域に準ずる地域」として定め、それらの地域については、他の計画等にも配慮しつつ、ビジョンに準じて取り組みが推進されることになった。なお、該当地域は、猿投台地区、石野地区、高橋地区、藤岡地区、松平地区のうち、①小学校区内の人口が、おおむね1000人未満であること、②小学校区内における直近20年間の人口減少率が10%以上であって、かつ人口が2000人未満であること、のいずれかの要件に当てはまる小学校区とされた。平成27年4月1日時点で、矢並、西広瀬、東広瀬、中金、上鷹見、滝脇、豊松、御作が該当地域となっている。重点取り組みには「移住・定住の促進」「高都市と山村の人・もの・経済が循環する観光・交流の促進」「多様な働き方の実現」が示された。令和3(2021)年には、新たに「豊田市山村地域の振興及び都市との共生に関する基本計画-おいでん・さんそんプラン-」(プラン)が策定された。このプランは、ビジョンに基づく取り組みやその評価、社会環境の変化等を踏まえ、多様な主体(地域、市民活動団体、企業等)の共働による持続可能な山村地域づくりに向けた具体的な状態指標(数値目標)と取り組みを明らかにするための計画とされた。ビジョンと同様に2040年を展望した目指すべき将来像が設定され、ビジョンに基づく計画期間は2025年度までの5年間とし、プランと同様の区域が対象地域となった。重点取り組みには、「空き家を活用した移住促進」「高等学校の魅力化」「都市と山村の交流を通じた関係人口の創出・育成」「多様な働き方の実現」が示された。
『新修豊田市史』関係箇所:14巻584ページ
→ 山村条例