おいでんバス

 

【現代】

平成10(1998)年頃から、名鉄バスの不採算路線の廃止や減便が相次ぐようになった。これに対して町村等では町営バスの運行などで対応した。足助町では「あいま~る」、松平地区では「ともえ号」、高岡地区では「ふれあいバス」といった愛称のバスを運行した。豊田市でも「中心市街地玄関口バス」の運行を始めた。豊田市は、平成18年度に公共交通基本計画を策定した。この計画では、人の移動の状況に応じた利便性の高い公共交通ネットワークを構築し、社会資本として、住民・交通事業者・行政がみんなで支えていくものとしている。市内のバス路線は「基幹バス」と「地域バス」の2種類とし、「基幹バス」は都心・駅・支所などを連絡し、都市の一体性を形成するための基幹路線で、名鉄バスが運行する路線と市が運行する路線がある。「地域バス」は地域内を運行し、交通結節点(基幹バスのバス停、鉄道駅)に連絡する路線である。地域の人々の通院・買い物など日常生活に密着した路線を地域住民が主体となって運行し、鉄道や基幹バスのネットワークを補完するとしている。基幹バスのうち、豊田市が運行している路線を「とよたおいでんバス」といい、専用のバス車両を走らせた。車両のデザインは、JR九州の鉄道車両デザインなどで有名な工業デザイナー水戸岡鋭治と名古屋工業大学大学院教授木村徹との合作で、白とオレンジを基調とした豊田市独自のデザインで、平成19年11月に導入された。名称は公募で決定された。「とよたおいでんバス」は、その後にも民間バス廃止路線を引き継ぐとともに路線の整理を行って、平成31年時点で、「おいでんバス」12路線、地域バスは12であり、豊田市の全域をカバーしている。


『新修豊田市史』関係箇所:5巻660ページ