オイヌサマ 

 

(オイヌサマ)

【民俗】〈信仰〉

岐阜県恵那市串原の中山神社から受ける屋敷神のひとつである。中山神社は吉野金峰神社から分霊を勧請して創建され、金峰山明神の眷族がオイヌサマ(山犬)であった。ここから陶製の山犬もしくは御札を受けて屋敷内に祀れば、盗難除け、病気除け、災難除けになるとされた。閑羅瀬や浅谷(旭地区)では陶製のオイヌサマを祀り、オイヌサマは家によってそれぞれ異なるとされた。受けたオイヌサマが気に入らない場合は別のものに換えることもあった。市域の平野部では、かつて個人で受けてきたオイヌサマをムラの守り神として祀っている。司(挙母地区)では土蔵破りや盗難が相次いだため、明治3(1870)年頃中山神社からオイヌサマを勧請したと伝えられている。毎年9月に組長が代参して御札を受け、地元で神事を行う。同じく挙母地区の常盤では、大正2(1913)年にムラに中山神社から御札、巻物、オイヌサマの像2体を勧請し、小祠に祀っている。〈信仰〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻832ページ、16巻778ページ