王滝渓谷 

 

(おうたきけいこく)

【自然】

豊田市南部、巴川の支流である仁王川下流部の峡谷。仁王川は、炮烙山(683.6m)の西麓を源流とし、比較的平坦な浅い谷底を西に向かって流れるが、王滝湖付近から下流は景観が一変し、150mほどの標高差を、急峻な谷を刻んで流れ下り巴川に注いでいる。この峡谷部が、地名にちなみ王滝渓谷と呼ばれる。谷底には巨岩や甌穴などの奇岩が積み重なる所もある。渓谷と王滝湖は、春は梅や桜、夏は緑とシャワークライミング、秋は紅葉など、季節を通して楽しまれている。渓谷の美しさから、「東海の昇仙峡」とも呼ばれている。渓谷に露出する花崗岩は、中生代白亜紀の後期に貫入した武節花崗岩である。巴川が流れる谷には、足助断層が北東‐南西に延び、渓谷の部分はこの断層崖(断層によってできた崖)、あるいは剪断帯(小さなずれが集中しているゾーン)にあたる可能性がある。

『新修豊田市史』関係箇所:23巻45ページ

→ 甌穴領家花崗岩類