(おおよろい)
【美術・工芸】
平安時代頃に生じた弓を使った馬上戦闘に適した甲冑の一形式。主に馬に乗る上級の武士が身に着けた。兜、鎧、袖の3つの部品で一揃えとし、多くの部分が小札により形成されている。胴は着用者の前面、左側面、背面を覆い、右側は開いている。右側面には脇楯と呼ばれる別の胴を装着する。胸部には胸脇にできる隙間を塞ぐための栴檀板と鳩尾板をつける。馬に乗る時に太ももを守るため草摺は大きい。兜は星兜や筋兜で、首を守るための𩊱がつき、左右の吹返は横から来た矢を避けるようになっている。肩には大袖をつけ、右は弓を引きやすく、左は敵に向ける方なので防御を重視して丈夫に作られている。南北朝時代頃に騎馬戦から集団戦・接近徒歩戦が盛んになると、大鎧は重量があるため地上での戦闘には適さず、上級武士の間においても大鎧に代わって従来下級の徒歩武士が着用していた胴丸や腹巻が用いられるようになった。市域の大鎧は猿投神社の樫鳥糸威鎧(国指定文化財)が知られる。