(おかたせん(しょうえいじどうしゃ))
【近代】
昭和5(1930)年12月20日に、岡崎-挙母西町-瀬戸記念橋-多治見57.1kmを開業した鉄道省営の自動車運輸路線(バス事業)。開業の背景は、国鉄敷設費用の逼迫である。膨大な路線建設の代行策として、既設の道路を利用するバス事業が注目されたのであり、昭和4年に鉄道省に設置された自動車交通網調査会は82の自動車運輸路線を答申していた。岡多線はこの中の一つであり、そして最初の省営バス路線として、高蔵寺線(瀬戸記念橋-高蔵寺、8.7km)とともに開業したのである。開業当初、岡崎-多治見を11往復し、その所要時間は片道2時間50分、料金はkm当たり2銭5厘であった。挙母町では開業当日に祝賀会が開催され、国旗掲揚の通知も発せられた。岡多線の開業は民間バス事業に影響を与え、複数の路線を休止に追い込むと同時に、値下げや別路線の増強といった対抗策を促した。
『新修豊田市史』関係箇所:4巻561ページ