(おくやま)
【民俗】〈環境〉
市域の山地丘陵地では、屋敷に接する山の峰からその先の隣ムラ境までをオクヤマ(奥山)といった。屋敷背後の山は多くの場合、私有林になっていたが、奥山はたいていは公有林であった。遠く離れているからといって奥山を管理しないで放置すれば、やがては荒れて崩落の危険がある。それを防ぐために許可を取り、特定の日ごとに山入りし、産物を採取しながら山の維持管理をしてきた。こうした共同利用林をイリアイヤマ(入会山)といったが、後には払い下げを契機に個人持ちの山に分けたところが多い。そうした山を小原北(小原地区)でソウヤマといっているのは、当初は山の地上権のみを分け与えたからであろう。奥山の産物で最も重要だったのはカナギ(雑木)で、秋から春にかけて伐って薪とし、窯を築いて炭に焼くこともあった。木を伐った跡地は田の肥料や牛馬の飼料をとるシバクサヤマ(柴草山)や、屋根材を採取するカヤヤマ(萱山)として利用した。〈環境〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻15・32・500ページ