送り神  

 

(おくりがみ)

【民俗】〈年中行事〉

6月下旬から7月にかけて行われてきた神を送る行事。麦カラや藁で人形を作り、ムラ境に立てた。その由来には2つの説があり、夏の暑い時期に疫病をもたらす厄神や穢れを人形に負わせてムラから運び去ってもらうためという説と、旧暦6月15日に各地の神様が尾張の津島神社に7日間集まるので、ムラの氏神様が無事にたどり着けるように送り出すものという説である。羽布(下山地区)では氏神に役員らが集まり、大麦カラを材料に殿様、姫、家来の三種の人形を作って竹の竿に刺し、熊野神社拝殿で神事を行って祈祷をし、その後、神社の向かいにある巴川の川岸に人形を川下へ向けて立ててお参りをし、災厄を流してもらうよう祈願した。古くは盆の時期に人形を川へ流したが、次の年まで川岸に立てたままにされるようになった。葛沢(足助地区)でもかつては藁人形を作ってムラ境に納める行事があり、オカタ送りといっていた。〈年中行事〉

『新修豊田市史』関係箇所:15巻726ページ