(オコシモノ)
【民俗】〈食生活〉
米粉を熱湯で練った団子の生地を専用の木型に詰めて形を作り、蒸した三月節供の菓子。型から「起こす」ことからこの名がついた。木型は鯛や扇など縁起の良い図柄が伝統的なもので、後には子ども向けにロケットや自動車といったものも作られている。型から起こして蒸す前に、色粉を水で溶いて筆で塗る場合と、色粉を練り込んだ生地を木型に置き、その上から白い生地を詰めるやり方がある。前者は蒸した際に色が流れたりにじんだりするため、後者の方がきれいにできるとされる。色は青(緑)、黄、赤の三色である。蒸したてはそのまま食べ、時間が経ったものは焼いて砂糖醤油(砂糖だまり)をつけて食べる。たくさん作って水に浸けて保存し、農作業の合間のおやつにした。水をこまめに替えれば、田植えまで食べられたという。分布域は市域西部で、尾張地方へと続く。近年、三月節供の郷土食として再び注目され、若い世代向けの講習会が開かれたりしている。〈食生活〉
『新修豊田市史』関係箇所:15巻339ページ、16巻343ページ
→ 三月節供